成功した営業改革の9ステップ!役立つ事例をご紹介!
目次
こんにちは、石井です。
本日は、営業改革における事例を中心にお伝えしておきます。
私たちは、営業人材の開発や営業組織の改革を専門にご支援している会社です。特に、新しい営業手法を営業メンバーに浸透させることや、営業メンバーのスキル向上やマインド改革には強みを持っています。
本記事では、営業改革を成功に導くために参考になる業界別の事例を5つご紹介します。
ぜひ、営業改革にご活用ください。
営業改革とは?
そもそも、「営業改革」とはどういった意味でしょうか。また、皆さんは営業改革に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「改革」とは、何かを変化させるという意味があります。
そのため、「営業改革」とは営業を変化させることであり、多くの場合、「営業組織の変革」や「営業メンバーの変革」という意味で使用されます。
また、「営業改革」のイメージについては、SFA導入による営業フローの抜本的変化や、営業手法の見直しなどをイメージされることが多いかもしれません。いずれにせよ、「営業改革」とは営業現場で何かしらの事柄を大きく変化させることです。
本記事では、営業人材の育成を専門としている弊社の視点で、育成に関わる営業改革をお伝えします。
新しい営業手法を導入したい、営業現場の意識改革をしたいなどの構想をお持ちの方には役に立つ記事になるはずです。是非、ご一読ください。
なぜ、営業改革が必要なのか?
では、なぜ営業改革が必要なのでしょうか。
さまざまな理由が存在しますが、どの企業にも関連するのが「企業の成長」と「市場環境への適応」です。企業は、メンバーを育成することで、年々成長を目指しています。
成長をしていくためには、従来通りの営業手法に加えて新しい手法を導入してみたり、場合によっては今までのやり方を抜本的に変えてみたりする必要があります。また、市場環境は刻々と変化しています。そのため、市場環境にあった営業手法を身につけていく必要があるのです。
理由について、より詳しくみていきましょう。
理由1:企業の成長のため
1つ目の理由は、「企業の成長」です。
企業は、メンバーを育成することで年々成長することを目指しています。企業の成長は、売上数字で測られることが多く、その売上数字を担っている職種の1つが営業です。
つまり、営業担当者が成長することで、企業の成長にも大きくつながるのです。
現状上手くいっている営業を続けることで、企業の売上が成長し続ければ営業変革は必要ないかもしれません。しかし、上手くいっていることは他社も真似しますし、企業がさらに成長するためには新しい営業手法を身につける必要も出てきます。
このように、現時点で営業組織の運営が上手くいっている場合でも、営業改革が必要になるのです。
理由2:市場環境へ適応するため
2つ目の理由は、「市場環境へ適応するため」です。
私たちの仕事は外部環境に大きく影響を受けます。例えば、法律が変わることや人々の嗜好が変わることで、商品やサービスの売れ行きは大きく変化します。このように、市場は日々変化をしているため、私たち営業も変化することで市場に適応しなければなりません。
しかし、実は営業に変化が求められるというのは、現代だけのことではありません。営業職が生まれてきてからずっと、営業は変化をすることで生き残ってきた職種なのです。
例えば、戦後の日本では多くの粗悪品が出回っていたため、「正規品を売る営業」が最も評価されました。またバブル期は、接待の上手な営業が評価されました。
近年では「ソリューションセールス」という営業手法が流行っています。
そして、「ソリューションセールス」だけでは競合優位性を確保することができなくなりつつある今、「インサイトセールス」という新しい営業手法が注目を集めています。このように、私たち営業は変化をしながら成長してきているのです。
営業改革が必要な理由について、ご紹介しました。
それでは、具体的な営業改革の事例について次章でご紹介していきます。
営業改革お役立ち資料の資料ダウンロードはこちら営業改革の事例1:大手飲料メーカー
本プロジェクトの概要
本プロジェクトは、「インサイトセールス」という営業手法を身につけて、今までにない営業を推進していくプロジェクトになります。
弊社は、本プロジェクトの企画から実践まで全てサポートさせていただきました。新しい営業手法を身につけて実践することは決して簡単なことではありません。
しかし、6か月にわたり長期的にプロジェクトを遂行することで、多くの成功事例を創出することができました。
