営業
2021.04.20

クロージングにおける営業トークの決定版!コンペ勝率90%超の極意とは?(営業トーク例付)

目次

こんにちは。石井です。今回のテーマはクロージングです。

弊社は、10名ほどの営業メンバーがいま、コンペ勝率90%超を記録し続けている会社です。私たちが属する教育研修業界も、かなりの会社が存在し、提案する度に必ずと言っていいほど3社以上のコンペになります。

つまり、「簡単に競合に勝てる環境ではない中で、コンペ勝率90%超」というのを記録し続けているのです。

では、いったいどのようにしてコンペ勝率90%超を達成できているのか。その秘密を営業シーンのうち「クロージング」に焦点をあてて解説していきます。

クロージングとは何か

クロージングとは、一般的には営業活動において「お客様との契約を締結すること」です。しかし、弊社では、「意思決定を促す行為も含めて『クロージング』」としています。

弊社代表の書籍である営業担当者として、お客様が意思決定をする際に「どのようにして意思決定を促すのか」がとても大切になります。

なぜクロージングが必要なのか?

提案時にプッシュするだけでは、商談に勝てない

私たちは研修や同行営業といった育成機会を通じて、日々営業担当者の育成を支援させていただいております。

その中で、営業担当者の方から「クロージングをしているのに、なかなか成果に結びつかない。」と言った声を聞く機会が年々増えてきました。

そういった方に、どういったクロージングをしているのか聞いてみると、最も多いのが「提案の時にお客様にプッシュしています。」というものです。つまり、お客様が買いたいと思うように背中を押しているわけです。

これ自体は間違ったことではありません。しかし、大前提としてお客様は数社から提案をもらった時点では、どこの会社を採用するのか決定していない場合がほとんどだということを理解する必要があります。

クロージングとは、提案の時点で良し悪しが決まるものではないのです。つまり、「提案の時にプッシュをする」ということは必要ですが、十分ではなく、他にまだまだやることがあるのです。

クロージングがうまい営業担当者とそうでない営業担当者との比較

今まで数千人の営業担当者をご支援させていただくなかで、クロージングがうまい営業担当者とそうでない営業担当者とでは決定的な違いがあることがわかりました。

結論から申し上げますと、クロージングがうまい営業担当者は、「提案をしてからお客様から結論を聞くまでの期間」でしっかりと「意思決定を促す行為」をしています。

一方で、クロージングがへたな営業担当者は、「提案の場でのクロージングが全て」だと考えており、「提案してからお客様から結論を聞くまでの期間」は、何もせずにただ待っているだけなのです。

クロージング基礎知識

心理学を用いたクロージング基礎

クロージングを行う際に知っておくと役立つ心理学の知識があります。本章では、基礎的なテクニックを4つ取り上げますので、是非取り入れてみてください。

ミラーリング

ミラーリングとは、相手に親近感を持たせたり好感度を高めたりすることができる心理テクニックの一つです。相手と同じしぐさをする、相手の口調を真似るなどが具体的な方法です。

例えば、「相手が机を触ったら、自分も机を触る」「相手がゆっくりのペースで話している場合は、自分もゆっくりのペースで話す」「相手が嬉しそうな表情をしたら、自分も嬉しい表情をする」といった具合です。

これは「類似性の法則」といって、人は自分と似ているものに親しみを感じ、好感を抱きやすいという法則を上手に生かしています。

クロージングの現場でも、お客様の表情やしぐさをよく観察してみましょう。あからさまに真似るのではなく「自然体で真似る」ことができるようになれば、お客様との心理的な距離は各段に近くなるでしょう。

クロージングの上手な営業担当者はお客様との商談の場面でこのミラーリングを上手に取り入れています。使えるテクニックの一つです。

返報性の法則

返報性の法則とは、「他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く心理」のことを指します。例えば、食品売り場で試食をしたら、ついつい買ってしまうというのも返報性の法則によるものです。

