営業トーク力を高めるロールプレイングのコツとNG例を営業研修会社がまとめてみた
目次
こんにちは。石井です。
皆さんは、日常的に営業トークの実践的な練習(ロールプレイング)をしていますか?
営業におけるロールプレイングとは、ロール(役割)を演じることで現実の商談に近い実践的な練習を積むことを目的に行われるもので、略してロープレなどと呼ばれることもあります。
今回のコラムでは、年間数百回超えの営業ロープレ研修を実施している弊社が、一人でもできるロープレのコツとNG例を紹介します。
ちなみに、弊社は研修内で実施するロープレの数は日本一であるということを豪語しております。
そんなロープレを知り尽くした弊社がノウハウを大公開します。
営業トーク向上には練習・ロープレが不可欠
営業担当者は、営業トークがうまいというのは皆さんもご想像できると思います。
では、なぜ彼ら彼女らは営業トークがうまいのでしょうか。
結論から申し上げますと、「正しい練習を数多くこなしている」からです。
営業トークは持って生まれた才能に関係なく、正しい練習を繰り返し行うことで向上が可能です。
多くの営業担当者が実際の商談で実力を発揮できていない
まずは、多くの営業担当者に当てはまる事例を見ていきます。
「練習でできないことは本番ではできない」という言葉は有名ですが、営業の現場においてもこの考え方が当てはまります。営業担当者として持っている能力は高いのに、練習不足によって実際の商談で真の実力が発揮できていないケースは多くあります。
「わかってはいるけど、できていない」こんな営業担当者が少なくないのです。
できる営業担当者は準備を徹底する
本番で実力を発揮するために、大切なことは準備です。
できる営業担当者こそ準備を徹底しています。お客様との商談前に、お客様情報や過去の取引履歴を調べるだけでは不十分です。
できる営業担当者は、そこからもう一歩踏み込み、実際の商談を想定したロープレを実施しているのです。
実践を想定した練習・ロープレとは?
そもそもロールプレイングとは、ロール(役割)をプレイ(演じる)することです。
一般的には、ロープレと略されることが多く、意味は「実践的な場面を想定して、練習をすること」になります。実際に、お客様との商談の内容は、特定の決まった流れにそって進むことがほとんどです。
つまり、多くの商談において、商談前に「営業トーク」を想定できます。そのため、想定できる商談の流れにそったロープレを事前にすることは必要不可欠なのです。
大切なことは、想定できる典型的な営業トークを徹底的に練習して、スムーズに言えるまで向上させることです。
実際を想定した練習・ロープレのメリット
商談前に想定できる「営業トーク」をロープレしておくことのメリットは、大きくわけて3つあります。
メリット1:お客様との典型的な対応がスムーズにできるようになる
ロープレで営業トークを向上させることで、典型的なお客様とのやり取りがかなりスムーズになります。
これにより、お客様にとってはストレスなく商談ができ、営業にとってはお客様情報をより多く獲得できます。そして何より、スムーズな対応は営業としての信頼獲得につながります。
メリット2:自身の強みと弱みを認識できるようになる
ロープレを通して、営業としての自分自身を客観視することで強みや弱みを認識できます。
強みを認識することで、実際の商談で自信を持って臨むことができます。また弱みを認識することで、営業としての成長につなげることも可能ですし、本番での失敗を未然に防ぐことも可能です。
メリット3:実際の商談の構成を理解でき、心に余裕が持てるようになる
できる営業担当者とそうではない営業担当者の大きな違いの1つに、「1つの商談で持ち帰るお客様情報の量の違い」があります。
できる営業担当者の方が、圧倒的に多くのお客様情報を一度の商談で持ち帰ります。
その理由は、「心の余裕」にあります。例えば、サッカーのドリブルの練習を想像してみてください。コーンを置いてその間をドリブルして抜けていきます。
初心者は、ボールを見てドリブルをします。
中級者になると、コーンを見てドリブルをします。
そして上級者になると、ボールもコーンも特に注視せずドリブルができます。つまり、上級者は圧倒的に視野が広く、さまざまな情報を得ることができるだけの心の余裕があるのです。
これと同じようなことが営業現場でも起きています。皆さんは、心に余裕を持って、日々商談を行うことができていますか?