■ゴール
- インサイトセールスを実践することで、お客様の経営層から良好な反応を得る
- 実践によって成功事例を創出し、非プロジェクトメンバーへと波及させる
■参加メンバー
九州地区のチェーン向けの営業担当者6名
■プロジェクト期間
約6か月
本プロジェクトの内容
ステップ1:本プロジェクトメンバーの選定
最初のステップとして、プロジェクトのメンバー選定を行いました。新しい営業手法を身につけて実践する際には、最初はスモールスタートをすることをおすすめします。
なぜならば、小規模であっても確実に成功事例を創出することで、その勢いが徐々に社内の他メンバーへと波及していくためです。
また、新しいことを大規模に進めても、途中で頓挫したりうまくいかなくなったりすることも多いです。本プロジェクトのメンバー選定では、営業として成績優秀な方ということ以外に、「新しいことに対して前向きな方」や「学習意欲の高い方」という条件をもとに選定しました。
営業のプロジェクトを成功させる際には、成績優秀な方を集わせることは重要ではありますが、新しいことを取り入れて変革を起こす場合には、しっかりと変革についていける気概を持っている人物を選びましょう。
ステップ2:営業改革の必要性の訴求
続いて、お客様の営業部門の執行役員より、本プロジェクトの必要性についてプロジェクトメンバーに伝えていただきました。プロジェクトメンバーは、執行役員の方の熱意にも刺激されとても良いスタートが切れました。
また、研修やプロジェクトなど、新しいことを学ぶ際に、受講対象者の学ぶモチベーションに一番影響するのが直属の上司です。
本プロジェクトでは、研修や定例会などプロジェクトメンバーが集う機会を多く設けましたが、その際には必ず上司の方にもご参加いただきました。
上司の方には、ただご参加いただくだけでなく、なぜこのプロジェクトを実施しているのかをメンバーと納得いくまで対話していただくようにしていただきました。
ステップ3:研修実施①:トップアプローチ研修
インサイトセールスを実践するためには、お客様の経営層から「経営理念」や「ビジョン」を聞き出す必要があります。
そのため、プロジェクトメンバーにはお客様の経営層と対等な会話ができるようにヒアリング力を強化していただきました。そして、ロールプレイングを通じ「対話の観点」を徹底的に身につけて頂きました。
また、どのようにお客様の経営層からアポイントメントを取得するのかということについては、プロジェクトメンバーの上司にもご参加いただき、戦略を練りました。
経営層との対話の観点について知りたい方はこちら。
経営者との対話の観点の資料ダウンロードはこちらステップ4:研修実施②:ビジョナリープレゼンテーション研修
お客様の経営層からヒアリングできたら、その内容を元に提案する必要があります。その時に大切になるのがプレゼンテーション力です。
一般的なプレゼンテーションとは違い、経営層向けのプレゼンテーションではお客様から聞き出した「経営理念」や「ビジョン」を元に、内容を構成する必要があります。
その勘所を学んでいただくだけでなく、実際に一人2回の模擬プレゼンテーションを実施していただくことで、明日から使える実践的なプレゼンテーション能力を身につけていただきました。
ステップ5:定例会の実施
6か月のプロジェクトの中で、月に1回はプロジェクトメンバーと直属の上司も集まり、進捗共有会を実施しました。全体で進捗を確認することで、互いに良い刺激が生まれるだけでなく、成功事例や失敗事例を共有することにも大きな価値があります。
成功事例は、他のメンバーが実践できるように応用させ、失敗事例については「どのようにすればうまくいくのか」を徹底的に議論し、打開策を検討しました。
特に、インサイトセールスでは、お客様の経営層からアポイントメントを取得することに苦戦するケースが多いです。アポイントメント取得に失敗する典型的なケースとしては、「ご挨拶させてください。」という目的でアポイントメントを取得しようとしていたことがわかりました。
昨今のビジネス環境では、なかなか挨拶という目的だけでお客様の経営層からアポイントメントを取得することは難しいです。
全体で議論した結果、「お客様の経営層の方針に沿った提案を行いたいので、ぜひ事前に経営理念やビジョンを直接お伺いしたい。」とお伝えするようにしました。結果として、アポイントメント取得率も向上しました。
トップアプローチについてより具体的に知りたい方はこちら。
>トップアプローチを制するものは、営業を制す!具体的な技法を詳しく解説!
