組織営業で直面しがちな6つの課題と5つの解決方法を解説【営業管理職必見】
目次
こんにちは、宮本です。
本日は、「組織営業の課題」について解説します。組織営業という言葉を聞いて皆さんはどのようなイメージを持ちますか?
- 組織メンバーで仕事を手分け/役割分担をする
- メンバーで得意な部分を活かし合う
- 自社の上司や経営層と一緒に活動する
このようにさまざまなイメージがあるはずです。
では、現代の営業シーンにおいて組織営業は、どの程度重要なのでしょうか。本記事の回答としては、組織営業は緊急性かつ重要性も高いと結論づけます。
なぜならば、多くの会社が人手不足や採用難という問題を抱え、営業人材一人ひとりの生産性を高めなければならないからです。
この際に大切なことが、組織全体で営業の生産性を高めようとする組織営業の考えに他なりません。
今回は、組織営業が直面する課題について掘り下げて解説します。合わせて解決するための具体的方法についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
組織営業が直面しがちな6つの課題
多くの企業が直面している組織営業の6つの課題について、掘り下げていきます。
課題1:営業担当者が育成されていない
若手や中堅の営業担当者が育たない組織では、将来の見通しが明るいとは決して言えません。なぜならば、「できる営業担当者」に依存し、組織としての成長が見えないからです。
OJTやOFF-JT、具体的には研修の実施や営業組織内での営業ロープレの実施などで、営業担当者を育成しようとする企業も多いでしょう。
これらを実施することは大変良いことですが、組織全体の生産性を高めるという観点では、これらのトレーニングのやり方を定めることやマネージャーが育成方法を熟知する必要があります。
営業メンバーを育成する上では、ドラッカーのマネジメント理論が大変役に立ちます。ぜひ、ご確認してみてください。
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属人化が進行している組織は、成果を出す確率が低い傾向にあります。
業務の属人化とは、ある業務を特定の社員のみが担当し、業務関連情報が担当者しか分からない状態です。また、組織の営業成績を特定の個人に依存した、リスクの高い状態とも言えるでしょう。
属人化における最大のリスクは、業務がブラックボックス化すること。業務プロセスが見えないため、各々で異なる業務工数が生じてしまうことです。
例えば、従来通りの非効率的・非効果的な進め方に疑問を持たずに担当者が業務を進めている場合。他の担当者なら、従来のオペレーションよりも効率的・効果的な答えが導き出されるかもしれません。
このように属人化された組織では、業務改善の課題に気づけないまま生産性を低下させていることがあるのです。
課題3:組織のベクトルが揃っていない
組織のベクトルが揃っていないと、メンバーはバラバラな考えで行動してしまいます。結果として、本来持っているはずの組織の力は別々の方向に発散し、結果的には組織営業力の向上に有効な力が集約されません。
ベクトルが揃っていない組織は、以下の状況を作り出してしまいます。
- 状況1:指示待ち人間が増える(行動指針がないため何をすればいいのかわからない)
- 状況2:誤った対応でトラブルが増える(明確な行動指針がないがゆえに、各々の主観で間違って判断してしまう)
- 状況3:組織の雰囲気が悪くなる(メンバーそれぞれの考えで仕事をしているため、考え方の相違で衝突してしまう)
ベクトルは、毎朝朝礼で理念を唱和したり経営者がフィロソフィー(哲学・ものの見方)を語ったりすれば揃うのかというと必ずしもそうとは限りません。
京セラの稲森和夫氏は、会社の目的は「自分を含めた全従業員の物心両面の幸福のため」と言っています。
つまり、従業員みなが幸せになる事が目的で、ベクトルを揃えるのはその手段でしかありません。「気づけばベクトルが揃っている」という状態が、組織にとって健全であると言えるでしょう。
課題4:メンバーのモチベーションが上がらない
メンバーのモチベーションが上がらない組織では、必然的にパフォーマンスが低下します。部下のモチベーションアップに向けて、日々悩んでおられる管理職の方々も多いのではないでしょうか。
メンバーのモチベーション低下には、以下の理由があげられます。
- 理由1:なぜその仕事をする必要があるかを理解していない(上司から指示されてやっているだけ。やらされ感でいっぱい)
- 理由2:自分の裁量で仕事ができない(自分でものごとが進められず、ストレスになっている)