そうであれば、かなりのお客様情報を獲得できているに違いありません。そうではない場合も、ロープレを繰り返すことで商談に慣れることができれば「心の余裕」を持つことにつなげることができるでしょう。
もっと商談スキルを高めるために必要な顧客の理解について知りたい方はこちらをチェックください。
顧客理解の基本3スキルの資料ダウンロードはこちら実際を想定した練習・ロープレのコツ
ロープレをただやみくもに行うだけでは、営業トークはうまくなりません。
正しい方法で繰り返し行うことが大切です。ではロープレのコツとはどのようなものでしょうか。
コツ1:練習によって何を改善したいのかを明確にする
まず大切なことは、「何を改善したいのか」を明確にすることです。
営業として目指したい像、憧れの先輩や上司と自分のギャップは何かを考え、改善点を見つけましょう。
「何を改善したいのか」を明確にせずに、ただやみくもにロープレを繰り返すだけでは、効果が出にくいだけではなく、何がどのくらい成長したのかも把握できません。
コツ2:実際の商談だと思って最後までやり切る
ロープレを一度始めたら、最後までやり切ることが大切です。
なぜならば、実際の商談ではやり直しができないためです。言葉が思うように出てこなかったり、見せたい資料が見つからなかったり、実際にロープレをやってみるとたくさんの失敗をします。ただ、そこで止まってはいけません。
最後までやり切った後に、できなかったことを振り返りましょう。
コツ3:自身の強みと弱みを認識する
ロープレを行う際には、自身の強みと弱みを認識することが大切です。
しかし、なかなか客観的に自身の営業を分析することは難しいです。そこで、自分のことを客観的に認識するための2つの方法をお伝えします。
先輩や上司からフィードバックをもらう
一番簡単で確実な方法としては、先輩や上司からフィードバックをもらうことです。
ロープレでは、先輩や上司にお客様役をやってもらい、終わった後には必ずフィードバックをもらうようにしましょう。
フィードバックは終わった後にすぐもらうことが効果的です。ロープレが終わった後にすぐフィードバックをもらい、先輩や上司と一緒に、自身の強みや弱みを分析してみましょう。
自身のスマホで録画して分析する
先輩や上司が多忙すぎて、なかなかロープレの相手を頼むことができないという方もいると思います。
その際には、ロープレを一人で行い、スマホで録画することをオススメします。実際にビデオを見ると、口調や自身の姿勢などを客観的に見ることができ、多くの強みや弱みが見つかるはずです。
撮ったビデオを先輩や上司、同期などに見てもらいフィードバックをもらうことも自分自身の強みと弱みを認識するためには効果的です。
コツ4:弱みを改善して無意識にできるまで練習する
実際に認識できた弱みは、ロープレを行い克服していきましょう。
ここで大切なことは、意識しないでも自然とできるまで練習することです。
ロープレを通して「自身の弱みを認識できている」や、「意識すればできる」というだけでは不十分です。こういった状態で実際の商談に臨むと、緊張から実力が発揮しきれない可能性が十分にあります。
また、弱みを出さないことに意識を集中させる必要があるため、それ以外の部分に集中できません。よって、無意識にできるまで繰り返し練習することが必要です。
コツ5:実際の商談で練習通りにできたかを確認する
無意識にできるようになるまで練習をしたら、実際に本番でできたかどうかを確認しましょう。
ロープレでうまくできたところが、実際の商談でうまくできなかったというケースは珍しくありません。
実際の商談では、練習で想定していなかったことが起きたり、思わぬ緊張から実力が発揮しきれなかったりすることもあるからです。
実際の本番でできたこととできなかったことを振り返り、営業トークを向上させていきましょう。
もっと商談スキルを高めるために必要な顧客の理解について知りたい方はこちらをチェックください。
顧客理解の基本3スキルの資料ダウンロードはこちら実際を想定した練習・ロープレのNG例
ロープレをするうえで、これだけはやめたほうがいいNG例を紹介します。
今行っているロープレがNG例に当てはまるという方はぜひ見直しを検討してみてください。
NG例1:実際の商談を想定していない
ロープレは実際の商談ではありません。しかし、できる限り実際の本番に近い環境でロープレをすることが大切です。
営業トークスクリプトの音読のみになっている
ロープレの代表的なNG例の1つに、営業トークスクリプトの音読があります。
営業担当者になりたての方にとっては、最初のうちはロープレにおいては、トークスクリプトを見ながらでもよいのですが、実際の本番までにはスクリプトを見ずに商談が行えるまでロープレを重ねておきましょう。
実際の本番では、お客様の前でスクリプトを読み上げることはできません。なぜならば、ただスクリプトを読んでいるだけの営業には、情熱を感じにくいためです。
