営業
2021.04.20

圧倒的な差を生む質問力の鍛え方!トップセールスの営業担当者が実践するそのテクニックとは?

こんにちは。石井です。

今回は質問力の鍛え方についてお話したいと思います。

私は、弊社が提供している営業教育を通して、多くのトップセールスの営業担当者の方々と仕事をしてきました。

お会いしてきた営業担当者の方々は例外なく、「お客様の情報を聞き出す」ための質問力が優れていました。今回のコラムでは、弊社が分析した「トップセールスの営業担当者の方が実践する質問力」についてお伝えします。

質問力とは何か?

質問力とは、字のごとく「質問」する「力」のことで、疑問点や不明点を問うスキルのことです。

学生のうちは「答えのある質問に回答すること」を、例えば試験などを通じて繰り返し行いました。しかし、社会人になると、答えが1つしかないということはなかなかあり得ません。

この質問力を鍛えることで、お客様から多くの情報を引き出すことができ、答えが1つではない状況でもたくさんの解決策を探ることができるようになるのです。

質問力を鍛えるメリット

対話の主導権(イニシアティブ)は、「聞き手」と「話し手」のどちらが握っているでしょうか。

一見、「話し手」が主導権を握っているようですが、テレビ番組でのインタビューを思い浮かべてください。

インタビューを受けている方は、気分良くお話をしていますね。これは、「聞き手」であるインタビュアーが主導権を握り、「話し手」が話しやすい状況を作っているからなのです。

同じように、営業担当者が行う商談であっても主導権は間違いなく「聞き手」が握り、対話をリードしていくべきなのです。そのために大切なスキルが「質問力」です。

メリット1:コミュニケーションがスムーズに

対話は「聞く」と「話す」の2つに分けることができますが、そのうち「話す」ということに関しては「聞く」よりも上達しやすいです。

なぜならば、営業担当者として「自社紹介」「他者事例」「商品情報」などをお客様に話すというシーンは多く存在するからです。

また、これら「自社紹介」「他者事例」「商品情報」などは、自分一人でも練習可能であるため、お客様との商談の前にある程度の練習をすればうまくなります。

しかし、「聞く」ことに関しては上達がなかなか難しいと言えます。決まった質問をお客様に「聞く」ことは簡単ですが、その質問にお客様がどう答えるかはわかりません。

もちろん、ある程度お客様の答えは予想できるため、典型的な対話はイメージできるはずです。

しかし、お客様の答えに関して柔軟に対応する必要があることは事実です。前に記載した通り、お客様との商談は「聞き手」が主導権を握ります。

そのため、「聞き手」としての質問力を意図的に鍛えない限り、コミュニケーションがスムーズになることはないのです。逆に言えば、この質問力を鍛えることで、一気にコミュニケーションがスムーズになると言えます。

メリット2:信頼が深まる

「話す」よりも「聞く」を重視

「○○な営業担当者はイヤだ!」の○○に入るものをできるかぎりあげてみてください。

この問いは、弊社がフランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社と共同開発したプログラムである「7つの習慣🄬forセールスパーソン研修」で毎回受講生に聞く質問です。

のべ数百人の方々にこの質問をしましたが、いつも出てくる答えが「自分の話や自社製品の説明ばかりする営業担当者はイヤだ!」や「一方的な押し売りはイヤだ!」です。

ここから分かることは、営業担当者が「聞く」ことを軽んじて「話す」ことを重視することをお客様が嫌う傾向にある、ということです。

「○○な営業担当者はイヤだ!」ということを裏返すと、お客様にとって「最低限○○は守れていない営業担当者とは、一緒に仕事をしたくない」とも言えます。

この最低限の部分であるお客様の話を「聞く」というのは、どの営業担当者もクリアすべきことです。

7つの習慣🄬forセールスパーソン研修の資料はこちら

「聞く」に欠かせない質問力

「聞く」という行為で大切になってくるのが、「質問力」です。

お客様の話を聞くというシーンを思い浮かべてください。そのシーンのなかでは、「お客様が自発的に話す」場合と、「営業担当者の質問に対してお客様が話す」場合に分けることができます。前者は特段のテクニックを要しません。

