オンラインでも育成は可能!成功するOJT研修とは?
目次
こんにちは、石井です。
本日は、OJT研修についてみていきます。
新型コロナウイルスの影響により、営業環境の多くは対面からオンラインへと切り替わりました。この切り替えに際し、当時は多くの営業担当者が「この先の営業活動をどのように進めていけば良いのか」という不安を感じたはずです。
しかし、オンライン営業が主流になってから時間が経つにつれて、オンラインツールを使いこなし、お客様ともオンライン越しでコミュニケーションが円滑に取れる状態になったと感じる営業担当者は多いはずです。
一方で、マネジメント側では、いまだに「オンライン環境下で、どのようにメンバーを育成するか」ということに頭を抱えている方も多いはずです。特に、オンラインではOJTがうまく機能せず、想定通りに育成できていないと感じるマネージャー陣も存在します。
そこで、今回はオンラインでも有効なOJTとは何かを探り、OJT研修について理解を深めていきたいと思います。
OJT研修とは?
OJT研修のご紹介に先立ち、「OJT」「OFF-JT」などの言葉の意味から確認していきましょう。
OJTとは?
OJTとは、「On The Job Training」の略称です。
意味は、「実際の仕事・業務を通して実施する育成」です。具体的には、同行営業や戦略会議などがあります。
OFF-JTとは?
OFF-JTとは、「Off The Job Training」の略称です。
意味は、「実際の仕事・業務の現場を離れて実施する育成」のことです。具体的には、集合型の研修やセミナーなどがあります。
OJT研修とは?
OJT研修とは、実際の現場でメンバーを育成することを指します。
OFF-JT研修とは?
OFF-JT研修とは、まさに「営業研修」「マネジメント研修」というように、座学中心で学ぶスタイルの育成方式を指します。
OJT研修とOFF-JT研修の違いは?
両者の違いは、「現場での実践に根差して、現場で実行されている研修か否か」です。例えば、実際のお客様にOJTトレーナーとOJTトレーニーが一緒に同行営業をしながら、学びを深めていくことはOJT研修の1つです。
一方、実際のお客様を想定したロールプレイングを営業研修で実施することは、OFF-JT研修の1つと言えます。
営業研修ラインナップの資料ダウンロードはこちらOJT研修の目的・意義
では、OJT研修はどのような目的で実施されるのでしょうか。
1つ目:知識・スキルの向上
OJTは現場に根差した育成であるため、「現場ですぐに実践できる知識やスキルを身につける」ことが可能です。OJTを受けるトレーニーは、実際の現場で使われている知識・スキルを体験して学ぶことができるため、自らが実践する際のイメージを抱きやすいです。
また、学んだことをすぐに現場で実践できるため、自らの成長を感じやすいともいえます。これは、向上心にもつながり、モチベーションアップにもつながります。
2つ目:マインドの醸成
OJTでは、トレーナーである上司や先輩と共に営業活動をします。そのため、上司や先輩の仕事へのマインドをそのまま直に感じることができます。この熱量を感じることは、トレーニーのマインド醸成にも大きな役割を果たすと言えます。
また、上司や先輩を近くで見ることで、「将来のなりたい自分像」を描くこともでき、それに伴いマインドセットもおこなわれます。
3つ目:内省支援
OJTを受けるトレーニーの内省を促すことが可能です。トレーニーにとって、初めての仕事ではなかなか心に余裕を持つことができません。
なぜならば、目の前の仕事をこなすことで精一杯になるからです。しかし、OJTトレーナーが定期的に面談を通して、内省を促す質問をすることで、トレーニーの内省が深まります。また、副産物として、トレーナーとトレーニーの深い対話により、双方の関係性も強化されるでしょう。
OJT研修のメリットとデメリット
OJT研修ですが、メリットもあればデメリットもあります。双方を確認して、実施の有無を検討しましょう。
メリット
1つ目:実務と連動している
OJT研修は、実務と連動しているため、トレーニーにとって学びを実践で活用できるまでのスパンがとても短いと言えます。また、インプットとアウトプットを繰り返し行うことで、学びの定着も促され、営業スタイルの確立にもつながります。
2つ目:個別具体的な育成ができる
トレーニーのレベルにはバラつきがあります。OJT研修の良いところは、トレーニーのレベルに合わせて育成が実施できることです。トレーニーにとっては、自らのレベルにあった研修を現場で受けることができるため、自身の成長にもつながりやすく、また精神衛生上も働きやすい環境だと感じるはずです。
3つ目:コストがかからない
OJT研修は、基本的に上司や先輩が実務を通して実施します。そのため、外部に発注する特別なコストが発生しません。外部へのコストがかからず、育成を実施できるということは会社にとって大きなメリットになるでしょう。
デメリット
1つ目:トレーナーのスキルが求められる
