営業
2023.05.25

セールス・イネーブルメントの事例からわかる営業改革の成功ポイント

こんにちは。島谷です。

本日は「セールス・イネーブルメント」の事例について見ていきたいと思います。

近年、日本でもセールス・イネーブルメントの概念のもと、営業改革に取り組む企業が増えてきました。

一方で、営業実績の低迷や営業担当者の離職など、さまざまな悩みを持つ営業責任者も多いでしょう。

今回は、セールス・イネーブルメントによる営業改革に取り組んだ企業の成功事例を見ながら、自社の営業改革に参考になる情報をお届けしたいと思います。

セールス・イネーブルメントに取り組む企業が増えた背景とは?

「セールス・イネーブルメント」とは、営業活動を改善し最適化するための概念や取り組みそのものを指す総称です。

具体的には、持続的な営業成果を出し続けるためにさまざまな施策を実行し、営業プロセスや達成状況などを数値化していくのがセールス・イネーブルメントの取り組みといえます。

セールス・イネーブルメントの概念は、アメリカで2010年前後に生まれました。多民族国家の欧米社会では、単一民族国家の日本とは異なり、常に合理的な判断が求められることが多いと言えます。

近年の日本でも働き方改革が進み、営業現場でもスピード感のある結果が求められるようになりました。

短期間で営業成果をあげるには、組織全体のボトムアップが求められ、一部の営業担当者だけが成果を出し続けるような属人的な組織から脱却しなければいけません。

一方、インターネットによる情報が溢れている昨今では、営業担当者より顧客の方が情報を得ているケースも多く、優秀な営業担当者とはいえデータに基づく営業をしなければ成果を出せない時代になってきています。

上記の背景から、セールス・イネーブルメントでは営業支援ツールによる分析をしながら、同時にマーケティング部門やカスタマーサクセス部門との連携を密にして営業成果を上げる企業が増えてきました。

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セールス・イネーブルメントで成功した企業の2つの共通点

セールス・イネーブルメントで成功している企業には、2つの共通した特徴があります。

ひとつ目は「営業の数値化で再現性のある組織強化をしていること」、ふたつ目は「改革責任者の配置で組織力を強化していること」です。

営業組織では異動や入退社がつきものです。営業責任者が異動したり優秀な営業担当者が退職したりするたびに営業実績が低迷しているような組織は、優秀な組織とはいえません。

また、改革責任者が不明確になることにより「名ばかりの改革」になってしまい、実績が低迷する組織も避けたいものです。

その1:営業の数値化で再現性のある組織強化ができた

一部の営業担当者だけが属人的な勘で営業をしたり、「気合と根性」など昔ながらの手法で実績を出したりするような組織は、やがて低迷するでしょう。

安定した営業組織をつくるには、優秀営業担当者の行動パターンを数値化して組織内で共有し、成功事例などのナレッジを現場で共有できる仕組みが必要です。

例えば、優秀な営業担当者の行動プロセスを数値化し見える化できれば、「どのプロセスに注力すべきなのか?」「優秀層と低迷層の違いはなんなのか?」が明確にわかるようになり、すぐに改善できるでしょう。

また、営業指標をさまざまな視点で数値化しておけば、急な営業担当者の退職や責任者の異動で低迷することも防げます。

営業の数値化には、SFAなどの営業支援ツールの導入が効果的です。

その2:改革責任者の配置で組織力が改善した

セールス・イネーブルメントを推進するには、改革責任者や改革部署の配置が重要です。

持続的な成長を遂げるには、営業部門だけの改革だけではなく全社的な組織改革が必要になるでしょう。

マーケティング部門やカスタマーサクセス部門などとの連携はもちろん人事部の協力を得る必要があるため、部署を横断した調整ができる責任者の配置が理想的です。

例えば、人事評価においても単純に営業数値だけで評価するのではなく、部署の垣根を超えた貢献度や、後進の育成や低迷層のサポートなど、営業組織改革への貢献を評価できるような仕組みも大切になってきます。