他者の営業担当者と差別化するという意味で、紛れもなく後者のシーンが重要です。いかにお客様から多くの情報を引き出すかが大切です。

商談が終わった後、お客様が「あ~つい話しすぎてしまったな……。」と感じてもらえるくらい営業担当者が質問力を磨く必要があるのです。

そして、お客様が話しすぎたと感じるということは、営業担当者がお客様から信頼される相談役としてのポジションを確立したといえるのではないでしょうか。

メリット3:問題解決までのスピードが速い

優れた質問力を持っている営業担当者は、質問を使ってお客様の思考を整理していきます。

質問をすることで、お客様の課題を網羅的に出し、その課題の解決策も明らかにしていきます。さらに、その解決策の優先順位まで整理します。

「課題が多くて、何から手を付けていいかわからない。」という状態から、「この課題を解決するために、まずはこの解決策をやってみよう。」へとお客様の思考を整理していくのです。

質問によってお客様の思考を整理することで、お客様の問題解決のスピードも格段にアップしていきます。

お客様からは、「この営業担当者と仕事をすると、何だか問題が素早く解決するな!」と思ってもらうことで、信頼関係の構築にもつながるでしょう。

質問の種類は2つある

質問は大きく分けて2種類あります。「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」です。

クローズドクエスチョン

クローズドクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答えることができる質問です。

営業担当者が「クローズドクエスチョン」をすると、お客様は「はい」か「いいえ」で答えるため、回答のしやすさがあります。

一方で、「はい」か「いいえ」のみを聞くクローズドクエスチョンでは、具体的な話まで踏み込むことは難しく、お客様を理解するためには、「オープンクエスチョン」を使うことも必要です。

オープンクエスチョン

オープンクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答えることができない質問のことをいいます。

オープンクエスチョンを使うことで、具体的な話を聞くことができます。

一方で、オープンクエスチョンをする際には、論点がブレやすく、的外れな回答が返ってくる可能性もありえます。代表的な、オープンクエスチョンの例が、こちらです。

深める質問

理由や具体的な話を聞く際に使用します。

営業トーク例:「○○の理由は何ですか?」「○○の背景には、何があるのでしょうか?」「具体例をあげるとどのようなものがありますか?」

広げる質問

論点を広げる際に使用します。

営業トーク例:「他に考えられる課題は何かありますか?」「すでに完璧のように見えるのですが、何かお困り事ってありますか?」

優先順位を問う質問

課題や解決策に関する優先順位を整理する際に使用します。

営業トーク例:「直近で解決したい課題と、中長期的に解決したい課題を分けるとどのようになりますか?」「この課題はすぐにでも解決しなければならないといったものはありますか?」「解決策で取りかかりやすいものはありますか?」

5W1Hを問う質問

基本的な内容ですが、5W1Hは網羅的に確認するのに役立ちします。

5W1Hは、What(なに)・When(いつ)・Where(どこ)Who(だれ)Which(どっち)・How(どのように)です。

営業トーク例:「いつまでにどのような状態になっていると、このプロジェクトは成功したと言えますか?」「この案件のゴーサインは、どなたが出されるのですか?」

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ダメな質問の仕方

典型的なダメな質問の仕方を並べてみました。該当しているなと思った方は、ぜひ質問の仕方を見直すきっかけにしてください。

オープンクエスチョンを繰り返す

お客様のことを具体的に知りたいという気持ちが強まることは良いことですが、その反動でオープンクエスチョンを多用してしまうことがあります。

オープンクエスチョンをたくさん受けると、お客様は回答することに疲れてしまいます。適宜、クローズドクエスチョンも混ぜながら、お客様が回答しやすい状況を作りましょう。

目的がわからない質問をする

お客様は、質問する内容が良くてもそれだけでは良い質問であると感じることはありません。

その質問が何のためにされているのかということを理解したうえで、質問をされたいのです。

例えば、いきなり「このチョコレートはいくらだと思いますか?」と質問されると、「なんでその質問をしたの?」って思いませんか。

こういう唐突な質問にならないように、何でその質問をしているのかという目的をしっかりとお客様と確認しましょう。

質問の話題を頻繁に変える

お客様との商談の前に、質問リストをしっかりと作成している方によくあることがこちらです。

質問リストをすべて聞かなければという思いから、つい対話の観点からずれた質問をしてしまうのです。質問をする際には、対話の流れに沿っているかということを確認しましょう。