では、営業のクロージングの現場ではどうでしょうか。決定会議に必要な情報や資料をそろえるというのは一つの方法です。それも短納期でリクエストに応じる。

すると、お客様にはこんなに尽力してくれたのであれば、検討してみようか、という心理が働きます。また、自社が選ばれるという観点は抜きにして、お客様が検討するにあたって、心から欲している情報を提供するなど、ひとつの借りを作るのです。

すると、たとえ目の前の商談で敗退したとしても、前回の商談での借りがあったな、ということで、全く別の商談で成果が返ってくることがあるものです。

フット・イン・ザ・ドア

フット・イン・ザ・ドアとは段階的要請法とも呼ばれています。飛び込みの営業担当者がドアを閉められる前に足を入れることが出来たら勝ちというところからつけられた名称と言われています。

まずはお客様から小さなYesを取り、そこからもう少しハードルの高い依頼をしてYesを取っていくという手法です。

人には「一貫性の法則」があると言われており、最初から最後まで矛盾がない行動や言葉のやりとりをしたい考える傾向があります。この法則を活用したテクニックです。

クロージングの現場では、例えばミニマムなプランからスタートする、お試しをして頂くなどといった小さなステップを踏んでいくことが有効です。

一度、話を聞いてみよう、試しにやってみようというスタンスを持ったことに対して、一貫性をもって続けたくなる訳です。上手に活用しましょう。

両面提示の法則

両面提示の法則とは、「メリットだけではなくデメリットも合わせて一緒に提示することで信頼感が高まる心理的法則」のこです。人はメリットばかりを提示されると「何か裏があるのではないか」と不信感を抱いてしまいます。

クロージングの現場では、自社のサービスや提案に対しての「メリット」だけではなく、「デメリット」も正直に伝えることが大切です。

その方が逆に正直な営業担当者だと信頼度・好感度ともに上がります。ただし、デメリットの内容や伝え方についてはよく吟味して伝えましょう。

クロージングの良し悪しに大きく影響するマインドセット

クロージングの良し悪しを左右する大きな要因の一つにマインドセットがあります。営業プロセスは、アプローチから始まりクロージングまで、長いと一年以上かかります。

仮にクロージングを失敗して、失注をするとなかなかクロージングにポジティブなイメージを持てなくなります。そうなると、営業としての自信がなくなり、それが自然とお客様にも伝わってしまうのです。

このようなマインドでは、「クロージングがうまくいかない……」という悪循環につながってしまいます。

そこで今回は、クロージングにおける営業トークを成功させるために大切なマインドセットをお伝えします。

お客様とのWin-Winを意識する

ここで、マインドセットに関して社会人の多くが読んでいる本からも考えてみます。スティーブン・R・コヴィー博士が発表した成功哲学「7つの習慣(R)」の第4の習慣である「Win-Win」は、営業のクロージングでも大切です。

クロージングでは、営業担当者は受注が欲しいという気持ちが出て、つい押し売りのような雰囲気になることがあります。

そういう気持ちが出てしまうことは自然なことですが、この商品やサービスをお客様が購入することでお客様にどのようなWinがあるのかということを意識しましょう。

お客様にとってWinのある購入であれば、営業担当者も自信を持ってクロージングができます。

お客様に対する理解を優先する

クロージングのシーンでは、営業担当者がお客様に商品やサービスの説明をしたり、お客様が抱える不安などの購買阻害要因を排除したりします。

こういった状況においては、営業担当者には「いかにお客様に理解してもらうか」という心理が働きます。しかし、クロージングであっても、「お客様のことを理解する」ということをしっかりと意識しましょう。

お客様は、もらった提案内容をもとに社内で調整したり、稟議をまわしたりします。そのため、お客様にも心理的な負担があります。営業担当者は、お客様の感情面まで配慮して接する必要があります。