できれば、経営層自らが改革責任者となり組織全体の最適化を進めると、スピード感のある改革が進められるかもしれません。

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セールス・イネーブルメント3つの成功事例を紹介

ここからは、セールス・イネーブルメントにより営業改革に成功した事例を3つご紹介します。

どの企業も営業ツールの導入や人事評価の改革に取り組み、持続的な営業成果を出し続けています。

ぜひ、自社の営業改革に取り入れるポイントがないか参考にしてみてください。

<セールス・イネーブルメントによる営業改革の成功事例>

  • 専用ツールの導入でナレッジの共有と全体スキルアップに成功
  • 研修プログラムの見直しと人事評価改革で組織力強化を実現
  • SFAMAの導入で営業機会損失を防ぐことに成功

事例1:専用ツールの導入でナレッジの共有と全体スキルアップに成功

ひとつ目の事例は、インサイドセールスの運用支援や立ち上げ支援をおこなうA社の事例です。

A社の主軸商材は「営業支援のクラウドサービス」ですが、全社員がプレゼンに使える専用営業ツールの導入をすることで営業改革に成功しています。

同社では営業のセールストークを動画に入れることで、フィールドセールスの担当者だけではなくインサイドセールスが営業する場面でも安定した実績を出せるようになりました。

ひとつの動画に「セールストーク」「営業提案資料」など、さまざまな要素を組み込むことにより、営業の「分業化」に成功しています。

従来は、フィールドセールスが営業課題の抽出から問題提起、そしてクロージングまで対応するのが通例でした。

専用ツールの導入により、商品案内や問題的などはインサイドセールスが担当し、フィールドセールスは新規開拓やクロージングなどコアな営業に専念できるようになり持続的な営業成果が出せる組織に成長しています。

事例2:研修プログラムの見直しと人事評価改革で組織力強化を実現

2社目は、営業の人材育成に苦慮していたB社の事例です。

B社では日々の営業実績の達成に追われ、営業責任者自らも現場に出る「プレイングマネージャーが多い組織」でした。

B社では、どうしても目の前の売上獲得を優先してしまい、人材育成は営業担当者の自主性や挑戦意欲に委ねる風潮となっていました。

「実績至上主義」で人材育成が後回しになる組織になってしまい、新人営業メンバーの無気力症候群が常態化し、マネジメント能力の不足をプレイヤーで補おうという悪循環に陥ってしまったのです。

そこでB社では長年見直されていなかった研修プログラムを改善し、もう一度人材育成に舵を切る判断をしました。

具体的には、人材育成を担当する責任者を選任し、各プレイングマネージャーのノウハウをヒアリングしたうえで「型化」し、実際の商談で使えるマニュアルとして共有したのです。

B社のセールス・イネーブルメントにおいては、部門を超えた責任者の協力が必須であることから、営業改革に向けた各責任者の貢献度を人事考課につなげ、組織改革にも成功しています。

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事例3:SFAMAの導入で営業機会損失を防ぐことに成功

3社目はSFAMAなどのツール導入でセールス・イネーブルメントを成功させたCの事例です。

SFA(営業支援システム)の導入目的は営業活動の可視化、MA(マーケティングオートメーション)の導入目的はマーケティングの効率化です。

いずれも営業部門やマーケティング部門で導入されている企業は多いですが、「単なる仕組み」に留まってしまい成果を出せていないケースも多いでしょう。SFAMAの導入を営業成果に結びつけるには、数値分析とPDCAが欠かせません。

C社ではセールス・イネーブルメントの責任者が、SFAなどから得られる営業成果を絶えず分析し、営業機会の損失やスキル低下が発生していないかなど、PDCAをまわし営業成果の向上につなげています。  

セールス・イネーブルメントで成功するための3つのステップ

セールス・イネーブルメントで成功するには、何が必要なのでしょうか。

ここからはセールス・イネーブルメントで成功するまでに必要な下記3つのステップをご紹介します。

  1. 営業課題の整理
  2. 組織力向上のために必要なツールの導入
  3. 部署間の連携

ステップ1:営業課題の整理

セールス・イネーブルメントで成功するには、自社の営業組織にどのような課題があるのか、よく見極めるのが大切です。やみくもに組織改革や営業改革に取り組んでも成果は出ないでしょう。

営業実績が低迷し組織が活性化しない営業組織には、下記のような課題が多く見られます。

  • 営業ターゲットが間違っている
  • 採用から人材育成に至るまで人事部門との連携が薄い
  • Webマーケティングやカスタマーサクセスなど他部門との連携が取れていない
  • 人材育成に時間をさけていない

