営業
2023.08.21

インサイト営業の具体的なやり方とは?実践者が各プロセスを詳しく解説!

こんにちは、石井です。

本記事は、インサイト営業のやり方を解説しています。

早速ですが、インサイト営業をご存じですか。

  • 聞いたことがない
  • 名前だけは知っている
  • 内容を少し知っている
  • 内容を知っているが実践していない
  • すでに実践している

どれに該当しますか?

本記事は、②~④に焦点を当てています。①の方は、ぜひインサイト営業の基本を解説しているこちらの記事をご一読ください。
>インサイト営業を実践する3つの意義を解説!最新の営業手法で他社を圧倒しよう!

現在は、インターネット検索だけでなく、ChatGPTやその他のAIを活用したテクノロジーを使うことで、お客様は自社の課題と解決策の発見がより容易になりました。

これにより、ソリューション営業を実践する営業担当者の価値が減少していると言えます。

一方で、インサイト営業はお客様のありたい姿の実現施策をクリエイティブに思考する営業スタイルです。そのため、AIの進化の影響を受けにくいと言えるでしょう。

これらについては、実践!インサイトセールス(高橋 研著 2018年 プレジデント社)にて詳しく解説されています。

では、インサイト営業のやり方を見ていきましょう。

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インサイト営業の概要

まずは、インサイト営業の概要を確認します。今回は、ソリューション営業と比較することで、インサイト営業の特徴を考えていきます。

表が示すように、インサイト営業はソリューション営業と4つ観点で異なると言えます。

現在、ソリューション営業を実施されている方は、ぜひご自身の営業スタイルとも重ね合わせながらご確認ください。

観点1:ターゲット顧客

ソリューション営業は、お客様自身が明確な課題を持っている場合に有効です。課題を認識し、その解決策を検討しているお客様がターゲットとなります。

一方で、インサイト営業のターゲットは経営理念やビジョンの実現を最優先しているお客様です。

観点2:事前準備

ソリューション営業では、お客様の課題を正確に捉えることが重要です。そのため、営業担当者の事前準備としては、課題や解決策の精度の高い仮説を立てることです。

一方、インサイト営業では、理念やビジョンを聞き出すことが重要です。そのため、お客様の価値観を理解するような質問を用意することが重要です。

観点3:商談内容

ソリューション営業では、明確な課題の聞き出しに加えて、自社の商品やサービスへの興味・関心を喚起することが大切です。

一方、インサイト営業はお客様の経営層から理念やビジョンを引き出すことが大切です。そのためには、傾聴する姿勢理念やビジョンを引き出すインタビュー能力が肝要です。

※インサイト営業のインタビューについて知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
>インサイト営業 虎の巻:経営者との対話3つのポイント

観点4:提案内容

ソリューション営業では、お客様の課題を解決する手段として、いかに自社の商品やサービスが優れているのか、価値があるのかを論理的に説明することが大切です。

一方で、インサイト営業では、理念やビジョンを実現するための施策をクリエイティブに考案します。言い換えると、お客様の環境を考え先回りした提案が求められます。

やり方1:ターゲット顧客の選定

インサイト営業の最初のプロセスは、ターゲット顧客の選定です。今回ご紹介する3つの観点でターゲット顧客を選んでいきましょう。

観点①:理念やビジョンの優先度

インサイト営業は、お客様の理念やビジョンを実現するために行います。そのため、おのずからお客様が理念やビジョンの実現に重きを置いていることが重要なターゲット選定の基準になります。

具体的には、地域密着を目指している企業や創業者一族で経営している会社などは、ターゲットになる可能性が高いと言えるでしょう。

反対に、一定の任期でローテーションしている経営者や、理念やビジョンよりも売り上げ重視の会社はターゲットにはならない可能性が高いでしょう。

観点②:お客様の仕事への熱意

インサイト営業は、お客様の価値観を深く聞き、インサイトを見抜いていきます

お客様自身がどのような想いで、どのような未来を描きたいのかという熱い気持ちがあればあるほど、営業担当者はお客様のインサイトを発見しやすくなります。

そのため、お客様がどれほど仕事にパッションがあるのかということは、ターゲット選定の基準になります。

具体的には、お客様の経営層はもちろんですが、仕事に対して情熱を燃やしているマネージャー層の方がいれば、インサイト営業の威力が発揮される可能性が高いと言えます。

なぜならば、このような方々は現状維持よりも何かを変えること、つまりは変革に対しての気持ちが強く、それを支えている仕事観(=価値観)も確立されているからです。

観点③:企業のポテンシャル

お客様の企業としてのポテンシャルも重要です。ポテンシャルとは、一言で表現することは難しいですが、平易な表現をすると「企業がどれくらいの財力を保持しているか」です。

インサイト営業は未来志向で、理念やビジョンの実現を支援する営業です。そのため、お客様自体が相応のポテンシャルを保持していなければ、これらの会話に深みが出ず、常に短期的な目線での対話になってしまいます。

以上のことから、企業としてのポテンシャルもインサイト営業のターゲット選定では大切な要素なのです。
>インサイト営業のターゲット選定方法とは?インサイト営業の基本も合わせて解説!

