ソリューション営業とインサイト営業を徹底比較!営業の新旧対決の勝者は?
目次
こんにちは、松下です。
本日は、これからの時代の営業として注目を浴びている「インサイト営業」についてお話していきます。
皆さまは、「インサイト営業」を耳にしたことはありますか?この「インサイト営業」ですが、米国で生まれた営業手法で、ビジネス誌の「バーバードビジネスレビュー」にて特集が組まれたことをきっかけに、日本に入ってきました。
現在の日本の営業手法の主流は「ソリューション営業」と言われています。そのため、「インサイト営業」を知っている、実践しているという方は少数かもしれません。
そこで、本日は、「ソリューション営業」と「インサイト営業」を比較しながら「インサイト営業」とは何かについて解説をしていきます。
インサイト営業の概論
はじめに、「インサイト営業」とは何か?基本的な概念を押さえていきましょう。
インサイト営業とは?
「インサイト営業」とは、文字通り「インサイト」と「営業」を掛け合わせた言葉です。
さて、「インサイト」とは、どういった意味でしょうか。
「インサイト」とは、辞書で調べると「洞察」「直感」という意味が出てきます。つまり、「インサイト営業」を直訳すると、「洞察営業」や「直感営業」という事になります。
ただ実際は、「お客様の理念や価値観を深く傾聴し、ビジョンを共に創造する営業」という意味合いになります。
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では、現在、日本でなじみの深い「ソリューション営業」とは何が違うのでしょうか?
ここで、2種類の提案書を見比べて頂きたいと思います。
赤色の提案書も緑色の提案書も、「同じ営業」が「同じお客様」に対して「同じ内容」の提案をするものです。しかし、提案書の方向性が全く異なります。
皆さんは、「赤」と「緑」どちらの提案書に、より心が惹かれるでしょうか。
この質問には正解はありません。しかし、これまで数千人にこの質問を実施してきた中で、約9割以上が選ぶ提案書があります。それは、「赤」の提案書です。この提案書いったい何が違うのでしょうか?
「赤」と「緑」の提案書の違い
この2つの提案書の違いは、お客様の何にフォーカスしているかです。「緑」の提案書は、お客様の「課題」にフォーカスして作られています。お客様のこれまでに起きた課題をベースに、その課題を解決するためには何をすればよいか、その策を提案しています。
一方で、「赤」の提案書は、お客様の「実現したい未来(ありたい姿)」にフォーカスして作られています。未来のビジョンに目を向けてその実現のためには何をすればよいか、提案しています。
もうお気づきのかたもいらっしゃるかと思います。
「緑」はソリューション営業であり、「赤」がインサイト営業をした提案書です。
「人間」が提案書を選ぶ
昨今、AIがめざましい進化をとげていますが、その現代においても、やはり、提案書の良し悪しを判断し、最終的な意思決定をするのは「人間」です。
そのため、「お客様の心にいかに響く提案をするか」は重要なポイントです。そして、その「心に響く提案」には、未来視点でお客様のありたい姿を実現するメッセージが必要となるのです。
ソリューション営業とインサイト営業の相違点
ソリューション営業とインサイト業の違いを前章で少し感じて頂けたかと思います。お客様の心に響きやすいという特徴のあるインサイト営業ですが、ソリューション営業とは具体的にどのように異なるのでしょうか?