ステップ6:同行営業の実施
お客様の経営層とアポイントメントを取得できたら、実際に弊社の講師兼コンサルタントが同行営業をしました。同行営業の目的は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、研修で学んだ内容がしっかりと実践できているかを講師が確認して、必要に応じてフォローを実施するためです。
2つ目は、講師がお手本を見せてプロジェクトメンバーが実践しやすくすることです。
ステップ3で実施したトップアプローチ研修では、実践的なスキルが身に付くまでロールプレイングを実施しますが、その内容を現場でスムーズに実践できなこともあります。そのような際には、講師がお手本を見せることが効果的なのです。
ステップ7:支店内戦略会議の実施
プロジェクトメンバーと直属の上司と共に、ターゲット顧客をどのように攻略していくかという戦略会議を実践しました。講師がファシリテーションを行い、「お客様のどなたに」「どういった言葉を」「どの機会で」「いつかけるのか」といったように具体的なところまで戦略を練り、実践できるようにしました。
支店内戦略会議は、定期的に実施することで、上手くいっていることや改善が必要なこともまとめ、6か月のプロジェクトを通して成功事例が創出されるようにしました。
ステップ8:メンバーへのコーチングの実施
プロジェクトを実施する中で、すべてがうまくいくとは限りません。そのため、講師が個別にメンバーと1対1で対話を行い、悩みの相談を受けるだけでなく、コーチングも行うことでプロジェクトメンバーのやる気や能力を最大限引き出すようにしました。
また、コーチングを行うことで、プロジェクトメンバーのアセスメントも同時に行い、プロジェクト終了時にお渡しさせていただきました。
ステップ9:非メンバーへの波及
プロジェクトを通して創出された成果をまとめ、非プロジェクトメンバーへと発表する機会を設けました。また、プロジェクトメンバーの直属の上司の方は、プロジェクトメンバー以外にも部下メンバーをもっています。
その部下メンバーにも、インサイトセールスのやり方や創出された事例を伝授することで、インサイトセールスの波及を行いました。
本プロジェクトの結果
本プロジェクトにご参加いただいたメンバー6名の全てがお客様の経営層と対話する機会を設けることができ、以前よりもお客様との関係性が強化されました。
また、5名の方は明確に売上という定量的な成果が出ました。なかには、全く取引のないお客様から、経営層の鶴の一声によって、大きな受注につながるという成功事例も生まれました。
営業改革の事例2:大手物流会社
本プロジェクトの概要
本プロジェクトでは、お客様の経営層へのアプローチ強化を行い、お客様との関係強化を狙って実施されました。
プロジェクト実施前は、ターゲットとなるお客様の経営層とは面談の場すら持てていない状況からスタートしました。しかし、4か月のプロジェクトを経て、お客様の経営層との面談機会が設定できたり、次年度の契約につながったりしました。
■ゴール
- お客様の経営層と定期的な面談機会を持つことができる
- お客様との関係が強化されている
■参加メンバー
九州地区の営業担当者4名
■プロジェクト期間
約4か月
本プロジェクトの内容
ステップ1:本プロジェクトメンバーの選定
プロジェクトを成功に導くためには、プロジェクトメンバーの士気が重要です。そのため、本プロジェクトでは、プロジェクトに参加したいと自ら考えている方かつ、その上司の方も一緒になってプロジェクトを遂行したいと思っていることを条件に限定し、メンバーを選定しました。
営業改革のプロジェクトを行う際には、「今までのやり方から変化させたくない」と考える営業担当者も一定数存在します。
現状のやり方を改革することに後ろ向きである方をプロジェクトメンバーに選んでしまった場合は、「なぜプロジェクトを遂行する必要があるのか」「なぜ現状の営業スタイルから変革する必要があるのか」といったところのマインドをセットすることに多くのエネルギーと時間を割くことになります。
もちろん、最終的には営業改革は会社全体へと波及させる必要があるため、改革に反対の方も巻き込む必要があります。
しかし、営業改革をスタートさせるときは「スモールスタート」が原則です。例え小さな規模であっても成功事例を構築し、それを徐々に展開していく方が効果的なのです。
ステップ2:研修実施①:アプローチスキル研修
本プロジェクトでは、お客様の経営層に対してアプローチを行い、面談の機会を設けることが1つのゴールになっています。そのため、まだお客様の経営層と接点を持てていない企業をターゲットとして、どのようにアプローチをしていくのかを研修を通して学習しました。
研修の内容は、お客様からアポイントメントを取得するためには、「どのような価値を訴求すれば良いのか」を徹底的に考え、言語化しました。
また、講師が受講生一人ひとりとロールプレイングを繰り返し行い、研修の中でお客様の経営層からアポイントメントを取得できるレベルになるまで反復トレーニングを実施しました。
ロープレについてより具体的に知りたい方はこちら。
>営業教育会社が効果を実証!研修におけるロールプレイングのやり方〜基礎編〜
>営業トーク力を高めるロールプレイングのコツとNG例を営業研修会社がまとめてみた