クロージングに成功している自分をイメージする

営業担当者が自信を持っているかどうかは、お客様から見るとすぐわかります。特に、クロージングの場面で、意思決定を迫られているお客様にとって、営業の自信の有無はとても大切です。

クロージングの前は、クロージングに成功している自分をイメージしましょう。イメージした自信がそのまま、商談に出てきます。

クロージングの効果を最大化するコツとテクニック

契約を締結するために最も大切なことは、『提案してからお客様から結論を聞くまでの期間で、いかに「意思決定を促す行為」ができるか』です。

コンペ勝率90%超の弊社では、営業担当者が最も力を入れるのが、間違いなく「提案してからお客様から結論を聞くまでの期間」です。

では、この期間を「提案直後」と「提案直後から結論まで」の2つに分けて、実際に何をする必要があるのかということを説明します。

提案直後の関わり方

提案直後に、お客様に確認しなければならないことは3つあります。これら3つを確認することで、現状の自分の立ち位置や、これからどのようにお客様と関わるのかを明確にしましょう。

評価について

自社の提案に対して、現時点での評価をもらいましょう。その際には、①お客様ご自身の個人的な想い②自社と他社の比較③どこを選ぶかの評価基準について確認しましょう。

この時点で、自社への評価が思わしくないと思った場合は、下記にある「再提案の可否」を確認して、可能な限り再度提案に持ち込みましょう。

結論が出るまでの流れについて

結論が出るまで、どのような流れで決定されるのかを確認しましょう。「意思決定フロー」「結論が出る日」を聞きましょう。

意思決定フローを聞くことで、誰がどんな流れで決定するのかが見えてきます。会議で決まるのか、上長の方が個人的に決めるのかなど把握しましょう。

そして、結論が出る日までの間に、聞き出した情報をもとに、結論を出す会議での参考資料の準備や、上長の方への接触の可否なども確認しましょう。

再提案の可否について

提案をして終わりではなく再度提案のチャンスがもらえるのかどうかを確認しましょう。この再提案によって、結論がひっくり返り大逆転するケースも珍しくありません。

再提案が可能であれば、自社の提案の修正ポイントを聞き出し、なるべく早くお客様に提出するようにしましょう。

提案直後から結論までの関わり方

この期間で、営業担当者からお客様に「その後、ご進捗いかがでしょうか」と電話をしている方は多いはずです。その際に、どのような言葉がお客様から返ってきますか。

「まだ決まっていない。」「なかなか上司と話が出来ていない。」といったように、曖昧な言葉が返ってくることが多くありませんか。

こんな時に、営業担当者が「わかりました。ではまた連絡いたしますね。」と言って電話を切ると、数日後にお客様から「今回は他社さんを選ぶことにしました。」と言われた、こんな経験をされた方も多いと思います。

もうお気付きだと思いますが、営業担当者が「わかりました。ではまた連絡いたしますね。」と答える前に、2つやることがあるのです。

感情面の配慮

まず1つ目は、お客様の感情に寄り添うことです。コンペ参加社の中から1社選ぶということは、お客様としても社内で大きなプレッシャーがかかっています。

そのような状況ですぐに結論を出すことは難しく、お客様社内で結論を出し渋るというのはよくあることなのです。

そのため、結論がまだ出ないことに対しては、お客様に共感する姿勢を取りましょう。「担当者として、意思決定をすることは大変ですよね。」や「何かを決定する際には、考えることも多くあり一筋縄ではいかないですよね。」と言った声をかけましょう。

論点の整理

大切なのが2つ目です。お客様の感情面の配慮をしたら、しっかりと案件がどういう状況かということを確認して、お客様への手綱を緩めないことです。

例えば、お客様から「まだ結論が出ていないんだよね。」と言われた際には、営業担当者から「お客様社内で意見が割れているのですか。それとも、他に何か理由がございますか。」と返しましょう。

また、営業担当者から「仮に結論を出す日がブレないとした場合、私が意思決定に対して支援できることはありますか。」とも投げかけ、何かできることが無いかを探りましょう。

