営業業務の改善ポイントと営業改革の6つのステップを紹介
目次
こんにちは。島谷です。
営業を取り巻く現場は、日々激しく変化しています。
ますます厳しくなる市場環境に加え、営業メンバーの働き方改革も進めなければならない昨今では、効率化を追求した営業が求められます。内外の環境変化に対応するには「営業改革」は必要不可欠です。
一方で「営業改革の必要性はなんとなくわかっているけど、何から手をつけたらいいのかわからない」と感じる営業責任者も多いでしょう。
今回は、効率化を追求しながら営業実績をあげていくための「営業改革の6つのステップ」について詳しく解説します。
営業実績向上のために改善すべきポイントとは?
営業改革の目的は「営業実績向上」です。効率化を求めるがあまり営業の稼働時間を削減し、結果として営業実績が低迷していては元も子もありません。
営業改革を実施するまえに、下記4つのポイントをチェックしてみてください。
- 売上あたりのコストを見直す
- 営業対象に問題はないか見直す
- 営業手法が顧客ニーズに合っているか見直す
- 担当者の営業スキルを見直す(属人化しない)
ポイント1:売上あたりのコストを見直す
営業改革ではじめにチェックすべきなのが「売上あたりのコスト」です。
営業改革で求められるのは「効率化」と「実績向上」の両立です。いくら実績が上がっていても、湯水のように費用を使っていては企業の成長にはつながりません。
営業改革に取り組む前に、自部門の売上に必要なコストをチェックしてみてください。
例えば、自社の営業部門で営業人件費・事務人件費・広告宣伝費などのコストを計算し、「100万円を売り上げるために必要なコスト」を計算してみるといいでしょう。
コストチェックが難しいなら、単純に「営業員一人あたりの売上」を確認してみる方法もあります。
コストチェックをする場合は、販売および一般管理費(SGA:Selling,General, and Administrative Expenses)を確認してみてください。SGAとは、製品を作るための原価ではなく販売するために使った費用のことです。
売上あたりのコストチェックでは、同業他社や社内のスタッフ間で比較をすることも大切です。売上あたりのコストの内訳を見ながら、どのコストが削減できるのか見極めるようにしましょう。
ポイント2:営業対象に問題はないか見直す
次に「営業対象」もチェックしてみましょう。
販売商材によっても営業対象は変わってきますが、そもそも「成長が見込める市場で営業をしているか?」も営業改革では大事なポイントです。
旧態依然としている営業現場では、古参の営業メンバーがある程度の営業実績を上げるため、営業対象の見直しを敬遠する傾向があります。
今後も成長し続ける営業組織であるためには、目まぐるしく変わる環境に対応するための「営業対象の見直し」は必須課題です。
身近な例でいくと、食材の販売でBtoBや店舗向け商品を扱っていた企業が、コロナ渦の影響で営業対象を富裕層のBtoCに切り替えて成功したなどの事例があります。
営業対象だけではなく、取り扱う商材を思い切って見直してみると意外にも活路が見い出せるかもしれません。
ポイント3:営業手法がお客様のニーズに合っているか見直す
「フィールドセールス中心か」「オンライン営業中心なのか」など、営業手法がお客様のニーズや市場環境にマッチしているかもチェックしてみてください。
特にBtoBの営業現場では、下記のような声をよく聞きます。
「現場に直接行って説明しないと売れない」
「何度も訪問して営業の熱意を示すのが成功する営業スタイルだ」
確かに上記の考えも一理ありますが、お客様にとって今の営業スタイルが本当にベストなのか、よく考えてみることも大切です。
非対面営業が主流の現代において、フィールドセールスが効果的とは限りません。
「直接会って説明しないと」と思うのは営業側の都合です。お客様は訪問前にインターネットから情報を得ていて、なかにはわざわざ説明する必要がないお客様もいます。
昔ながらの営業スタイルを貫くことから視点を変え、例えばオウンドメディアを立ち上げて情報を発信し、カスタマーサクセスを活用してナーチャリングに取り組むほうが効率的な場合があります。
時代に即した手法に変化していくことも検討の一つに入れると良いでしょう。
ポイント4:営業メンバーのスキルを見直す
営業現場での「属人化」が、営業改革の妨げになっているかもしれません。実績向上に悩む営業現場では、優秀な営業メンバーだけが主要な売上を作り、一方で成功スキームが部内で共有されないケースがあります。
成功している営業メンバーに成功の秘訣を聞くと「こんな良いツールを使っていたの?」と、新たな発見をすることも多いです。
営業現場で成長していくためには、営業担当者全員のボトムアップが必要です。営業スキルや使用するツール、マニュアルなどを属人化させず、全員で共有するように取り組みましょう。
営業改革お役立ち資料の資料ダウンロードはこちら営業課題抽出から改革までの6つのステップ
営業改革に先立ち、改善すべきポイントがわかったら、つぎに下記6つの手順で改革を進めていきましょう。
- 目指すべきゴールを設定する
- 自組織の課題をリストアップする
- 具体的な数値目標を設定する
- 営業改革に必要な環境整備(ツールの導入)
- 改革手法のトライアル
- PDCAを回しながら他部署とも連携する
ステップ1:目指すべきゴールを設定する
営業業務の改革でもっとも重要で、かつ難しいのが「営業改革で目指すべきゴールの設定」です。