やり方2:アポイントメントの取得

インサイト営業は、お客様の経営層と理念やビジョンについて対話し、価値観や想いを引き出していきます。その前に、営業担当者はお客様の経営層からアポイントメントを取得しなければなりません。

もちろん、アポイントメントの取得方法に関しては、画一的な正解があるわけではありません。しかし、下記を意識することでアポイントメントの取得確率を高めることが可能です。

ポイント1:「ご挨拶」を目的にしない

お客様の経営層とアポイントメントを取得する際に、「一度、御社の経営層の方にご挨拶させてください。」や「表敬訪問をさせてください。」と言う営業担当者の方は多いのではないでしょうか。

結論として、インサイト営業の場では、「ご挨拶」を目的にアポイントメントを取得することは避けるべきです。

理由は2あります。1つ目は、「ご挨拶であれば結構ですよ。」とお客様側が断りやすいからです。当然のことながら、お客様にとって断りやすい提案を営業担当者がすべきではありません。

2つ目は、たとえ「ご挨拶」を目的にアポイントメントを取得できたとしても、インサイト営業のヒアリングを実施できるとは限らないからです。

インサイト営業のヒアリングは、お客様の経営層の価値観や想いにフォーカスします。そのため、雑談やエレベーターピッチのように、簡単に済ませることができるような会話ではありません。

ポイント2:提案と紐づけた目的を伝える

お客様の経営層からアポイントメントを取得する確率を高めるためには、今後予定している提案を紐づけて話すことが良いです。

具体的には、「ご提案に先立って、御社の理念やビジョンなどの進む方向性を理解することで、私たちの提案内容と御社の方向性にブレがなくなり、御社にとっても価値があるものだと思っています。

ぜひ、一度お話をお伺いさせていただけませんか。」というようなフレーズが良いです。
>インサイト営業 虎の巻:経営層とアポイントを取る際のポイント
>インサイト営業のアポイントメント取得方法!いかにして経営層から商談機会を得るのか?

やり方3:ヒアリングの実施

インサイト営業では、お客様の経営層から理念やビジョンをヒアリングします。

ただ、リンク先の記事の調査結果からも明らかなように、多くの営業担当者は、「経営層と話をした経験に乏しい」、「どのような対話をすれば良いのかの検討がつかない」と感じています。

そこで、インサイト営業のヒアリングを実践する上で、重要になる対話の観点と具体的なトーク例をお伝えします。

観点1:理念

ヒアリング例①:「経営するにあたり、最も大切なお考えは何ですか?」
ヒアリング例②:「創業以来、変わらないお考えはありますか?」
ヒアリング例③:「会社が成長しても、ずっと変えたくない想いや指針はありますか?」

観点2:ビジョン

ヒアリング例④:「事業の先に見据えている構想はありますか?」
ヒアリング例⑤:「数年先、この会社はどのような姿になっていたいと思われますか?」
ヒアリング例⑥:「お客様に一番言われたい言葉は、何でしょうか?」

観点3:戦略

戦略に関する質問は、「どの領域で?」「どんな強みを?」「誰に?」「どんな価値を?」という4つの視点で質問を考えます。

ヒアリング例⑦:「今後は、どの領域でお客様を増やしたいですか?」(どの領域で?)
ヒアリング例⑧:「これだけは負けない、と考える御社の強みは何ですか?」(どんな強みを?)
ヒアリング例⑨:「どのような方々にお客様になっていただきたいですか?」(誰に?)
ヒアリング例⑩:「お客様はどのような価値を感じてほしいですか?」(どんな価値を?)

インサイト営業のヒアリングについて詳細を知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
>「インサイト営業」成功のカギは経営層からのヒアリング!具体的な対話例も掲載!

なお経営者との対話の観点をまとめた資料は、こちらからダウンロード頂けます。

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やり方4:プレゼンテーションの実施

インサイト営業の最後のフェーズは、お客様の経営層に対するプレゼンテーション(以下、プレゼン)です。下記の2点を意識して、効果的なプレゼンを実施しましょう。

ポイント1:理念とビジョンから伝える

一般的なプレゼンテーションの冒頭は、お客様が置かれている現状や外部環境の分析を元にした背景の説明から始めます。

しかし、インサイト営業のプレゼンは、お客様の理念やビジョンから始めます。この理由は、冒頭からお客様の経営層をプレゼンに引き込むためです。

確かに、営業担当者がお客様の現状や施策の背景を説明することは重要です。しかし、これらの情報はお客様が知っているケースも多く、その場合はお客様を退屈させてしまう可能性があります。

そのため、プレゼンの冒頭ではいきなり経営層の関心事である理念やビジョンの話からスタートする方が良いのです。

ポイント2:体験談を話して共感を引き出す

プレゼンターである営業担当者が、なぜお客様の理念やビジョンに共感しているのかを伝えることは大切な要素です。その際に、営業担当者の個人的な体験談を語ることは大変効果があります。

具体的には、「私は、御社の○○に大変共感をしているため、ぜひご支援をしたいと思っています。なぜならば、私の個人的な体験になるのですが、~~ということがあったからです。

そのため、私は一人の営業という立場であることに加えて、個人的にも御社と心から仕事をしたいと考えております。」というようなメッセージを伝えましょう。

これらのプレゼンは、株式会社アルヴァスデザインが商標登録をしているビジョナリープレゼンテーション🄬の一部です。気になる方は、ぜひこちらをダウンロードしてみてください。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事は、インサイト営業の基本的な解説に加えて、インサイト営業のやり方を各営業プロセスに沿って解説しました。インサイト営業の実践は、時間も労力もかかります。そして何よりもとても難易度が高い営業と言えます。

しかし、インサイト営業は競合勝率が高く、またAIに駆逐されない営業手法の1つとしても注目されていることは事実です。

お客様の課題を聞き出し、その課題の解決策を提案しているにも関わらず、結局は競合との価格競争や条件競争に巻き込まれてしまっている営業担当者の方は、ぜひインサイト営業をチェックしてみてください。

インサイト営業という引き出しを増やすことで、他社の営業担当者と差別化できる可能性を高めることができます。

このような背景から、今からインサイト営業に取り組み、少しずつ成功体験を増やしていくことで営業としての引き出しを増やしてみてはいかがでしょうか?

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