結論が出るまでの期間でやるべきことを整理して、お客様としっかりとグリップした状態を保つことが大切です。

覚えておきたい効果的なクロージング手法10選

クロージング手法は、お客様や状況に応じてさまざまです。また、法人向け営業か個人向け営業かによっても異なります。

ぜひ、ご自身の営業シチュエーションに近しい手法を参考に、クロージング手法を磨いてください。

手法1:テストクロージングする

代表的なクロージング手法に、テストクロージングがあります。テストクロージングとは、その名の通り「クロージング」を「テスト」することをさします。

「もし~」という言葉を巧みに使い、お客様が実際に商品やサービスを導入するかどうかをヒアリングしましょう。

営業トーク例:「もし、こちらの商品を買うとしたら、何か不安な点はありますか。」「この商品を使って、何を実現したいですか。」

手法2:意思決定を直球で確認する

営業担当者にとって商談が契約締結に至るまで、アプローチ段階からかなりの苦労があります。そのため、クロージング段階になるとどうしても慎重になり、お客様の顔色を伺い消極的になる傾向があります。

しかし、お客様によっては、直球で意思決定を迫られたほうが良いということもあります。どうしても聞きにくいと感じる場合は、枕詞をそえて聞いてみましょう。

営業トーク例:「直球でお伺いいたします。弊社の提案はご決済いただけそうでしょうか。」

手法3:提案内容に選択肢を与える

一つの商品やサービスを提案するよりも、複数の選択肢から選ぶ方がお客様は意思決定しやすい場合があります。

類似した商品やサービスを三つ程度提案して選択肢を増やしたり、松竹梅のように商品やサービスの価格や品質で複数の選択肢を与えたりするのもよいでしょう。

営業トーク例:「弊社が提案させていただいた3種類の内容について、どれか一つを選ぶとしたら、どれか興味を引かれた、というのはございますか。」

手法4:阻害要因を確認して排除する

お客様が意思決定をするうえで、ネックになっている阻害要因を確認して、排除するようにしましょう。

お客様は意思決定をするにあたり、「もっと安いものはないか」というコストの視点、「もっと良い商品はないか」という品質の視点を持っています。「コストの視点」と「品質の視点」は必ず確認しましょう。

その他にも、「この商品やサービスを入れて本当に大丈夫なのか」というリスクの視点や、「この会社や営業担当者は信じられるのか」という信頼の視点も持ち合わせています。

これらの阻害要因を確認できたら、それを排除するようにしましょう。

その場で排除できること、できないことがあると思いますが、阻害要因をどのように排除するかは後日資料にまとめてお客様にお送りするようにしましょう。その資料は、稟議をまわす際に添付資料とされることが想定されるためです。

営業トーク例:「こちらの商品を意思決定するにあたり、ここが気になっているなというものを率直にお教えいただけませんか。」

手法5:評価基準を確認する

お客様が商品やサービスを購入するときは、何かしらの評価基準にそって商品やサービスを査定しています。

商品やサービスが高額になればなるほど、肌感覚で決定するということは少なく、しっかりとした評価基準を決めて、社内で稟議をあげるはずです。そうであれば、お客様の評価基準を聞かない手はありません。

評価基準を確認したうえで、その評価基準をいかに満たしているのかということをしっかり伝えましょう。代表的な評価基準には、「コスト」「スピード」「実現可能性」「効果」「リスク・副作用」があります。