営業ターゲットについては、単なる数の管理だけではなく、成長マーケットに対して営業を仕掛けているか?や、お客様の収益安全性などさまざまな点を見極める必要があります。

全社的な組織改革に取り組めていない企業なら、専任の改革責任者を配置するだけではなく、自社の社内で何が問題なのか分析してもらうため、企業分析をアウトソーシング化するのもひとつの手法です。

ステップ2:組織力向上のために必要なツールの導入

セールス・イネーブルメントで成功するには、根性論だけではなく専用ツールの導入も必要になってきます。

営業支援ツールや顧客情報管理ツールだけではなく、人材育成を視野に入れたHRシステムの導入なども効果的でしょう。

さまざまなツールがある中、自社の直面する課題に合致し、かつ社内風土に馴染みやすいものを選ぶといいでしょう。

【営業支援ツール】

ACES Meetは、オンライン商談を録画しデータ化できる営業支援AIツールです。ACES Meetの導入により、営業組織内で商談内容をすぐに共有できるようになります。

属人的な営業組織の場合、一部の営業担当者だけが独自のセールストークで成果を上げる一方、ナレッジが共有されない低迷メンバーがいつまでたっても成長しないケースが多々あります。

ACES Meetなら優秀営業担当者だけが持つノウハウを分析し、新人営業担当者や低迷メンバーの人材育成に役立てることも可能です。
>営業支援AIツール「ACES Meet」

【社内コンテンツの持ち出しツール】

ABookBizは、社内資料などのコンテンツをタブレットやスマートフォンなどを使って社外へ安全に持ち出せるソリューションです。

自社商材やサービスが多岐にわたっても、タブレット端末だけで提案が可能であるため、お客様に応じてカタログなどの印刷物を持ち歩く必要がなくなります。ペーパーレス化にも繋がり、広告宣伝費・事務消耗品費などコストの削減が見込まれます。

コンテンツに動画や画像、音声などを組み合わせてカスタマイズさせることもできることから、営業シーンのみならず社内研修や人材育成ツールとしても活用が可能です。またセキュリティ面でも独自の暗号化技術を駆使しており、万全な体制を整えています。
>社内コンテンツ持ち出しツール「ABookBiz」

【人事評価ツール】

Kakeai(カケアイ)は上司と部下の1on1面談で使えるツールです。

1on1面談は部下がテーマを決め、部下メンバーが主体となって上司と面談します。しかし、実際の1on1面談では部下メンバーが話しのきっかけをつかめなかったり、上司が話し過ぎたりするケースも多いでしょう。

Kakeai(カケアイ)なら、部下メンバーが話したい項目を選ぶだけで簡単に1on1面談に望めます。ツールにより面談内容が記録でき、満足度(すっきり度)等も各種グラフ集計で可視化することができます。
>人事評価ツール「Kakeai」

ステップ3:部署間の連携

セールス・イネーブルメントの目的は、営業に携わる人間が持続的な成果を達成し続けることです。

しかし、複層化するお客様の課題を解決し営業成果に結びつけるには、営業部門以外の他部署との連携も大切になってきます。

特にお客様の獲得につながる市場分析やポジショニングの把握・競合調査など、マーケティング部との連携は欠かせないものとなっています。

セールス・イネーブルメントをより効果的なものとするためには、マネジメントのあり方を再考しなければならないケースも出てくるでしょう。セールス・イネーブルメントで営業組織改革を成功させるには、他部署と密に連携していくことがとても重要です。

まとめ

変化が激しい市場環境に打ち勝ち、お客様が抱えるさまざまな課題を解決していくためには、これまでのように「ヒト、モノ、カネ」だけで営業成果を上げるのは難しくなってきます。

時には、お客様の潜在需要に踏み込むことや、営業以外の部署も絡めた全社的な改革が必要です。

一方で、セールス・イネーブルメントを成功させるには、単なる営業ノウハウの共有や数値化だけではなく、人事改革やマネジメント力の育成など多岐にわたる改善を実行していく必要もあります。

自社の営業組織改革や実績向上を目指すなら、今回の記事を参考にし、専門のコンサル会社などにも相談しながら課題を整理することからぜひはじめてみましょう。

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