営業担当者・マネージャーが身につけたい営業マインドセットをシーン別に紹介!
目次
こんにちは。松下です。
皆さん、「なぜあの営業は成果が出ているのだろう?」「なぜあのマネージャーのチームの営業は成果が出るのだろう?」そんなふう感じたことはありませんか?
実は、成果が出る営業担当者・マネージャーは必ず「成果が出る営業のマインドセット」を持ち合わせています。
今回のコラムでは、営業育成支援を行う弊社が、累計2万人以上の営業担当者・マネージャーをご支援するなかで分かった、営業担当者・マネージャーが身につけたい「営業マインドセット」を厳選して紹介します。
階層別・シーン別に分けて紹介しますので、ぜひ皆さまの営業シーンでお役に立てば幸いです。
マインドセットとは何か?
さて、はじめに「マインドセット」とは何か?についてお話したいと思います。
マインドセットとは「ものの見方。物事を判断したり行動したりする際に基準とする考え方。」(デジタル大辞泉)です。いわゆる「考え方の基本的な枠組み」を指します。
ただし、単純に「考え方」といっても、信念・心構え・価値観・判断基準・暗黙の了解・無意識の思い込み・陥りやすい思考回路といったものも含まれます。
これらは、経験や教育、その時代の空気、生まれ持った性質などから形成されています。
例えば、同じ事象を見ても人によって全く違った反応をしめすことがあります。仕事に対して「仕事はつらいものだ」と反応する人もいれば、「人生を充実させるものだ」と捉える人もいます。
それは、「マインドセット」が影響しています。
営業のマインドセットによって成果は変わる
それでは、営業のマインドセットは、どのように成果に影響するのでしょうか?
前述したとおり、マインドセットとは「考え方の基本的な枠組み」のことですが、この「考え方」のなかには「自分でも気づいていない思い込み」も含まれています。
せっかく優秀なスキルは持ち合わせているのに、無意識の思い込みによって、成果につながらないといったこともあり得るのです。
本章では事例をもとに営業のマインドセットの違いによって成果がどのように変わるか見ていきます。自分自身のマインドセットとも比較しながら、ご覧ください。
営業Aさんのマインドセットと営業Bさんのマインドセット
例えば、営業Aさんは、お客様に対し「自社の製品を紹介して嫌がられたらどうしよう。嫌だな~。とりあえず少しでも製品紹介できればいいか。」と思って訪問します。
一方で、営業Bさんは、お客様に対し「自社の製品を活用してお客様の○○に貢献できそうだ!仮説をぶつけ次回の提案につなげよう。」と思って訪問したとします。
結果はどのように変わるでしょうか?
営業Aさん、営業Bさんの成果はどうだったか?
結果、営業Aさんは、お客様から「御社の製品は分かりました。機会があればまたこちらからお声がけしますね。」と言われ終わりました。
一方、営業Bさんはどうだったと思いますか?「次回、具体的な提案書を持ってきてください。」と次の商談につながったのです。
マインドセットでここまで成果が違う
ひとまず製品紹介だけして終わった営業Aさんと、次回の提案につながった営業Bさん。成果の違いは歴然です。今回の事例は少し極端な比較だったかもしれません。
しかし、3年間営業活動を続けた後、営業Aさんと営業Bさんとでは明らかに出てくる成果が違うということは想像できるはずです。
中長期的には、マインドセット1つでこのように成果に違いが出ます。それほどマインドセットは営業の成果に直結しているのです。
始まりはマインドセットから
さて、もう一つ着目して欲しいポイントがあります。営業Aさん、営業Bさん、訪問前に思い描いているゴールがそもそも違いました。
営業Aさんは、「少しでも製品紹介しよう」
営業Bさんは、「仮説をぶつけて提案につなげよう」
この始まりこそがまさに、成果を出している1つ要因なのです。すべての成果の始まりは、営業のマインドセットから、こう言っても過言ではありません。
では次章からは、「これだけは押さえておきたい営業マインドセット」についてお話していきます。
マネジメント意識調査の資料ダウンロードはこちら営業階層別 これだけは押さえたい営業マインドセット
本章では、これだけは押さえておきたいという営業マインドセットを、階層別に紹介していきます。
具体的には、「新人向け」・「若手向け」・「マネジメント層向け」と3つの階層に分け、シーン別に取り上げています。
ご自身が該当する階層の内容をご覧頂ければと思います。(※7つの習慣(R)に登場するマインドセットを参照して説明しています。)
7つの習慣🄬forセールスパーソン研修の資料はこちら【新人向け】身につけたい営業マインドセット
営業をスタートしたばかりの新人営業担当者は、日々営業活動をするなかで多くの壁にぶつかると思います。ここでは、新人営業担当者に求められるマインドセットを営業シーン別にご説明します。
1.【飛込営業・初回アプローチ】問題の原因は自分自身にあると考える
