課題解決型営業は淘汰される?!これからの時代の営業を勝ち抜く「インサイト営業」を5Stepに分けて解説!
目次
こんにちは、松下です。
本記事では、これからの時代の営業を担う「インサイト営業」についてお伝えします。
新型コロナウイルスの蔓延、AIの飛躍的進歩が著しい昨今、営業は大変革を求められています。今までの営業スタイルを続けていても、これまでのように上手くいかない…そんなお悩みもよく耳にするようになりました。
そこで、そんな営業の皆様に向けて、Insight Sales Labを運営する株式会社アルヴァスデザインが実践している、「インサイト営業」についてお伝えしていきます。
代表取締役CVOである高橋 研は2018年に「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」を執筆しており、「インサイト営業」に関しては、多くの実績を持っています。
本コラムでは、インサイト営業とは何かについて解説することはもちろん、インサイト営業を実践する上でのポイントを5つのStepに分けてお伝えします。
これまでの営業スタイルに行き詰まりを感じている営業担当者にとって、新たな一歩となり「営業が楽しい」そんな風に思えるきっかけとなれば幸いです。
それでは、具体的な中身に入っていきましょう。
インサイト営業とは?
まず、インサイト営業とは何か?についてお話します。
昨今、よく耳にする「インサイドセールス」とは異なります。
インサイドセールスとは、主に電話やメールによってお客様に営業する手法のことで、訪問してお客様と商談をする一歩手前までをコーディネートする職種です。昨今よくある営業の分業化の一つとして、多くの企業で取り入れられています。
では、インサイト営業とはどういった営業のことでしょうか?
インサイトとは?
まず、「インサイト」はどのような意味があるのでしょうか?インサイトとは、直訳をすると「洞察」や「直感」という意味になります。
インサイト営業とは?
「インサイト」の言葉の意味が示すように、インサイト営業とはお客様の表層的な課題ではなく、深堀をし、お客様の根っこの部分、つまりは潜在的な部分にまでを捉えていく営業のことです。
さて、その根っこの部分とは何でしょうか?それは「創業者や経営層が持つ価値観」です。価値観は、「企業の理念やビジョン」に表れてきます。
インサイト営業は、この「企業の理念やビジョン」にフォーカスします。経営層や創業者からそれらを直接聞き出し、その実現に向けてともに伴走する営業のことを指します。
インサイト営業の始まりは?
インサイト営業は、米国で生まれました。バーバードビジネスレビューの誌面で紹介されたことをきっかけに、日本でも徐々にその考え方が普及するようになりました。ハーバードビジネスレビューの書籍はこちらから。
以上がインサイト営業の概要になりますが、それではインサイト営業とはどんなパワーを秘めているのでしょうか?次章で見ていきます。
【毎月抽選10名特典付き】インサイトセールスの資料ダウンロードはこちらインサイト営業の秘めた力とは?
インサイト営業は、従来の「課題解決型」営業では決して成し得なかった成果を手にする事が可能です。その秘めた力について2つの観点からお話します。
1つ目は、競合に対しての勝率、2つ目は、営業職の存続という観点です。
競合勝率の高さ
まず、1つ言えることは、圧倒的な競合勝率です。実際に、弊社アルヴァスデザインでもインサイト営業を実践しているのですが、競合に負ける方が珍しいです。
「実践!インサイトセールス」の著者である高橋も競合に負けた際には、「どんな要因が?」と聞きたくなるほど、受注率が高いのです。その理由については、別章にて詳しくお伝えしますが、競合と差別化が図れていることは自明です。
AIに駆逐されずに生き残る
2つ目の観点は「AIに駆逐されない」ということです。
インサイト営業は、前述のとおり、企業の経営層から理念やビジョンを直接聞き出し、それを実現するための施策を考えていきます。この過程は、非常にクリエイティブな力が必要とされます。
AIは、データ数値の分析という観点では非常にすぐれた力を発揮しますが、経営層の心を読み解くといった感性が必要される部分ついては、まだ発展途上にあります。
そのため、AIに駆逐されることなく生き残ることが可能なのです。むしろ、AIの優れた点を活かしながら共存していくことが可能とも言えます。
それでは、このインサイト営業を成功させるためにはどのようなことが必要なのでしょうか?次章で見ていきます。
インサイト営業の成功に向けての5Step
インサイト営業は前述したとおり、お客様の理念やビジョンを実現するための営業手法です。課題解決型営業に輪をかけて難易度の高い営業手法です。
では、実際にインサイト営業を成功させるためは、どのようにすればよいのでしょうか?5つのStepに分けてそれぞれ大切なポイントついて解説します。
Step1:ターゲット企業の選定