営業トーク例:「今回の提案をご決定されるうえで、どのような評価基準でご決定されますか。」

手法6:導入のメリットを伝える

お客様が意思決定で悩まれているときには、導入することによって得られるメリットをしっかり伝えましょう。その際には、同業同規模の他社事例があるとなおさら効果的です。

事例を伝える際には、

目的:なぜ商品やサービスを導入したのか

ゴール:商品やサービスの導入で何を目指したのか

結果:商品やサービスを導入して結果どうだったのか

工夫点:商品やサービスを導入する際に意図的にやったこと

その他:商品やサービスを導入したうえでのリスクや副作用

などをまとめてお伝えするといでしょう。

営業トーク例:「お客様と、同業同規模のお客様での成功事例がこちらです。お客様もこちらの商品をご購入いただければ、~~というメリットが期待できます。」

手法7:商品やサービスの導入を想定した話をする

商品やサービスを仮に導入したらどうなるのか、という話をすることも効果的です。仮に導入した場合にどういうことが起こるのかということを、お客様と話してみましょう。

導入を想定した話をすると、お客様が導入したシーンを想像して、より購買意欲が高まることがあります。

また、導入したシーンを想像することで、デメリットや事前に検討しておくべきリスクが導き出されるかもしれません。そういった際には、しっかりと営業担当者としてデメリットやリスクに対する対応策を提示しましょう。

営業トーク例:「こちらの商品を導入した場合、どのような効率化がはかれると思いますか。」

手法8:購買決定の期限を設定する

お客様が購買を決定するまでの期限を設定すると、お客様もより真剣に検討します。高額な商品やサービスになればなるほど、お客様は購買決定までの検討時間が必要です。

しかし、期限を設けないままだと、お客様はいつまでたっても意思決定しないという場合もあり得ます。

そのため、しっかりと期限を設定しましょう。また、期限を設定した際には、その検討期間のなかでどういった観点で購買を決定するのかを確認しましょう。

どのように社内で稟議がまわるのか、誰が最終的な意思決定をするのかまで確認できるとなおよいです。

さらに、期限内の特典を用意するとさらに真剣に検討してもらえる可能性が高まります。これらを活用して、期限内に良い回答がもらえるようにしましょう。

営業トーク例:「年内を目途にご検討ください。年内までにご決定いただいた場合に限り、こちらを特典としてお付けいたします。」

手法9:商品やサービスを購買した際のデメリットの提示

ついクロージングでは、商品やサービスの良い面を話したくなります。

その行為は間違いではありませんが、じつはお客様は、商品やサービスのデメリットを伝えることで、営業担当者のことを信頼して結果的に購買につながるケースもあるのです。

また、商品やサービスを購入したお客様の失敗事例などを付け加えると、さらにお客様は積極的に検討してくれるようになります。

営業トーク例:「こちらの商品ですが、じつはデメリットもございます。デメリットもご理解いただいたうえでご検討いただきたいので、デメリットも正直にお話させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。」

手法10:その場でクロージングする(個人への営業担当者向け)

これは個人向け(BtoC)の商品やサービスの営業担当者に向いているクロージング手法です。その場でクロージングする方法はいくつかあります。

購買を促す行動

お客様が意思決定をするかどうか考えているタイミングで、ペンを手渡してお客様のサインを促します。「買おうかな……どうしようかな……」と悩んでいるお客様の背中を押して購買を促します。

営業トーク例:「もしよろしければ、こちらをサインの際にお使いください。」

特別感の演出

お客様は、「私だけにしてくれるの?」と思うと、購買意欲が高まります。

営業トーク例:「この場でご決済いただければ、○○様には特別にこちらの商品もお付けいたします。」

買わない理由の排除

商品やサービスを買うかどうかで悩んでいる場合、何が障害になっているのかを明確にしましょう。そしてその障害を取り除きましょう。

営業トーク例:「こちらの商品をご決定する前段階で、何か気になっていることはありますか。」

意思決定にいたる検討プロセスの可視化

お客様は商品やサービスを買う前には、買うかどうかの検討を必ずしています。この検討プロセスを聞き、可視化することで、検討する時間は必要なく今すぐ買おうと思ってもらう必要があります。

営業トーク例:「こちらの商品を購入するかどうか、どのようにご検討されて意思決定されますか。」

意思決定が本人では決められないと言われた場合

「主人に聞いてみます。」というようにお客様から言われることも少なくないはずです。その際には、本当に主人に聞かないといけないのか、単なる断り文句なのかを見極めましょう。