最も断られる確率が高い営業シーンが、飛込営業や初回アプローチです。
多くの新人営業担当者は、営業テリトリーを託され、日々営業活動をしていると思います。
そのなかで、これだけは必ず身につけておきたいマインドセットが、「インサイドアウト」です。「インサイドアウト」とは問題の所在を自分自身に向けるということです。
営業をスタートさせたばかりではさまざまなことがうまくいかずに落ち込むことも多いはずです。その時に、「なぜうまくいかないのか?」ということに対して、つい人のせいや環境のせいにしがちです。
うまくいかないことがあった際には、一度「自分自身に問題の原因はなかったのか?」ということを考えてみましょう。
2.【ヒアリング】お客様を理解することを優先する
営業活動に慣れ始めて、お客様と着座して商談する機会も増えてきたときに気を付けたいことがあります。それは、「まずはお客様を理解することを優先する」ということです。
営業担当者は、お客様に認められたいという気持ちが強くなればなるほど、つい自社製品の紹介や自己紹介に熱が入りがちです。
しかし、営業担当者として忘れてはならないことは、「まずお客様を理解することを優先する」ということです。お客様を理解してから、自社や自分自身のことも理解してもらうという流れを忘れないようにしましょう。
3.【提案・クロージング】お客様にとってのWinを考え抜く
お客様に初めて提案するというのは、営業担当者にとってとても嬉しいことです。そして同時に、「苦労してアプローチを重ねてきたからこそ、絶対にこの商談を勝ち取りたい!」と思うようになります。
これは自然な考えなのですが、「お客様と自分たち双方のWin-Win」ということを忘れてはいけません。つい提案やクロージングになると、「どうにかして買ってもらおう!」というマインドになりがちです。
こういったマインドはいったん抑え、しっかりとお客様にとってのWinを考え抜くことが大切なのです。
【若手向け】身につけたい営業マインドセット
若手営業担当者は、営業活動にも慣れ、一通りの営業活動は自分一人で完結できると思います。そしてこの時期は、営業の成果も出始めることもあり、油断しがちです。
ここで成長できるかどうかは、この後の営業担当者としてのキャリアを作るうえでの大きな分岐点です。これからの大いなる成長に備え、自身のマインドセットを見つめなおしましょう。
1.【飛込営業・初回アプローチ】主体的に新規アプローチし続ける
若手営業担当者は、既存のお客様も増え、日々の営業活動も忙しくなってきます。その結果、多くの営業担当者は、「新規顧客へのアプローチ」よりも「既存顧客へのフォロー」を優先させます。
優秀な営業担当者であれば、既存のお客様から紹介をもらえることも増えてきて、新規顧客へのアプローチ数もそれなりに担保できるかもしれません。
しかし、ここで忘れてはならないマインドは「主体的である」ということです。
いくら優れた営業組織であっても新規開拓をせずに大きな成長はあり得ません。新人営業時代のように、主体的に新規へのアプローチをするということは必要不可欠なのです。
2.【ヒアリング】信頼残高を増やし続ける
若手営業担当者は、典型的な営業シーンでお客様からのヒアリングはスムーズにいくはずです。
お客様からは、信頼を獲得でき、「○○さんには、とても話がしやすいよ~」というコメントをもらうこともあると思います。
お客様から信頼を獲得できているなと感じたときに、忘れてはならないことは「信頼を築くときは少しずつ、信頼が崩れるときは一瞬」という「信頼残高」の考え方です。
営業活動に慣れてきたとしても、お客様へのお礼メール、訪問の際の服装など当たり前のことをしっかりやることを心がけましょう。
3.【提案・クロージング】お客様と自社の相乗効果を創り出す思考を持つ
若手営業担当者は、自社商品の販売経験を積み、提案やクロージングでうまくいったのかどうかというのも次第に肌感覚でわかってきます。
お客様からの質問にも自分で答えることができ、自社商品の説明も滞りなく説明できます。ここでさらなる成長を遂げるために必要なことは、創意工夫に富んだ提案を創り出すことにあります。
これが出来るようになると、競合他社との競争優位性は格段に高まります。お客様と自社の相乗効果を創り出せるかどうか、これが大切になるわけです。
【マネジメント層向け】身につけたい営業マインドセット
営業担当者を複数名マネジメントするマネージャーはどのような営業マインドセットを持つとよいのでしょうか。多くのマネジメント層は、営業担当時代に多くの実績を残しています。
一方で、「なかなか思ったように部下の営業が育たない」そんな悩みを抱えています。そこで、ぜひ身につけたい営業マインドセットを3つ厳選しました。
1.【部下との面談】部下を理解することを徹底する
マネージャーにとって大きな仕事の1つが、部下との期初と期末の面談です。
営業マネージャーのほとんどが過去に優秀な成績をおさめられた営業担当者です。それゆえ、つい過去の自分と比較したり、成功体験を伝えたりしがちです。