対話の流れに反してでも質問したいことがあれば、「話が変わり恐縮なのですが……」といった枕詞をそえましょう。

質問攻めになっている

営業担当者は一度質問をしたら、すぐに次の質問に移る、そしてすぐまた次の質問というような質問を繰り返しし続けることはやめましょう。

一度質問をしたら、お客様の回答に対して共感をしたり、自分の意見や解釈をはさんだりすることで、しっかりとお客様の回答を理解したということを伝えましょう。

誘導尋問になっている

お客様のことを深く理解するためには、事象の背景にある理由を問うことは大切です。

しかし、「なぜ~ですか?」ということを聞きすぎると、お客様は尋問を受けているような感覚になってしまいます。

続けて理由を問いたい際には、「きっかけは何だったのですか?」といった表現を使うと少しマイルドに聞こえます。

また、「その背景について、ぜひ私も一緒に理由を考えていきたいのですが……」といった言葉を添えることも有効です。

質問力を鍛える3つのポイント

質問力を身につけるうえで、大切な3つのポイントを紹介します。

ポイント1:正しい傾聴の仕方を身につける

「傾聴とは何でしょうか。」という質問に、皆さんはどうお答えしますか。「営業は傾聴が大切だ!」という言葉をよく聞きますが、「傾聴」という言葉の定義は非常にあいまいです。

弊社では、傾聴を4つのポイントに分類しています。これらのポイントを意識して、正しい傾聴をしましょう。

態度を示す

アイコンタクト、身ぶりや手ぶりといった態度を示しましょう。

最後まで聞く

お客様の話を最後まで聞くというのは、案外難しいことです。

お客様の話の途中で、つい何か話をしたくなることはよくありますよね。そして、お客様の話が終わったらその話をしようと考えます。

ただ、この時はすでにもうお客様の話を半分くらいしか聞いていない状態かもしれません。

共感する

お客様の感情の背後にあることまでしっかりと理解するようにしましょう。

観察する

お客様の姿勢や表情を見て、言葉だけではわからないところまで理解するようにしましょう。

ポイント2:ゴール・現状・ギャップの典型的な質問例を覚える

お客様にとっての「ゴール」「現状」「ギャップ」を問う典型的な質問例をいくつか用意し、覚えておくようにしましょう。

(※ゴール・現状・ギャップの写真を挿入する)

ゴール

「これから、御社が目指していきたい像はどのようなものですか?」「この案件が成功したといえるのは、どういった状況でしょうか。」

現状

「現状に対して、ご不満に思っていることは何ですか?」「かなり現時点ではうまくいっているように見えるのですが、いかがでしょうか?」

ギャップ

「ゴールを達成するために、現状をどのように変えていきたいといった方針はありますか?」「現時点で、どのような解決策を講じていますか?」

ポイント3:お客様の役職に応じた質問をする

お客様の役職に合わせて、営業担当者が質問の内容を変えていくことはとても大切です。

例えば、従業員数が数千を超える上場企業の社長に対して、「御社の使用されているコピー機の評判はいかがでしょうか。」と聞いたところで、「それは担当者に任せているのでわかりません。」と回答が返ってくると思います。

こういった状況にならないように、最低限「経営層」「管理職層」「担当者層」に向けた質問を考えていく必要があります。

経営層向け

経営層は、会社の理念やビジョンに関係することを常日頃考えています。

そのため、会社の将来について、また創業社長であれば創業の理念や背景などを質問するとよいです。

管理職層向け

管理職層は、戦略に関心があります。経営層が考えた理念やビジョンを実現するために、どういう戦略をとるべきかを考えているわけです。

そのため、戦略にそくした質問をするとよいです。

担当者層向け

担当者層は、管理職層が考えた戦略をどう実行していくのかというオペレーションの部分に関心があります。

そのため、現場での具体的な話などを質問するとよいです。 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

営業活動では、「話す」よりも「聞く」ことが重要です。「聞く」うえで大切な能力である「質問力」を磨き、他社の営業担当者と差別化できるようになりましょう。

「自社紹介」「他者事例」「商品情報」などの「話す」ことについては、営業活動を数年やれば誰でも上達可能です。

なぜならば、自分一人でも練習ができますし、営業担当者が一方的に話せば良いだけなので、その場に応じた対応が求められないからです。

一方、「聞く」という行為は、お客様の回答次第で、次の質問を考えださなければなりません。つまり、臨機応変な対応が求められるのです。

前述した通り、対話の主導権は聞き手が握ります。ぜひ、質問力を磨き、お客様との商談をリードして、お客様から一目置かれる営業担当者になってください。

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