私たちの考える研修は、単なる座学の場ではありません。研修は、ロールプレイングを通して可能な限り実践に近い場として捉え、「わかる」状態だけでなく「できる」状態にまで成長することを目標にしています。
そのため、講師が受講生一人ひとりと納得のいくまでロールプレイングを行い、「合格」をもらえるまで実践していただきます。
ステップ3:研修実施②:トップアプローチ研修
お客様の経営層と面談の機会を設けることができたとしても、対話の内容が優れていない場合、結局は関係構築につながりません。むしろ、「この営業はダメだな。」というようなレッテルを貼られ、関係を壊してしまう可能性すらあります。
そのため、お客様の経営層と面談をする前には、必ず「経営層に対しての対話トレーニング」をする必要があります。
今回は、お客様の経営層と対等な対話ができるようになるために、「トップアプローチ研修」をご提供いたしました。この研修は、お客様の経営層に対して、どのようにヒアリングを行うと関係構築につながるのかを伝え、実際にロールプレイングを通して実践していただきます。
具体的に行う代表的なヒアリング項目は、「経営理念」「ビジョン」「戦略」の3つです。
具体的なフレーズ例を掲載するので、ぜひご参考にしてみてください。
【経営理念】
フレーズ例①:「会社のメンバーに、常々伝えていることは何ですか?」
フレーズ例②:「大切にしている行動指針はございますか?」
フレーズ例③:「会社の創業期から、変わっていない想いはありますか?」
【ビジョン】
フレーズ例④:「事業を通して、何を実現したいですか?」
フレーズ例⑤:「今後の事業の展望をお教えください。」
フレーズ例⑥:「お客様には、何といって喜ばれたいですか。」
【戦略】
フレーズ例⑦:「どの領域や分野で、お客様を獲得していきたいですか?」
フレーズ例⑧:「他社にはない強みは何だとお考えですか?」
フレーズ例⑨:「これからのターゲット層は、どこだとお考えですか?」
フレーズ例⑩:「お客様は、何に価値を感じて御社を選んでいますか?」
経営層との対話の観点についてより具体的に知りたい方はこちら。
経営者との対話の観点の資料ダウンロードはこちらステップ4:営業戦略会議
お客様の経営層からアポイントメントを取得し、面談を通して関係を構築していくことは一筋縄ではいきません。しっかりとした戦略を元に実行して、時には軌道修正をしていく必要性があります。
本プロジェクトでは、弊社の講師兼コンサルタントがファシリテーターとして、営業の戦略会議を行いました。この戦略会議は、ターゲット1社ごとに行い、具体的なところまで掘り下げて実施することが特徴です。
「どの方に」「いつ」「どのような言葉で」アプローチするのかといったことも議論します。また、社内のリソースも可能な限り活用して、本プロジェクトメンバーの上司はもちろんのこと、必要に応じて取締役の方にも動いていただくようにしました。
営業戦略会議で決定した内容を実行しても、すべてがうまくいくとは限りません。その際には、弊社の講師兼コンサルタントが的確なアドバイスを行い、軌道修正をしました。
弊社の講師兼コンサルタントは、現役のトップセールスです。うまくいかないときは、同じ「営業」という目線で議論をして解決策を検討していきます。時には、同行営業も行い、お客様との関係強化をはかりました。
ステップ5:進捗会議
プロジェクトを実施している最終にも、月に1回程度、全体で顔を合わせる機会を設定しました。進捗会議を行う意義は、プロジェクトメンバーがゴールに対して現時点でどのくらい達成されているのかにあります。
達成する場合は、確実に達成できるように足場を固め、もし達成できる見込みがない場合は、どのようにすれば達成できるようになるかを議論しました。
また、進捗会議では、互いの「成功事例」と「失敗事例」を共有し合うようにしました。「成功事例」はプロジェクトメンバーで横展開を行い、「失敗事例」についてどうすればうまくいくのかを議論して、解決策を検討しました。
本プロジェクトの結果
プロジェクトを通して、4名のうち3名の方がお客様の経営層と定期的な面談機会を設定できるようになりました。実際にお客様の経営層と面談をすることで、お客様との関係が強化されるだけでなく、次年度以降に予定している大型案件の話を前もって教えていただけるようにもなりました。
お客様の経営層と面談をすることは難易度が高く、多くの営業が苦手としています。だからこそ、お客様の経営層と面談をすることができる営業は貴重であり、価値が高まります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、営業改革について事例を元にお伝えしました。
営業は、業界や会社が変われば、営業改革のやり方は異なります。そのため、ご紹介した事例をそのまま活用できるということはないかもしれません。
しかし、他社事例からヒントを得ることで営業改革を前進させることは可能です。
本記事では、大手企業の事例を中心にご紹介しました。大手企業であっても、営業改革を進めていく際には、少人数のグループからスタートさせ、徐々に波及させていきます。中小企業の営業改革にも、同様に参考になる情報ですので、ぜひご覧ください。
※営業改革の事例紹介に関連する記事はこちらからもご覧いただけます。
>営業改革の事例一覧
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。3歳息子のパパ。