- 理由3:上司の考えがわからない(上司と部下お互いに本音が言えず、信頼関係が築けていない)
このような状態では「未来が見えない」「チャレンジできない」とメンバーは感じ、まずます不満をため込む結果になってしまいます。
課題5:ノウハウが共有されていない
営業ノウハウが共有されていなければ、組織の成長を停滞させてしまいます。
そのような組織は営業手法が体現化されておらず、成功事例の再現性が低くなります。結果として、組織全体で成長していく絵を描くことはできないでしょう。
一番の要因は、営業ノウハウを共有するための仕組みが整っていない点があげられます。ナレッジの共有をうながす立場の部署や担当者が不在なのです。
そのため、営業ノウハウを共有する動機付けがなされていなかったり、経営主導ではなく一部の部署や人任せになったりしています。
課題6:営業成績にバラツキがある
営業担当者の成績にバラツキがある組織の特徴は、各々の勘やコツ、経験によって左右される傾向が見受けられることです。
これは、課題2や3とも深く関係し、組織として営業活動が正しく行えていないと言えるでしょう。特に、営業経験が浅いメンバーに対しては、一定の管理をすることも大切です。
具体的には、下記のような観点が考えられます。
- 管理1:取引先・コンタクト・顧客管理(企業や担当者情報、商談の履歴や進捗)
- 管理2:目標管理(組織と個人の目標進捗や達成度合い)
- 管理3:案件管理(商談日、取引先、商材、商談経緯、商談内容、案件の見込み確度、行動履歴)
組織営業の課題を解決するための5つの方法
これまで見てきた通り、組織営業にはさまざまな課題が見受けられます。
では、これらの課題を解決するための施策はあるのでしょうか?ここでは、組織営業の課題を解決するための5つの方法について見ていきます。
解決策1:ビジョンを明確にする
ビジョンとは、「組織が中長期的に目指すべき方向性や実現したい未来の姿を明文化したもの」です。営業マネジメントと言いながらも、単なる数値管理に留まっているケースも少なくありません。
メンバーが目標に向かって力を発揮するためには、「ビジョンマネジメント」が重要になります。組織営業においては、以下の手順でビジョンマネジメントを実践するといいでしょう。
- ステップ1:会社ビジョン・方針を理解する(経営方針が作られた背景と意図を理解する)
- ステップ2:外部環境の変化を把握する(外部環境の変化が自社のビジネスにどのような影響を与えるかを考える)
- ステップ3:チームが目指す姿を共有する(期日を決めて、その時点で「あるべき姿」をイメージする)
- ステップ4:チームの強みを明確にする(チームの強みを生み出してきた背景や組織的価値観を抽出し、「チームらしさ」を打ち出す)
- ステップ5:ビジョンを明文化する(期限・提供価値・具体的な業績目標を盛り込む)
解決策2:営業プロセスを分業する
営業活動のプロセスを分解して役割分担することで、担当者の領域が狭く深くなり、結果業務効率化や生産性向上につながります。
具体的には、以下のように営業活動を分業化させる体制を取るケースが増えています。
- プロセス1:新規開拓(リード獲得)
- プロセス2:ナーチャリング(顧客の育成)
- プロセス3:アポイント獲得
- プロセス4:訪問や商談
- プロセス5:契約後のフォロー
営業プロセスの分業が構築されれば、各々が得意とする専門分野に集中できます。結果、効率的に仕事に取り組め組織全体の成果を向上につながるでしょう。
解決策3:情報共有の仕組みを整える
組織内で情報共有が円滑であれば、各々の疑問点がすぐに解消できたりコミュニケーションがスムーズになったりとプラスの効果が現れます。
情報共有の仕組みを整えるためのポイントは、共有する場所を具体的に決めておくことです。例えばSFA(営業支援ツール)やチャットツール、WEB会議ツールなどを利用して、メンバーが気軽に情報共有できる場を用意します。
そして大切なことは、蓄積された情報を整理していくこと。共有しても放置していては、情報をうまく活用できません。
解決策4:営業活動を標準化する
組織営業では営業担当者の活動を可視化することで、メンバーのスキルを均一化させます。営業プロセスを組織内で整理することで、組織のボトルネックが見つけやすくなるためです。
メンバー全員で改善策を考え実行することで、営業活動は標準化され組織力が高まります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
