VUCAを生き抜くための素養とは? ~いま大注目の「エクスポネンシャル思考」の著者インタビュー動画付き!~
目次
こんにちは、荻原です。
本日は、「VUCA」について考えていきたいです 。
皆さんは、VUCAという言葉を聞いたことがありますか?昨今、多くのメディアで注目されている言葉であるため、耳にしたことがあるかもしれません。
では、VUCAがもたらすビジネス環境の変化や、これからVUCA時代をどのように生き抜けば良いのかを考えたことがある方はいますか?本コラムでは、これらの事柄を深く考えていきます。
早速ですが、なぜ、VUCAが注目され始めたのでしょうか?さまざまな理由が考えられますが、大きく分けると2つの要因が考えられます。
1つ目は「テクノロジーの進化」です。今やテクノロジーの進化速度は人類の対応可能な未来予測の域をはるかに凌駕してしまっています。
つまり、安易に未来予測ができなくなったということです。以前までは、程度の差はあれ、未来予測は可能でした。なぜならテクノロジーの発展速度が緩やかであり、市場に溢れている情報の量は現在に比べるとかなり少なかったからです。
2つ目に、「情報流通度の爆発的増加」が挙げられます。2000年代のIT革命以降、全世界的規模でインターネットへのアクセスが容易になりました。そのため、以前の企業が流行を作るという流れから、一般消費者も流行を作るという流れに変わりました。
これは、企業が描く未来を具現化しづらくなったことに繋がります。これからVUCA時代を生き抜くためには、このような予測困難な未来を見据えて、自らの能力を開発していかなければならないのです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
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VUCAとは、「世界の全てが非常に複雑化し、将来予測が非常に困難になっていること」を指します。そして、これらを表現する4つの単語の頭文字からなる造語です。以下4つ頭文字の意味です。
V…Volatility 変動性
U…Uncertainty 不確実性
C…Complexity 複雑性
A…Ambiguity 曖昧性
元々は、1990年頃の冷戦後の複雑で不確実な世界を表す軍事用語でした。それが、2010年頃からビジネスの世界に転用されたという背景があります。
Volatility:変動性
Volatilityとは?
Volatilityとは英語で「変動性」を意味しています。ここでいう、変動性とは、「世界が短期間で変化しやすく未来予測できない状態」ということです。1990年以降のIT革命により、インターネットが登場しました。
これにより、世界のありとあらゆる情報が世界のどこからでもアクセスできるようになりました。その結果、以前までは想像することもできなかった様々なイノベーションが誕生しました。例えば、NetflixやAmazon、FacebookにYou Tubeです。
これらの革命的なイノベーションにより、従来では実現しえなかった業界自体の破壊が起きたのです。
業界自体の破壊とは、その業界の「根底が覆る」という意味です。大手ビデオレンタル業界を破壊してしまったNetflixがその典型例です。このようにインターネットの登場により、これまで考えられなかったことが起きてしまう世界、つまり「激しく変化する」世界に変わってしまったのです。
Volatilityの事例:日本大手カメラメーカー コダック社
よりイメージしやすいように具体的な事例を紹介します。
現在では、「写真撮影をする際にはスマートフォンを使用する」という行動が根付いています。しかし、2000年ごろまで世界はアナログカメラが主流商品でした。当時、多くの人がアナログカメラからデジタルカメラに移行するはずはないと考えていました。
しかし、その後登場したデジタルカメラが世界大手の写真用品メーカーを倒産にまで追い込みました。まさに、短期間で世の中の常識が変わった瞬間です。
Uncertainty:不確実性
Uncertaintyとは
Uncertaintyとは、英語で「不確実性」を意味しています。ここでいう不確実性とは、「世界の変化スピードが激しく、未来を事前に描けない状態」ということです。2000年ごろまでは、大学を卒業し良い企業に就職さえすれば人生は老後までは安心できるというのが主流でした。
それは、年功序列制度や終身雇用制度があったためです。しかし、2021年現在では、どうでしょうか。年功序列制度や終身雇用制度は崩壊し始めています。
つまり、以前に比べて未来は不確実になってしまったということです。また、地球温暖化による環境の変化や新型コロナウイルスの登場もその代表例です。
Uncertaintyの事例:米国の大手百貨店メイシーズ