営業改革に取り組む現場では「なんとなく営業効率が上がったかもしれないがゴールが見えず達成感がない」といった事象が多々発生します。
営業改革のゴール指標の設定はとても難しいかもしれませんが、たとえば下記のようなゴールが設定できるかもしれません。
- 売上あたりのコスト、または営業担当者一人あたりの売上を前年比20%改善させる
- 営業利益を前年比110%改善させる
- 営業メンバーの社内満足度を高め離職率を前年比20%改善させる
- 新規開拓した市場でシェア率を10%アップする
営業効率を上げるには一時的な投資も必要ですから、投資回収のゴールをどこに持っていくかも大切な指標といえます。
また、上記で設定したゴールを達成した時にはどんな姿になっているのか?というイメージも明確に伝えることが大切です。
ステップ2:自組織の課題をリストアップする
次に、先ほどチェックした「営業実績向上のために改善すべきポイント」で出てきた課題をリストアップしてみましょう。
営業組織の課題をリストアップすると、次から次へと課題が出てくるケースがあります。
すべて解決できるわけではありませんから、優先順位をつけるために「重要度」や「解決に必要な時間」など、大事な点を2つくらいに絞って課題を整理していくといいでしょう。
課題抽出の際は自組織だけではわからないことも多いため、コンサル会社を入れるほうが効率的な場合もあります。
ステップ3:具体的な数値目標を設定し個人目標に落とし込む
前段の「目指すべきゴール」が整理できたら、全体のゴールを細分化し個人目標に落とし込みましょう。
営業現場によっては「営業改革は我々には関係ない。従来の営業スタイルで実績を上げたらそれいい」など、営業改革に否定的なメンバーが出てくる可能性があります。
全員が「ジブンゴト」として営業改革に取り組むためには、下記のような個人目標を個別に設定し、全員に落とし込む必要があります。
- 個人の営業改革目標(売上〇〇%アップなど)
- 効率化のための時間外目標
- 営業提案から成約までのリードタイムの目標
- 1ヵ月あたりのプレゼン件数やプレゼン率、成約率などの各種KPI
個人目標を設定したら、毎月の目標達成をフィードバックするだけではなく。個人の人事評価に反映させるなどの工夫も必要になってくるでしょう。
ステップ4:営業改革に必要な環境整備(ツール導入)
営業改革には専用ツールの導入などの環境整備も必要です。例えば外出先でプレゼンや顧客情報の確認ができるように、SFAの導入も検討してみましょう。ま
た、お客様ごとの対応履歴や提案タイミングが確認できるお客様管理システム(CRM)の導入も効果的です。
オンライン営業を推進するなら、社内や在宅でオンラインツールを使って営業ができるように、ZOOMやTeamsなどのオンラインツールも検討してみましょう。
お客様はもちろん営業メンバーもストレスなく営業ができるように、遮音効果のあるオンラインブースも必要です。
ステップ5:改革手法のトライアル
従来の営業スタイルを変えるなら、トライアンドエラーを繰り返しながら改革手法を試してみましょう。
新しい営業手法を取り入れた場合、はじめは慣れないことも多く「従来のやり方のほうが良かった」と改革が進まないケースがあります。
例えばオンライン営業にシフトしていく現場では「お客様とのコミュニケーションが取れない」と言いながら訪問営業スタイルに戻してしまうことが多々発生します。
トライアルをして結果が出ないとしても、すぐに元に戻すのではなく、粘り強く研修などを繰り返しながら営業手法にアレンジを加えていきましょう。
営業現場だけでは解決ができないケースも多いため、ナーチャリングに役立つWEBサイトの構築や展示会、オンラインウェビナーの開催なども視野に入れて検討してみてください。
ステップ6:PDCAを回しながら他部署とも調整する
WEBサイトの構築やウェビナーの開催などは、他部署との連携なしでは成し得ません。
営業改革の責任者はマーケティング部やカスタマーサクセスの責任者とも連携しながら、総合的に営業改革に取り組む必要があります。
ウェビナーの参加顧客に対しカスタマーサクセスがナーチャリングを実施し、最終的にフィールドセールスにパス出しをしていくといったフローができると、営業効率がアップするかもしれません。
営業やマーケティング部門だけではなく、人事部門との連携も必要です。営業改革に貢献したリーダーや担当者の人事評価を明確にし、営業実績そのものではなく「いかに効率よく実績を上げたか?」といった指標で評価すると効果的です。
簡単な例でいくと「時間外が少なく、かつ営業実績が素晴らしい営業メンバー」を評価すると、メンバー自身のやる気も出ます。
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営業改革は一朝一夕で結果が出るものではありません。
しかし「改革に時間がかかるから」といって営業改革に取り組まない企業は、いずれ衰退するでしょう。
変化の激しい市場にあってフレキシブルに対応できる営業組織を作ることは、企業が生き残るうえでも大切なポイントです。
経営層だけが改革に取り組むのではなく、現場の責任者や営業メンバー全員で改革に取り組めるよう、仕組みや評価制度も含め検討していくことが大切です。
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島谷 大輔
通信系の営業を専門として、BtoBおよびBtoCの両方を経験。
プレイヤーのみならずマネジメント経験も豊富。
自身の営業経験をもっと多くの人に届けたいという想いが強い。