また、営業担当者としても、営業トークスクリプトを読むことに集中すると、お客様の話を聞き逃してしまう可能性もあります。
そのため、営業トークスクリプトは、自分の言葉でスラスラと話せるまで、練習しておきましょう。
営業トークスクリプトの暗記が目的になっている
営業トークスクリプトを暗記するくらい練習することは大切ですが、暗記をすることを目的にしてはいけません。
ロープレで実施できるのは、あくまで想定しうるお客様との商談になります。
実際の商談では必ず想定しなかったことが起きます。それに対応するためには、ただ営業トークスクリプトを暗記するだけではなく、「なぜその営業トークスクリプトなのか」という背景も捉え、営業トークを論理的に理解できるようにしておきましょう。
実際に使用する資料を準備せずに実施している
ロープレでは、お客様にお見せする資料を必ず準備しましょう。資料の見せ方や説明の仕方をロープレすることはとても大切です。
また、資料のどのページを見せるのかも事前に確認をしておかないと、実際の本番で焦ってしまい、どのページを見せるのかがわからなくなってしまうことも起こりえます。
見せたい箇所に付箋を貼っておくというのも良い対策になります。
本番の環境とは違う状況で行っている
なるべく本番の商談の環境に近い状況でロープレを行うことが大切です。
例えばお客様との商談がオンラインであれば、ロープレもオンラインで行いましょう。実際の商談環境に近い状況で行うことで、気付きや思わぬ落とし穴や失敗も事前に確認できます。
NG例2:どのスキルを向上させたいのかが不明確である
ロープレを行うことで、「何を向上させたいのか」「何を改善したいのか」を明確にしましょう。
具体的にどのスキルを向上させたいかが不明確な場合、自身がどのくらい成長したのかを確認もできません。
また先輩や上司にロープレを見てもらう際には、「○○の部分を見てほしい」というように具体的に向上させたいスキルを明確にしましょう。
NG例2:客観的なフィードバックが受けられない
ロープレを行うことの意義の1つに、普段気付かない自分の強みや弱みを認識することがあります。
できる限り客観的に自分自身を見られるようにしましょう。先輩や上司に協力してもらうことはもちろんですが、もし協力が得られない場合は、次章を参照ください。
一人で営業トークを練習するときのやり方
どうしても、上司や先輩の協力が得られないという方は、一人でもロープレを行うことができます。
ステップに沿って実施することで、自身の強みや弱みを認識し、営業トークに磨きをかけましょう。
ステップ1「上司や先輩の営業トークを録音(できれば録画)する」
上司や先輩の営業トークを録音、録画しましょう。できれば、姿勢やボディランゲージもわかるように録画をオススメします。
ステップ2「録音(録画)したものをよくく」
実際に録音(または録画)したものは、暗記してしまうくらい聞きましょう(※暗記することが目的ではありません)。
電車での移動時間、休憩時間など、細切れ時間を利用しましょう。
ステップ3「先輩の営業トークをまねしてみる(自身を録画する)」
暗記するくらい聞いたら、まねをしましょう。その際に、口調だけではなく姿勢やボディランゲージに至るまで、まねをしましょう。
ステップ4「自身の録画を見て改善点を洗い出し修正する」
次に、まねをした自身の商談の録画を検証してみましょう。上司や先輩と自身の商談を比較することで、さらなる改善点を導き出しましょう。
ステップ1~4を営業シーン別で実施する
これらのステップを、営業シーン別に繰り返し実践していきましょう。
ポイントは、「無意識にできる」まで繰り返し実施することにあります。
もっと商談スキルを高めるために必要な顧客の理解について知りたい方はこちらをチェックください。
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いかがでしたでしょうか。
営業担当者にとっては必須スキルである営業トークの練習の仕方ですが、参考になりましたでしょうか。
営業トークを磨くと、お客様から引き出せる情報が多くなります。これは、営業担当者にとって、商談をスムーズに進めていくためには欠かせません。
また、お客様との商談の中でよくある典型的な営業トークを身につけておくことで、対話以外のことにも目を配ることができ、さまざまな情報をお客様から獲得できます。
営業トークは、才能に関係なく練習を繰り返すことで身につけることが可能です。今回の記事では、一人でも練習できる方法を載せたので、ぜひ気軽に実践してみてください。
営業トークを磨くと、営業としてのワンランク上を目指せます。ぜひ、これを機に営業トークを磨いてみるのはいかがでしょうか。
もっと商談スキルを高めるために必要な顧客の理解について知りたい方はこちらをチェックください。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。3歳息子のパパ。