よりイメージしやすいように具体的な事例を紹介します。
2000年代初めにオンラインでの小売りが増えてきた頃、他社がオンラインのプラットフォームを外注で行うのに対し、メイシーズはそれを行いませんでした。いつオンライン小売が大きな市場になるのか「不確実」であったため、安易に外注する事を控えたのです。
逆に、その不確実性の高い未来に対して、自社が立ち向かい勝利を収められるように、自社でオンラインのプラットフォームを構築しました。結果、自社の「顧客体験」をオンライン上で緻密にコントロールし売上を伸ばしていきました。
このように、まさに状況が不確実な中でも、企業は利益を生み成長し続けるために、未来を自ら構築していく必要があると言えます。
Complexity:複雑性
Complexityとは
Complexityとは、英語で「複雑性」を意味しています。ここでいう複雑性とは、「さまざまな要素が非常に複雑に絡み合っており、簡単に解決策を示せない状態」ということです。
VUCA時代以前まではマーケット調査はしやすい状況にありました。それは、インターネットが普及しておらず、情報源といえばテレビや新聞メディアが中心だったからです。したがって、ビジネスの方向性を示しやすかった時代と言えます。
しかし、現在ではインターネットの存在が当たり前になりました。そのため以前までのテレビや新聞メディア主体のやり方では競争に負けやすくなったと言えます。
Complexityの事例:インドの自動車メーカー タタ・モーターズ
よりイメージしやすいように具体的な事例を紹介します。
2012年頃、インドの車メーカーであるタタ・モーターズが国内向けに新商品を発表しました。それは、新車で約20万円と世界で一番安い車というものでした。超低価格車であったため世界的にもニュースになったので覚えている方いるでしょう。
しかし、結局あまり売れることはありませんでした。それは、既に国内での可処分所得が上昇しており、約20万円の車を所有することはそれほど魅力的に映らなくなっていたからです。このように、時代はとても複雑化しているため簡単にはビジネスの方向性を指し示しづらくなったと言えるのです。
Ambiguity:曖昧性
Ambiguityとは
Ambiguityとは、英語で「曖昧性」を意味しています。ここでいう曖昧性とは、「過去の成功体験や成功事例が通用しなくなるほど価値観がさまざまで明確な指針が無い状態」ということです。VUCA時代以前までは、成功事例の水平展開は実施しやすい環境でした。
しかし、現在では日々消費者のニーズは多様化の一途をたどっています。つまり、これが正解という一つの回答を得にくく、ばらつきのある状態です。つまり成功事例の水平展開がしづらい世の中になっているということです。
Ambiguityの事例:日本の大手物流企業 ヤマトグルー―プ
よりイメージしやすいように具体的な事例を紹介します。
大手企業である「ヤマトグループ」が2020年4月コロナ禍の中、ベンチャーキャピタルファンドを設立しました。
出資する企業は、物流及びサプライチェーンに変革を起こしうる革新的な技術・ビジネスモデルを有するスタートアップ企業としており、対象地域は日本を中心に世界各地域と幅広く指定されています。
このように、大手企業がスタートアップ企業に投資を行うというのは、まさに自社がこれまでに築いてきた成功事例をそのまま水平展開することだけではままならないことの表れと言えます。「ともに新たな価値を創造し、成長モデルを創出する」ことが必要になってきているのです。
以上が各頭文字の意味になります。
それでは、このVUCA時代を生き抜く上で必要なこととは何でしょうか。次章で見てきたいと思います。
VUCA時代で求められる素養 5ステップ
VUCA時代で求められる素養は多岐にわたりますが、大きく分けると5つ存在します。その素養は、ステップ1~ステップ5のように段階を踏んで身に着けていくと効果的なためステップに分けて説明します。
以下の5つです。
- ステップ1:止まることのない知的探究力を持つ
- ステップ2:逆境にも対応できるレジリエンスなメンタリティを培う
- ステップ3:多様な価値観を受け入れられる心の広さを育む
- ステップ4:難しい決断に対応できる意思決定能力を鍛える
- ステップ5:OODAループ思考を活かす
では、1つずつ見ていきましょう。
・ステップ1:止まることのない知的探究力を持つ
VUCA時代において「情報」は非常に大切です。なぜなら、予測不可能なVUCA時代において情報は行動指針を決める道標になるからです。実際、正しい最新知識は突然のトラブル対処にも役立ちます。
先の新型コロナウイルスの対応において、テレワークに関する知識がなかった会社や業界はかなりの痛手をおいました。それは、出勤せずに働く環境を構築しづらかったからです。