ここで忘れてはならないことは、「まずは部下を理解する」ということです。部下との面談では、部下が話す割合が7割くらいというのを意識するとよいです。
2.【部下との同行営業】部下の強みと課題を見つける
部下を成長させるためには、同行営業というのが欠かせません。では、同行営業をする際にマネージャーが意識すべきマインドはどういったものがあるでしょうか。
大切なことは、部下を理解するということにあります。同行営業をするとありがちなシーンとして、マネージャーが商談の大半を担当してしまうということがあります。
こちらは悪いことではないのですが、部下メンバーの成長を促すためには効果的と言えません。マネージャーとして、実際の商談を通して部下メンバーの強みや課題を見つけ出し、それをフィードバックすることが大切です。
3.【仕事を依頼・渡す】部下メンバーの強みに合わせて仕事の渡し方を工夫する
部下メンバーに仕事を渡す際に意識したいことは、部下メンバーの強みが活かされ主体的に取り組めるかという点です。
部下メンバーとその仕事のゴールを握ったうえで、その過程のなかで部下メンバーの強みが活き創意工夫できるような渡し方をしましょう。
マネジメント研修ラインナップの資料ダウンロードはこちら営業マインドセットを身につけるためにおススメの本!
本章では、営業マインドセットを身につけるのに役立つおススメの本を紹介します。前章で紹介したマインドセットがなぜ重要か、本を読んでさらに深く理解していきましょう。
【新人・若手・マネージャー全ての階層におススメ!】
完訳 7つの習慣🄬 人格主義の回復(スティーブン・R.コヴィー 著 キングベアー出版 2013年)
こちらは、世界で販売部数 3,000 万部(40カ国語に翻訳)売れている、超ベストセラーです。時代を通して変わらない軸となる原理原則が書かれています。優秀な営業担当者・マネージャーなら一度は触れたことがある本ではないでしょうか?
本書は、「営業」に特化というよりも人生全般について書かれている本になっています。第1の習慣~第7の習慣まで、営業に活かせる習慣が盛り込まれているので必見です。
前章で身につけたいマインドセットのなかでも取り上げた「インサイドアウト」「信頼残高」「主体性」「Win-Win」「理解してから理解される」といったキーワードは本著に詳しく説明があります。
>完訳 7つの習慣🄬 人格主義の回復
【新人・若手営業担当者におススメ!】
実践!インサイトセールス(高橋 研 著 プレジデント社 2018年)
モノが売りづらい時代に、どのように条件競争から脱却し、優良顧客との取引機会を創造できるか……。
本書では顧客のビジョンの実現を訴求し理屈ではなく共感によって差別化を図る新しい営業スタイル「インサイトセールス」の考え方と事例を分かりやすく解説しています。これからの時代の営業に必要なマインドセットが満載です。
>実践!インサイトセールス
【マネジメント層におススメ!】
新版 ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(藤田 勝利 著 日経BP社 2021年)
ドラッカースクールの卒業生である藤田勝利氏が、日本語でわかりやすくドラッカーのマネジメント理論を解説しています。
自分自身の理解を深め、どのように社会に貢献していくかといったセルフマネジメントから、部下メンバーの強みを見つけ、どのように伸ばしていくかといたところまで幅広く書かれている書籍です。
マネージャーの実例をベースに噛み砕いて説明があるので、原理原則をスムーズに理解ができる基本の一冊です。
>ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント
ノルマは逆効果(藤田 勝利 著 太田出版 2019年)
マネジメント理論を研究している藤田勝利氏が、営業組織にも当てはまる書籍がこちらです。多くの営業組織が持っているノルマ。
しかし、それは本当に必要なものなのでしょうか。今までの常識を覆し、営業組織に新しい風を吹き込む一冊です。ノルマに関わるマインドセットも営業パーソンの成果を揺るがす1つの要因です。是非ご一読を。
>ノルマは逆効果
まとめ
いかがでしたでしょうか。
営業担当者・マネージャーに身につけてほしいマインドセットですが、ご参考になりましたでしょうか。営業は、時として精神的に辛かったり落ち込んだりするときもあるはずです。お客様に叱られることもあるかと思います。
しかし、ずっと落ち込んだままではその先に進むことはできません。
マインドセットについて学び、ご自身の営業の現場で活用してみてはいかがでしょうか?
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松下 慶子
株式会社アルヴァスデザイン・マーケティング担当。
大学卒業後、大手電機メーカーでシステム営業を経験。
2014年よりアルヴァスデザインへ参画。
旅と犬をこよなく愛する1児の母。