OJT研修を成功させるためには、トレーナーのスキルが必要です。なぜならば、育成の大部分は各トレーナーに任せられているためです。トレーニーに教えることができる営業知識やスキルに加え、育成計画立案力やコーチング力なども必要です。
2つ目:属人的な育成になる可能性がある
OJT研修は、トレーナーに任せられることが多いです。そのため、トレーナーごとに育成のやり方が異なり、結果としてトレーナーの属人的な育成になる可能性があります。そのため、会社として一律に求められる営業スタイルを身につけたいのであれば、OFF-JT研修の方が向いていると言えます。
3つ目:仕事の遅延やミスが起こる可能性がある
OJT研修を実施することは、トレーナーにとっても大きな負荷になります。OJT研修に時間や労力を割くことで、普段の仕事が遅延する可能性があります。
また、トレーニーに仕事を任せることは、ミスを誘発する可能性もあります。トレーナーは、想定される遅延やミスを先回りして、仕事を進める力も求められます。
OJT研修を成功させる3つのポイント
OJT研修を成功させるには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。今回は、特に意識したい3つのポイントをご紹介します。
その1:OJT研修をやる意義を明確にする
最も大切なことは、「なぜOJT研修を実施するのか」を会社の経営側がメッセージを発信することです。
OJT研修は、現場のトレーナーにとっても大きな負荷がかかるだけでなく、トレーニーの成長は将来の会社の業績にも影響する重大な事柄です。そのため、経営側がOJT研修を実施する意義を打ち出す必要があります。
また、OJT研修の実施に対して、少しでも疑問や不安な点があれば、払拭する機会を設けることも効果的です。
何ごとも新しい取り組みを会社全体で行う際には、新しいことに対して抵抗感がある社員は一定数存在します。OJT研修を実施する意義に納得して初めて、トレーナーも高いパフォーマンスを発揮できます。
以上のことから、OJT研修を実施する意義を明確にすることが必要です。
その2:OJT研修を会社として育てる
OJT研修は、現場で実践して改善して精度をあげていく必要があります。そのために2つのことを実施しましょう。具体的には、OJTトレーナーの教育とOJT研修の改善会議の実施です。
OJTトレーナーが一律に質の高い育成を実施するためには、OJTトレーナーに対する意識合わせや知識・スキルの付与が必要になります。また、OJT研修を常に改善して、質の高いものにしあげていくような会議体を設けることも重要です。
その3:OJT研修と評価を紐づける
OJT研修と評価をしっかりと連動させる人事制度を整えましょう。OJTトレーナーにとって、このような評価制度を設けることは、自身の育成が適切に評価されているかどうか、ということを確認できます。
また、評価項目に入っていることで、日ごろから特に意識して仕事に取組み、周りからのフィードバックをもらう機会も増えるはずです。
以上のことから、OJT研修と評価はセットで考えるようにしましょう。
営業研修ラインナップの資料ダウンロードはこちらOJT研修の効果を高めるPDCA
営業現場で、効果的なOJT研修のやり方をご紹介します。OJT研修を実施する際に大切になることは、PDCAサイクルをしっかりと回すことです。
では、早速みていきましょう。
※PDCAサイクルとは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)のことです。
Plan(計画):OJT研修の計画を立てる
OJT研修を実行する前に大切なことは、OJT研修の計画を立てることです。計画を立てる際には、「達成したいゴール」「実施期間」「実施内容」など、細かく設定しましょう。
Do(実行):OJT研修を実施する
まずはPlanで立てた、計画通りに実行してみましょう。その際に大切になることは、トレーナーとトレーニーの間で、計画を確認しつつ、どの部分を実行しているのかを確認することです。
Check(評価):OJT研修を評価する
実行した内容で、ゴールに近づいているか、きちんと成果が創出されているかを振り返り、評価を行いましょう。評価の頻度は、最低でも月に一度行い、次の改善行動につなげましょう。
Action(改善):OJT研修を改善する
OJT研修は計画通りに全てがうまくいくとは限りません。そのため、トレーナーとトレーニーの間で常に相談しながら、より良いOJT研修が実施できるように軌道修正を行いましょう。
OJT研修の具体例:同行営業
実際に、OJT研修をどのように行うのかの事例を見ていきましょう。今回は、営業現場で一番頻度の高い、同行営業を元にOJT研修を考えてみます。
同行営業前の事前準備
同行営業を実施する前に大切になるのが、商談の準備です。初めて営業活動をするトレーニーにとっては、どのような資料を準備すれば良いのかをはじめ、事前に行うべき準備項目がわからない状態です。
このような状況下で、トレーナーは準備に必要な項目を伝え、トレーニー一人でも準備ができるように指導していきます。
同行営業