反対に知識のあった会社や業界は企業の運営において被害は少なかったでしょう。このように、変化の激しい時代だからこそ情報の有無は会社や業界の命運を左右させてしまうのです。
では、どのような知識を得ることが望ましいのでしょう。画一的な正解はありませんが、自分自身の業界の最新情報に加え、経済、金融、テクノロジー、政治を軸に自身と関わりのない他業界の知識も合わせて収集するとよいでしょう。
・ステップ2:逆境にも対応できるレジリエンスなメンタリティを培う
VUCA時代において、予期せぬ変化はもはや避けようのない現実です。そこで重要になってくるのが、レジリエンスのあるメンタルです。レジリエンスとは、英語で「復帰する力や回復力」を意味します。
つまり、逆境に陥ってもメンタル保ち続けることができる力ということです。先の新型コロナウイルスで業績が振るわなくなったり、仕事がなくなったりしたは少なくないでしょう。そんな時にレジリエンス力が低いと心が折れてしまいやすくなります。
だからこそ、VUCA時代においてレジリエンスなメンタリティは必須なのです。
では、どうすればレジリエンス力を高められるのか。その一つの方法として、マインドフルネス瞑想を行うことがあげられています。マインドフルネス瞑想とは、「現在」に注意を向けながら行う瞑想法です。Googleやインテル、ゴールドマン・サックスが社内研修で導入したことで有名な手法です。
<やり方>
1:椅子に座り目をつぶります。
2:静かに呼吸をしながら呼吸を数えます。
3:考え事をしてしまったら、気にせずに「2」に戻る
これを3分行うだけです。これは、現在に集中をすることで、マイナスな思考を減らす目的で行われているのです。マインドフルネス瞑想はわずか3分行うだけでもかなり心と頭が楽になります。
VUCA時代でも生き抜く一つの習慣として今日からマインドフルネス瞑想を始めてみるといいでしょう。
・ステップ3:多様な価値観を受け入れられる心の広さを育む
VUCA時代において多様な価値観を受け入れられる心の広さは重要になってきます。なぜなら、ここ20年で、価値観の多様性は大きく変化してきているからです。
渋谷区や世田谷区での同性婚を認める動き、働き方改革による残業の見直し、在宅ワークの拡大…これらはたったの20年で変わってしまった価値観です。そしてこれらのような予期せぬ価値観の変化はこれからも起きることでしょう。
そもそも価値観に絶対的な基準はありません。人種や国、時代によって変わります。これからのVUCA時代でも生き残れるよう価値観の変化にも対応できるようにするといいでしょう。
・ステップ4:難しい決断に対応できる意思決定能力を鍛える
VUCA時代においては、年単位の計画に基づいた行動は時に危険になります。それは、いつ時代がまた大きく変化をするのか誰にも予想できないからです。先の新型コロナウイルスがその典型例です。そのため、難しい判断に対応できる意思決定能力が必要になってくるのです。
過去に立てた計画や考えに固執するとビジネスチャンスを逃しかねないのです。意思決定能力を鍛えるのは簡単なことではありませんが、不可能ではないです。
また、日々の業務を誰よりも主体性を持って行動し、細かな意思決定を意図的に行い、改善を繰り返していくと、意思決定能力を鍛えることが可能です。
・ステップ5:OODAループ思考を活かす
OODAループとは、アメリカの軍事戦略家であるジョン・ボイド氏が発明した、未来予測が困難な場合において最善の成果を創出するための意思決定方法です。
それぞれ、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)の4行動の頭文字からできた造語です。
意味は、「臨機応変に対応し、どんどん行動していこう」です。これは、本来は戦場で使用されること主軸に構築された思考法であり、柔軟性がとても高い思考法です。だからこそ、未来予測が難しいVUCA時代で活用できる数少ない思考法なのです。
PDCAサイクルと似ていますが、制作目的が違うため意味合いが違います。それは、PDCAが元々工場の生産性向上のために開発されたものであるのに対し、OODAループは「未来予測が難しい戦場がベース」であるからです。つまり、開発起源が違います。
OODAループはVUCA時代において最も大切とも言える思考法です。なぜなら、VUCA時代において臨機応変さは肝になってくるからです。
VUCA時代を生き抜くために役に立つ「エクスポネンシャル思考」の著者・齋藤 和紀氏にインタビューしてきました
本章では、VUCA時代を生き抜く為に役立つ考え方の一つとして「エクスポネンシャル思考」を取り上げます。
エクスポネンシャル思考の日本における第一人者であり、「エクスポネンシャル思考」の著書を書き下ろしされた齋藤 和紀氏にその内容をお伺いしました。インタビュー内容を公開いたします!