>営業のトークスクリプト作成術と活用法。これであなたも営業トークの上級者へ。
営業組織として統一したトークスクリプトの作成方法を知ることができます。営業活動のプロセスを標準化させる際は、以下のポイントを心がけましょう。
- ポイント1:オーソドックスな営業パターンを基準にする(営業の現場とずれの少ない理想的な形にする)
- ポイント2:営業プロセスをシンプルにする(細分化して複雑にすると、全体像が捉えにくくなる)
- ポイント3:各プロセスでの行動を具体的にする(やるべきことを明確にしないと行動に対する認識のずれが生じ受注率を下げる)
解決策5:コミュニケーションの質を上げる
新型コロナウィルス感染症の影響でリモートワークが推進され、メンバーの企業に対する帰属意識が低下しやすくなったと言われています。
このような時こそ、コミュニケーションの質を上げることで組織の連携を深めることが大切です。結果として、組織営業の強化につながるでしょう。
コミュニケーションの質を上げるためには、以下4つの観点からアプローチすると良いでしょう。
- 観点1:組織でできること(メンバーが気軽に交流できる場を設ける)
- 観点2:上司から部下へ(部下が話しかけやすい雰囲気をつくる。「上司へ質問することの躊躇」は組織の生産性を著しく下げる)
- 観点3:部下から上司へ(報連相を改善する必要がないかを主体的に考える)
- 観点4:メンバー同士(お互いに小さな自己開示から始め、コミュニケーションの温度感を高めていく)
さまざまな観点からコミュニケーションの質を上げる意識を高めることで、メンバーの帰属意識が高まり強い組織が実現します。
ご自身の営業組織が組織営業の正しいアクションができているかチェックしたい方はチェックリストのダウンロードが可能です。
組織営業アクションチェックリストの資料ダウンロードはこちら組織営業の課題解決が必要な2つの理由とは?
今は各々の営業力を高めるだけでは、組織全体で成果を出すには不十分です。組織営業の課題を明確にして、解決を図ることが求められています。
組織営業の課題解決が必要な、2つの理由について見ていきましょう。
理由1:慢性的な人材不足
現在は、以下の理由で慢性的な人材不足に悩まされている企業が大半です。
- 理由1:少子高齢化の進行
- 理由2:働き方への意識の変化
- 理由3:社会情勢の影響
人材不足は日本の人口動態に深く関係するため、このトレンドは今後も続くことが確定しているのです。このような状況下では、「組織営業力を高める=生産性を高め付加価値を生み出す」ことでしか、活路が見出せません。
組織営業力を高めるためには、組織対組織の関係性を強化する必要が出てきます。個々の営業担当者に任せるのではなく、組織としてお客様と関係性を構築することが今後はポイントになるでしょう。
理由2:市場競争の激化
近年では自然災害や新型コロナウィルス感染症の影響もあり、企業にとって先が見通せない状況が続いています。外部環境の変化がこれまでになく激しく、変化対応力が企業に問われているのです。
そのような中で、競合社と差別化を図り勝ち抜くための競争が激化しています。本来の事業領域に近い市場のみではなく、まったく別の市場に商品やサービスを投入する企業も出始めました。
厳しい市場競争に打ち勝つためには、組織営業の強化が欠かせません。課題に対して組織で改善を図り、市場競争に打ち勝つための知恵を結集させる必要に迫られています。
そして、組織営業では個人プレーの意識を担当者は捨てなければいけません。なぜならば、限られた領域でしか、アイデアが生み出せないためです。個人では決裁権も限られているため、できることも限られてくるでしょう。
大切なのは、上位職者を巻き込んだ営業です。日頃から、上司部下共にタテの関係構築を築くことが重要になります。
まとめ
いかがでしたか?本日は、「組織営業の課題」について解説しました。
今後も続いていく人材不足や市場競争の激化は、企業へ組織営業の強化をさらにうながしていくでしょう。
組織営業を行うためには、まずは組織の課題を明確にしなければいけません。何がボトルネックになっているかを見極め、管理者がリーダーシップを発揮して改善を図ることで活路が切り開けるのです。
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宮本 聡介
営業経験は25年あり、その中で時代と共に営業スタイルを変えてきた。 豊富な営業経験を活かしつつも、時代を先取りした営業系の記事を制作。 特に、卸系の営業には長く従事し、経験や知識は極めて潤沢。