本当に聞かなければならない場合は、「主人に何を確認するのか」「この商品やサービスをどのように主人に説明するのか」といったことを確認しましょう。ここで多くの営業担当者が、「説明資料をFaxやメールで送りますね」という対応をします。

この行為も間違いではありませんが、最も効果のある手法はお客様にメモを取らせることです。お客様が自分でメモを取ると、それを主人に説明しやすいだけでなく、自分でしたメモは説明したいという主体的な動きにもつながります。

営業トーク例:「ご主人様にご説明される際に、~~だけは伝えていただけませんか。こちらメモしていただければと思います。」

また、単なる断り文句かなと思った場合は、「あなた宛てにかけた電話です」ということを伝え、しっかりと価値訴求をしましょう。

営業トーク例:「じつは、このようなお話に詳しいご主人様向けではなく、あまり詳しくない奥様のような方向けにお電話したのです。」

商品やサービスを体験していただく

実際に商品やサービスを使ってもらうことです。これは洋服や装飾品などの身につけるものが商品の場合は特に有効です。

営業トーク例:「お試しという軽い気持ちで構いませんので、ぜひ身につけたお姿を鏡で見てみますか。」

イエスセットの活用

イエスセットとは、心理学に基づいており、「イエス」と何回も回答していると、徐々に「イエス」と回答したくなるということです。お客様との対話では、常日頃から「イエス」をたくさんもらうことを心がけましょう。

特に、クロージングの際には、これは絶対に「イエス」と思うような質問をたくさんするとよいです。

営業トーク例:「季節が変わって、徐々に寒くなってきましたね。」

緊張感からの解放

商品やサービスを導入するかどうかの話をしているときは、どうしても営業担当者もお客様も緊張から固くなります。ピリピリとした空気が続きそうであった場合は、一度リラックスする話をしてみるのもよいと思います。

趣味の話や雑談などから、かえって良い話が生まれることもあります。売りたいという雰囲気が出ているなと感じたときは、営業から話題を変えましょう。

営業トーク例:「なかなかすぐにご判断というのは難しいですよね。ちなみになのですが…。」

考える時間の確保

お客様が検討しているとき、沈黙することがあります。営業担当者にとってみたら、この沈黙が嫌なので、何かしら話をしたくなります。

しかし、お客様が考えていて何も発言していないのであれば、営業担当者が話しかけることは逆効果です。しっかりと、お客様が考える時間を確保しましょう。

営業トーク例:「お待ちしておりますので、ぜひお考えください。」

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お客様の発言への対応例9選

お客様の発言には、しっかりと感情面の配慮をしたうえで、内容の詳細を確認しましょう。

発言1:今回は他の案件も重なって、ちょっと難しいかもしれません

(解答例)取り組むことが多くて大変ですね。ちなみに、他の案件とは具体的にどのようなことをされるのですか。弊社からの提案も、仮に期日内に決めることを想定した場合、私が支援できることはございますか。

発言2:まだ考えがまとまっていなくて……

(解答例)普段考えないことを思考するというのは、大変ですよね。ちなみに、弊社の提案のどのあたりに良さや強みを感じていただけましたか。きっと、他社様も素晴らしいご提案をされていると思いますが、どういったところを評価されていますか。

発言3:まだ上司と話ができていないんですよ……

(解答例)社内で意思決定をすることは、難しいですよね。上司の方とお話できていないのは、そのような場を持てていないのか、それとも考えがまとまってから話したいということでしょうか。

発言4:他社との公平性に欠けるので詳しいことはお答えできません

(解答例)確かにそうですよね。大変失礼いたしました。お渡しさせていただいた資料自体には、価値は感じていただけましたか。また個人的な意見で構いませんが、弊社のご提案は社内でどう評価されそうでしょうか。

発言5:上司が微妙な反応をしておりまして……

(解答例)そうなのですね。社内での意見調整は難しいですよね。上司の方が微妙な反応とは、どういった表現をされていましたか。上司の方と認識をすり合わせるために、私たちができることはありますか。

発言6:じつは少し方向性が変わってきておりまして……

(解答例)提案を受けてから、社内で方向性が変わっていくというのはありますよね。ちなみに、方向性とは具体的にどういった内容でしょうか。提案前後で変化したことについてお聞かせいただけますか。

発言7:少しバタバタしていて、1週間期日を後ろ倒しできますか?