インサイト営業を成功させるためには、「お客様のターゲティング」が欠かせません。ターゲティングを行う上では、以下の3つの観点がポイントになります。
1つずつご紹介していきます。
1-1:理念やビジョンの重要度
インサイト営業のターゲットになる企業は、お客様自身が「理念やビジョンの実現」を最優先に考えている企業です。
なぜならば、インサイト営業は「理念・ビジョン」をベースとし、提案を行うからです。ここを重要視していない企業からは共感を得られない可能性が高いためです。
1-2:情熱的な管理職者の有無
インサイト営業は、お客様の価値観を汲み取り、提案を行います。そのため、企業の変革や未来への貢献に対して、特に情熱を持って仕事をされている管理職の方には、インサイト営業が適合しやすいでしょう。
1-3:企業のポテンシャルの有無
インサイト営業は、理念やビジョンの実現をご支援する営業です。そのため、お客様も今日明日の売り上げを出すことに注力するだけでなく、「数年後の理念やビジョンの実現」を優先的に考えることができるポテンシャルが必要です。
そのため、企業のポテンシャルの有無については、注視して確認し、ポテンシャルが有る企業をターゲットとして選定しましょう。
Step2:アポイントメントの取得
ターゲット選定が終わったら、次は、アポイントメントの取得です。インサイト営業を行う上でアポイントメントを取りたいお客様層は、ずばり「経営層」です。
しかし、経営層からアポイントメントを取得することは決して簡単ではありません。そのため、事前の準備をしっかりと行いましょう。
アポイントメントの取得に際して特に大切にしたいことは2つあります。
2-1:「ご挨拶」を目的にしない
まず、アポイントメントを取得する際に大切なことは、目的を「ご挨拶」にしないということです。
経営層とのアポイントというと、「ご挨拶」という目的でお伝えする方が非常に多いのですが、なかなかアポイントには結びつかないのが現実です。
なぜなら、お客様経営層は、忙しい方が多く、さらに昨今の新型コロナウイルスの影響もあり「ご挨拶程度であれば、お互いに忙しいですし、結構ですよ。」と断られてしまうからです。
2-2:アポイントメントの目的を端的に伝える
アポイントメントを取得するためには、「ご挨拶」ではない目的を設定する必要があります。
具体的には、「御社へのご提案をさせていただく前に、経営層の方から経営の理念やビジョン、方針などを直接お伺いさせてください。その方が、提案の方向性もブレがなく、御社内でも実施しやすい施策を考えることができます。」
といったように、お客様にとっての価値をしっかり考えて、目的を具体的にお伝えすることがアポイント取得の鍵となります。
Step3:ヒアリングの実施
無事に、経営層とのアポイントを取得出来たら、今度は商談時のヒアリングになります。
インサイト営業を実践する上で「ヒアリング」は、最も重要なフェーズと言っても過言ではありません。ここでは、ヒアリングの現場で実際に使える具体的なフレーズを交えてポイントをご紹介します。
3-1:ヒアリング内容を固める
まずは、ヒアリングの具体的な内容を固めましょう。インサイト営業を実践するにあたって、お客様の経営層からヒアリングすべき内容は、大きく分けて3つです。具体的には、「経営理念」「ビジョン」「戦略」です。
1つずつ見ていきましょう。
3-1―1:経営理念
インサイト営業で、これだけは押さえたいポイントの1つが「経営理念」です。「経営理念」は経営者の価値観を反映していることが多いです。そのため、経営者の価値観理解につながります。
会社を経営する上で何を大切にしているか、さらには、今までの人生の中で大切にしてきたことは何か?といった内容の質問を投げかけ、「価値観」を捉えていきましょう。
具体的にヒアリングのセリフ例は以下の通りです。
ヒアリング例①:「従業員に、常々伝えていることはありますか?」
ヒアリング例②:「日々大切にしている行動指針はございますか?」
ヒアリング例③:「創業時から大切にしているこだわり、文化はございますか?」
3-1-2:ビジョン
2つ目に押さえたいポイントは「ビジョン」です。経営者が将来何を目指しているのか、どんな世界を思い描いているのか?を捉えます。
ビジョンを把握するためにはどのような質問を投げかければよいでしょうか?具体的なセリフ例をご紹介します。
ヒアリング例④:「この事業で実現したいことは何ですか?」
ヒアリング例⑤:「今後、事業の先に見据えているものはありますか?」
ヒアリング例⑥:「お客様に何と言って喜ばれたいですか?」
3-1-3:戦略
3つ目に押さえたいポイントは「戦略」です。戦略とは、「ビジョンを実現するために考えている事柄」を指します。戦略というと難しく聞こえるかもしれませんが、具体的には、次の4つの観点で質問をすれば、戦略を捉えることが可能です。
その4つとは、「どの領域で?」「どんな強みを?」「誰に?」「どんな価値を?」です。
具体的なセリフ例をご紹介します。
ヒアリング例⑦:「どんな分野でお客様を増やしたいですか?」(どの領域で?)