エクスポネンシャル思考とは?
エクスポネンシャル思考とは、テクノロジーは指数関数的に発展するものであるということを主軸に起き、計画を立てていくというものです。
私たちは通常、テクノロジーの進歩は直線的に起きると考える傾向にあります。なぜなら、その方が直感的に想像しやすいからです。しかし、現実は違います。テクノロジーは加速度的に進化していくのです。
下記の様に、第一次産業革命から第二次産業革命までは100年以上かかったわけですが、それ以降は加速度的に進歩していったのが分かると思います。
第一次産業革命:機械化は18世紀
第二次産業革命:重工業化は20世紀前半
第三次産業革命:情報化は20世紀後半
第四次産業革命:IoTやは21世紀初頭
この様に、テクノロジーは加速度的に進歩していくことを前提に行動選択をしていかなければならないのです。
エクスポネンシャル思考がVUCA時代で役に立つ理由
では、なぜエクスポネンシャル思考がVUCA時代で役に立つのでしょうか?
それは、VUCA時代で重要になってくるキーワードが「テクノロジー」であるからです。現代のイノベーションは全てテクノロジーの発展と密接に関わっています。そして、そのテクノロジーはこれからも休むことなく加速していくでしょう。
つまり、テクノロジーは加速度的に進歩していくことを念頭においているエクスポネンシャル思考はVUCA時代においての行動選択に大いに役立つのです。
以下にインタビュー動画を公開しますので、是非参考にご覧ください。
エクスポネンシャル思考に関する企業向け研修も実施しています。こちらから資料をダウンロード頂けます。
エクスポネンシャル思考研修概要の資料ダウンロードはこちらVUCAをより詳しく理解できる書籍3選
そうはいってもVUCAについてもっと詳細を知りたい人はいると思います。ここでは、私が実際に読んだVUCA時代に参考になる書籍を3冊ご紹介します。
- エクスポネンシャル思考
- RANGE
- 2025年を生き抜く破壊的企業
それでは一つずつ見ていきましょう。
・エクスポネンシャル思考(齋藤 和紀著 2018年 大和書房)
本記事でも紹介した「エクスポネンシャル思考」をより詳細に学びたい方におすすめです。
著者の斎藤氏がシリコンバレーにあるシンギュラリティ大学で学んだエクスポネンシャル思考の源流がエッセンスとして凝縮された一冊となっています。
・RANGE(デイビット・エプスタイン著 2020年 日経BP)
一般的に日本社会では、スキルやノウハウを習熟させ専門家になることを推奨している傾向にあります。しかし、これからの時代は一つの業界のスキルやノウハウだけでは生き残るのが難しくなります。
それは、様々なノウハウやスキルがコモディティー化されるからです。本書では、なぜ一つの専門知識ではなく、業界をまたいだ横断的な知識が今後の時代には必要不可欠なのかを様々な事例を元に紹介しています。
VUCA時代においてかなり重要な思考になるので、まだチェックしていない人は是非チェックしてみて下さい
・2025年を制覇する破壊的企業(山本 康正 著 2020年 SBクリエイティブ)
VUCA時代が一体具体的にどのようなイメージや速度で進んでいくのかを知りたい人におすすめなのが本書です。
本書では、2025年という2021年現在から数えて4年後の世界がどのような世界になっていくのかを克明に予言しています。テクノロジーの進化や人々の価値観について先取りしたい人は手にとって見てはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。VUCAについて考えてみました。
時代はますます、複雑性を増し、画一的な正解がないことが当たり前になってきています。仕事においても、過去の正解をそのまま展開することができず、判断に迷う方も多いかもしれません。
しかし、そんな時には是非、本記事で紹介したVUCA時代に求められる素養 5つのステップ、そしてエクスポネンシャル思考を役立てて頂けましたら嬉しいです。
また、エクスポネンシャル思考について、より詳しく聞きたい内容があるという方は是非、お気軽にお問合せ下さい。
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荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!
最近は動画編集や執筆業務も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
昨日の自分よりも1%でも強くなることが人生の指針です!