①ターゲット顧客 ②事前準備 ③商談内容 ④提案内容の4つの観点で違いを見ていきたいと思います。
①ターゲット顧客
ソリューション営業とインサイト営業ではターゲットとするお客様が異なります。それぞれの営業手法がささりやすいお客様がいますので相違点を捉えて使い分けるとよいでしょう。
まず、ソリューション営業がささりやすいお客様は、「明確な課題がある企業」や「需要が確実に存在する企業」です。
課題が明確になっており、この課題を何とか解決したい、それが何より一番だ!という想いが強い企業であれば、ソリューション営業がささりやすいでしょう。
これに対し、インサイト営業がささりやすいお客様は、「理念・ビジョンが明確な企業」です。まさに、インサイト営業はお客様の理念・ビジョンの実現に向けて伴走支援していきます。
そのため、「理念・ビジョン」に対し、熱い想いをお持ちの企業にはインサイト営業が適しています。そして、未来のビジョンの実現に向けて動けるだけの余裕がある企業かどうかというのも選定のポイントになるでしょう。
また、「環境変化にさらされている企業」というのもインサイト営業が適合しやすいです。現状維持では立ち行かない状況にあればあるほど、未来に向けての変革をともに作っていきやすいからです。
②事前準備
続いて、事前準備はどのように異なるのでしょうか。
ソリューション営業の事前準備は、「お客様の課題の仮説立案」が重要なポイントになります。お客様の抱えている課題を想起し、それに向けての解決策を考える。こんな事前準備が必要になります。
インサイト営業の事前準備は、「お客様の理念・ビジョンの仮説立案」が重要なポイントとなります。
ビジネスの環境調査も踏まえ、お客様がどんな未来を思い描いているのか、徹底的に調べます。商談時にどのような事を引き出そうかということを考え質問をまとめておくことも大切です。
③商談内容
商談内容も、ソリューション営業とインサイト営業では異なります。
まず、ソリューション営業の場合は、課題を抱えている責任者および担当者レベルの方との会話で話を進めることができるでしょう。何が現在課題となっているのかを正確に説明ができる方から、丁寧にヒアリングをし、解決策を見出していきます。
そして、自社の商材やサービスがお客様の解決策にどのように適合するかを見極めていきます。商談の中で、お客様が自社商材への関心があるかどうかも確認していきます。
インサイト営業の場合は、まず商談するお客様のレイヤーが上位層に上がります。経営層から直接話をお聞きするということが一番効果的です。
なぜなら、「お客様の理念やビジョンを徹底的に傾聴する」ことがインサイト営業の肝だからです。
また、お客様の理念やビジョンは経営層の価値観に紐づいていることも少なくありません。そこで、商談の場では、経営層の価値観まで掘り下げて、質問します。その中で、未来に描いているビジョンを捉えていくのです。
④提案内容
提案内容は、上述した赤と緑の提案書が典型的な例になりますが、改めて本章でも説明いたします。
ソリューション営業の提案内容は「お客様の課題解決」がメインになります。どちらかというと視点は過去にあることが多いです。お客様が抱えている課題をいかに自社の商材で解決できるか…その優位性を伝えます。
一方、インサイト営業の提案内容は「理念やビジョンの実現」がメインです。未来に視点が向いています。お客様が未来に実現したい事柄を見据え、環境変化への先回り対応も踏まえ提案を行います。
ソリューション営業が課題を解決するといういわゆるロジカル(理屈)で成り立つ提案になるのに対し、インサイト営業の提案は、クリエイティブな提案になります。
企業によってばらつきがでますが、営業担当者がいかにクリエイティブな思考を働かせ、今までにない提案を創り上げることが求められます。
以上が、ソリューション営業とインサイト営業の違いでした。
より難易度が高く、時間と労力を要するのがインサイト営業です。
しかし、上記のような違いを踏まえて、お客様にあわせて営業活動を行っていくと、次第にお客様にフィットした営業が実現することでしょう。是非、明日からの現場に活かしていただければ幸いです。
まとめ
本記事では、インサイト営業の概要をお伝えした後、具体的にソリューション営業とは何が違うのかについて比較してみていきました。
まだ、日本ではソリューション営業がスタンダードですが、時代の変化とともに行き詰まりを感じている営業担当者も少なくありません。
お客様の未来に視点を当てた「インサイト営業」を是非、あなたの営業の引き出しの一つに加えてみてはいかがでしょうか。
ぜひインサイト営業をスタートしましょう。
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松下 慶子
株式会社アルヴァスデザイン・マーケティング担当。
大学卒業後、大手電機メーカーでシステム営業を経験。
2014年よりアルヴァスデザインへ参画。
旅と犬をこよなく愛する1児の母。