ヒアリング例⑧:「他社と差別化できる強みは何だとお考えですか?」(どんな強みを?)
ヒアリング例⑨:「これから重要視していくターゲット層は、どこですか?」(誰に?)
ヒアリング例⑩:「お客様は御社の何に価値を感じていますか」(どんな価値を?)
3-2:自社の上司や経営層からの協力を得る
ヒアリングの際にもう1つ重要なことがあります。それは、自社の上司や経営層からの協力を得ることです。企業対企業の関係を構築するためにも、お客様の経営層が商談に出席される際には、自社も階層を合わせることが無難だからです。
Step4:施策の検討
お客様の経営層から「経営理念」「ビジョン」「戦略」を十分にヒアリングした後は、プレゼンテーションに向けての提案内容を考えていくことになります。
提案内容を作る際に、大切にすべきことは数多くあります。本コラムでは、特にポイントとなる2つをご紹介します。
4-1:ビジョン実現に向けた施策アイデアを練る
1つ目は、ビジョンを実現するアイデアを考えるということです。ヒアリングにてお客様から聞き出したビジョンを実現するため、自社で何ができるのか?ということを、考え抜いていきます。
その際には、これまでにない新しいアイデアを発想していく必要があります。ロジカルだけではたどりつかないような内容もそこで生まれる可能性が高いです。
結果、他社には真似できない自社ならではの提案が出来上がります。
4-2:価値観を表現する言葉を提案書に入れ込む
ヒアリングの際に、お客様の経営者が発した価値観に触れる言葉は、その文言の「一語一句そのまま」提案書に入れ込むようにすることが大切です。
例えば:記入例としては、「~価値観が表出する言葉~(MM月DD日A社長インタビューより)」といった形です。経営者が直接言葉として発した単語というのは、お客様の社内でも影響力が高く、競合勝率も高まるためです。
Step5:プレゼンテーションの実施
インサイト営業のプレゼンテーションには、従来の課題解決型営業と異なる特徴があります。それは、お客様から聞き出した「理念やビジョンの実現」を軸に、プレゼンテーションを行う事です。
プレゼンテーションを成功させるためには、いくつかの気を付けたい事柄がありますが、これだけは押さえるべきというポイントを2つに絞ってご紹介します。
5-1:背景よりもビジョンを先に伝える!
プレゼンテーションの冒頭でよく語られることの1つに「提案の背景」があります。しかし、インサイト営業のプレゼンテーションの冒頭は、「提案の背景」は語りません。
代わりに、お客様から聞き出した「ビジョン」を語ります。そして、このビジョンの実現に向けての想いを熱く伝えることが重要なポイントとなります。
5-2:プレゼンターの経験との共通点を織り込む
プレゼンテーションの冒頭でビジョンを語る際には、想いを伝えることがキーになります。そのためには、「なぜそのビジョンを実現したいのか?」というプレゼンターの個人的な経験を盛り込み伝えることが効果的です。
なぜなら、プレゼンテーションの聞き手に、プレゼンターが心の底から「ビジョンの実現を想っている」ということが、的確に伝わるからです。
以上、インサイト営業を進める上で大切にしたいポイントを営業のプロセスごとにご紹介しました。これら一つ一つのポイントをしっかり押さえ、実践に活かしていただければ幸いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本コラムでは、インサイト営業について詳しくお伝えしました。インサイト営業は、課題解決型営業の先を行く存在として、注目を浴び始めています。
しかし、インサイト営業を一朝一夕での実践が難しい営業手法ではあります。なぜならば、お客様の経営層からアポイントメントを取得する、ヒアリング機会を経て提案をするという行為そのものの難易度が極めて高いためです。
ただ一方で、インサイト営業を営業の引き出しとして身につけることで、これまでと全く変わった提案が可能になります。
また、お客様との関係性も変わり「競合勝率」が各段に上がります。これからの時代を生き抜く営業力を身につけることにもつながります。
これまでに、「理念」「ビジョン」を起点とした営業経験がない営業担当者の方も、是非、インサイト営業の実践のポイントを押さえ、実行に移してみてはいかがでしょうか。
目次
松下 慶子
株式会社アルヴァスデザイン・マーケティング担当。
大学卒業後、大手電機メーカーでシステム営業を経験。
2014年よりアルヴァスデザインへ参画。
旅と犬をこよなく愛する1児の母。