実際に、同行営業をするシーンを見ていきましょう。営業を始めたばかりのトレーニーは、商談において何を話せば良いのかが具体的に理解できません。そのため、まずはトレーナーの営業しているところを見て、トレーニーは学ばなければなりません。
しかし、見ているだけではトレーニーの営業力も向上しません。そのため、トレーナーはトレーニーが話す部分を少しずつ増やし、最終的にはトレーニー一人でお客様と商談ができるまで成長させてあげましょう。
同行営業後の振り返り
同行営業の振り返りは、商談の直後が望ましく、互いに商談で感じたことはもちろんのこと、トレーナーからトレーニーに対してフィードバックを行いましょう。
トレーニーが次回の同行営業まで成長できるポイントを指示して、練習させるのも良いでしょう。また場合によっては、社内でロールプレイングを実施して成長を支援することも必要です。
※同行営業関連の記事はこちらからご覧いただけます。
>効果を最大化する同行営業のやり方とは?営業改革の専門家が持つノウハウを大公開
オンライン下でOJT研修を実施するコツ
現在は、新型コロナウイルスの影響で、オンライン上でOJT研修を実施している企業も多いはずです。今回は、オンラインでも実施可能なOJT研修についてもみていきましょう。
コツ1:相互理解の機会を意図的に設ける
リモートワーク下では、上司と部下であってもコミュニケーション機会を多くすることは難しいと言えます。
コロナ以前は、カフェやランチに加え、商談の移動時間も使い、互いを理解する機会を設けることができました。しかし、リモートワーク下では必要な時のみ連絡を取り合うことが一般的です。
このような状況下では、上司と部下の相互理解が低下することが想定されます。
相互理解がないまま、部下をOJTすることは、部下の実力にあった育成ができないことの他、部下の精神的な健康面の確認もすることができません。そのため、1on1ミーティング(1対1で話し合う場)を意図的に設定して、互いの理解を深める時間を持つと良いでしょう。
コツ2:結果よりもプロセス共有を心がける
リモートワーク下では、上司は部下の仕事ぶりがなかなか見れないため、どうしても結果で評価をしたがります。しかし、営業担当者を評価する際に、営業数値だけで評価を決めることはオススメしません。
なぜならば、OJT研修の実施対象者である部下メンバーは、まだまだ営業担当者としては成長段階です。この段階において大切なことは、営業数値を出すことよりも、着実な成長にあります。
そのため、営業の結果よりもプロセスの共有に重きを置き、部下メンバーが何にできるようになったのか、困っているのかなどを把握できるようにしましょう。
コツ3:ロールプレイングの実施頻度を高める
リモートワーク下では、部下メンバーの営業の実力を把握することはなかなかできません。また、必要な時しかコミュニケーションを取らないため、営業に関するアドバイスもしにくい環境です。
このような中で有効な手段が、部下メンバーと「定期的にロールプレイングを実施すること」です。ロールプレイングを実施することで、部下メンバーの実力を把握しつつ、OJT研修を実施することが可能です。
また、ロールプレイングでは営業担当者にとって実用的なスキルをアドバイスする機会にもなりえます。
コツ4:商談前後に打ち合わせする機会を作る
リモートワーク下では、商談でスケジュールがびっしり埋まっていることも珍しくないはずです。
しかし、このような中でも商談前後の打ち合わせは必須です。商談前に打ち合わせをすることで、OJTトレーナーは、商談で部下メンバーに成長してほしいポイントを再確認できます。
また、商談後の打ち合わせで、商談でできたことできなかったことを確認して、次の商談につなげることができます。
コツ5:OJT研修のノウハウを共有しあう
新型コロナウイルスによって、リモートワークになってから、まだ数年しか経っていません。対面での商談が主流であった年月よりも、はるかに短い期間と言えます。
そのため、OJT研修では完璧を求めすぎず、都度互いのノウハウを共有して、高め合っていく必要があります。OJTトレーナーを集めて、どのように部下メンバーを育成するとより成長できるのかといった会議を設けることも有効です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、「OJT研修」についてみてきました。
OJT研修の概要に加え、メリットやデメリットを確認しました。これらのポイントを押さえることで、OFF-JT研修と組み合わせながら、営業人材の育成に取り組まれることで、確実に成果が出てくるはずです。
社内で人材を育成して、一人前に育てることは一筋縄ではいきません。しかし、OJT研修を実施し続けることで、トレーニーは少しずつ成長して、数年後にはトレーニーがトレーナーになり、また新しいメンバーを育成するという良い循環もできあがります。
ぜひ、本記事を参考にOJT研修に取り組んでみてください。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。3歳息子のパパ。