(解答例)大変お忙しい時期に差し掛かっているのですね。結論が出せそうにないというのは、社内で意見が割れているのですか。それとも、検討の場を持てていないのでしょうか。

発言8:この金額だと、社内で決済されないと思います。

(解答例)ご状況について承知しました。ちなみに、どのくらいの金額感だと現実的でしょうか。弊社としてもすぐにお値引きというかたちは難しいかもしれませんが、もし御社が弊社の事例としてホームページに掲載してもよいという了承が取れれば、弊社内での値引きの了承も得られやすくなるかもしれません。いかがでしょうか。

発言9:今回は、他のところにお願いしようと思っていまして……

(解答例)ご状況承知しました。ご決定に至るまで、色々お話を聞いてくださりありがとうございました。ちなみに、今回のご決定は、100%決まりでしょうか。まだ議論の余地が1%でもあれば、再度ご提案させていただけないでしょうか。

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自社に適したクロージングのトークスクリプト作成手順

クロージングのトークスクリプトを作成し、営業組織で共有しましょう。

クロージングのトークスクリプトを作るメリットは、テクニックを共有するという意味もありますが、手元にトークスクリプトがあるという安心感を営業担当者に与えるという意味もあります。

手順1:ペルソナを作る

自社のターゲットとなるお客様の購買担当者のペルソナを作成しましょう。ペルソナを作る目的は、営業組織内で、共通のお客様像を持つことで、営業トークのイメージを描きやすくするためです。

ペルソナを作成する際の項目としては、氏名、年齢、性別、職種、学歴、職歴、家族構成など多岐にわたります。細かいペルソナを作成することで、お客様像を明確にしましょう。

手順2:商品やサービスの説明文を作る

クロージングでは、頻繁に商品やサービスの詳細な説明を求められます。自社の商品やサービスの詳細な説明ができないと、お客様からの信頼を損なう可能性もあります。

お客様から、細かい突っ込みが入ったときに何を答えるのか準備をしておきましょう。また、商品やサービスの説明をする専門のメンバーがいたら、クロージングの場に同席させることもよいでしょう。

手順3:断り文句への切り返しトークを作る

クロージングでよくあるお客様からの断り文句を整理して、それに切り返すトークをまとめましょう。

お客様の断り文句は、整理するとある程度の分類ができるはずです。決断を渋る場合、先延ばしにする場合などそれぞれの切り返しトークを整理しておきましょう。

手準4:実際の商談で活用して、改善を繰り返す

実際にお客様先でトークスクリプトを活用したら、良かった点と改善点をまとめましょう。

月に1回は、営業担当者で集まり、トークスクリプトの見直しをしていきましょう。見直しの会議をすることで、営業担当者の知見が共有され、さらなるアイデアも生まれます。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

クロージングはかなり奥が深く、心理学や具体的なテクニックを押さえ、実践しなければならないことがたくさんあります。ただ、しっかりと実力をつければ確実にクロージングはうまくいきます。

営業活動は、どの営業プロセスにおいてもやりがいはありますが、やはり受注を獲得したときの喜びは格別です。

クロージング手法のパターンを覚えて、お客様からの断り文句にもしっかりと対応できるように準備しておきましょう。

少しでも、本コラムのクロージングの営業トークをご活用いただけると嬉しく思います。

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石井 健博
この記事を書いた人

石井 健博

ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。3歳息子のパパ。

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