営業
2021.04.14

これからの時代に求められる営業スタイルとは?インサイトセールス著者インタビュー付

こんにちは。石井です。

今回は、コロナ禍で求められる営業スタイルについて考えてみます。

今までも時代とともに、営業スタイルは変化してきましたが、コロナウイルスのパンデミックによる営業スタイルの変化はとても大きなものです。

具体的には、訪問営業の機会が激減して、非対面営業が主流になってきました。このような営業スタイルの変化は、時代とともに起きています。本記事ではそれらを振り返りつつ、これからの時代に生き抜く営業スタイルをご紹介していきます。

営業のスタイルとは

そもそも営業スタイルとは、どのようなものでしょうか。営業スタイルは、大きく2つの観点に分けることができます。

1つめは、営業担当者の資質・人柄による営業の特徴という観点です。

例えば、皆さんは、「ご自身の営業スタイルはどのようなものですか?」と質問された際に、どのようにお答えするでしょうか。

「ガツガツしたアプローチを繰り返す肉食系営業?」や「お客様の懐に入り込む人柄の良い営業?」などの回答がでてきたとしたら、営業担当者に着目した営業スタイルと言えます。

つまり、100名の営業担当者がいたら、100通りの答えが出てくるのです。

2つめは、営業手法という観点です。

1つめの観点にくらべもう少し大きな概念と言えます。営業をどのような手法で行っているかに着目し営業スタイルを切り分けます。

今回のコラムでお伝えする営業スタイルは、2つめの観点から各時代において活躍した代表的な営業手法に焦点をあて時代の変遷を振り返り、これからの時代を生き抜く営業スタイルを考えていきます。

営業スタイルの変遷

日本のマーケットにおいて、営業スタイルは時代とともに変化してきました。

コロナウイルスのパンデミックによって、営業スタイルが大きく変化したように、過去にもそのような変化があったわけです。過去の営業スタイルの変遷を見ていくと、未来の営業スタイルを探るヒントがつかめます。

物売り営業

戦後の市場では、「物売り営業」というスタイルが一般的でした。戦後は、闇市というものが存在し、多くの粗悪品が出回りました。

今では考えられないかもしれませんが、お客様が商品を買うときに一番気を付けることは、「その商品が本物か偽物か」を区別することだったのです。こういった時代背景から、本物を売るという今考えればごく一般的な営業スタイルが、お客様から信頼を集めたのです。

個人力営業

バブルの時代に絶頂をむかえたのが、個人力を活かす営業スタイルです。バブルの時代には、営業担当者は接待ゴルフ、接待飲食を繰り返し行いました。

これらの積み重ねによりお客様から信頼を集め、最終的には商品を買っていただくという流れだったのです。

ソリューションセールス

バブルが崩壊した後、営業スタイルはソリューションセールスへと移ります。

ソリューションセールスは、よく聞く営業スタイルだと思います。具体的には、お客様から課題を聞き出し、それに対して最適なソリューションを提案するというがソリューションセールスです。

この営業スタイルを、多くの会社や優秀な営業担当者が取り入れ、実践してきました。しかし、ソリューションセールスをしても、どうしても競合との争いになり、条件競争や価格競争に巻き込まれてしまうという現実が増えてきています。

インサイトセールス

ソリューションセールスの次に出てきた営業スタイルが、インサイトセールスです。インサイトセールスとは、お客様の理念やビジョンを聞き出し、それを実現するための支援をするという営業スタイルです。

ソリューションセールスがお客様の課題解決に注力するのに対して、インサイトセールスはお客様の「未来のありたい姿」の実現支援にフォーカスしています。

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インサイトセールス(著者インタビュー)

今回、「実践!インサイトセールス!(2017年 プレジデント社)」の著者である高橋研(本メディアを運営する株式会社アルヴァスデザイン代表取締役)にインタビューを行いました。

インサイトセールスへの理解度向上と、実践でのお役立ち情報もありますので、ぜひご一読ください。

Q.インサイトセールスとは何ですか?

A.経営者の理念やビジョンの実現をご支援する営業スタイルです。この営業スタイルは、米国で生まれ、2014年にハーバードビジネスレビューに掲載されたことで日本でも話題を集めるようになりました。

Q.ソリューションセールスとインサイトセールスの違いは?

A.ソリューションセールスは、現在の課題をいかに解決するかにフォーカスされています。「御社には、○○の課題があります。なので、これを△△を導入して解決しましょう。」というのが一般的な提案のセオリーです。

一方、インサイトセールスは未来に向けたありたい姿の実現にフォーカスしています。「御社の目指したいところは○○ですね。では、その実現をするために△△を導入して一緒に頑張りましょう。」というのが提案の流れです。

場合によっては、提案する商品やサービス自体は、ソリューションセールスであってもインサイトセールスであっても同じになります。しかし、前者は現在の課題に目を向けているのに対して、後者は未来のありたい姿に着眼しています。

Q.インサイトセールスの面白さとは何でしょうか?

A.経営者の理念やビジョンを叶える仕事ができるということ自体に、心から喜びを感じます。営業は良くも悪くも、数字を求められる仕事だと思います。私も会社員時代は、「売上を出すことが営業の価値だ。」と思い込んでいた時期がありました。

ただ、インサイトセールスを知ってから考え方が180度変わりました。「営業とは、お客様のありたい姿を実現できる、社会にとっても大きな仕事なのだ。」と思えるようになりました。

Q.インサイトセールスの事例があれば教えてください。

A.私が心に残っている一つの事例は、私がまだ前職にいた10年前くらいの話です。

私は、とあるトラックメーカーA社を担当していました。その日、私は取締役の方へ営業研修の提案で訪問していました。提案内容は、A社の営業課題に対してその解決策を提示するというものでした。これが、いわゆる「ソリューション営業」です。

その提案は無事に終わったのですが、終わり際に経営ビジョンに関する質問を投げかけました。私自身、特に意図しなかった質問だったのですが、この質問で場の雰囲気が一気に変わったのです。

提案の時と比べて対話が盛り上がり、取締役と私の間で数えきれないくらいのアイデアが生まれたのです。そして、出てきたアイデアを資料にまとめて取締役に送りました。

数日後、取締役から私に電話が来ました。多分、私が提案した内容のことだろうなと思っていました。しかし、取締役は、「高橋くんが作成してくれた資料、そのまま今度の株主総会で使っていい?」とおっしゃったのです。

結局、提案した内容も無事受注できたわけですが、これをきっかけに取締役との仲は急速に深まりました。インサイトセールスの威力を感じた一つの事例です。

Q.インサイトセールスを導入するにはどのように進めるとよいでしょうか?

A.前提としては、私はソリューションセールスをなくすべきだとは思っていません。ただ、ソリューションセールスだけで太刀打ちできなくなった案件があった際に、インサイトセールスという引き出しを持っておくととても効果的だと思っています。

そういった意味で、まずは欲張らずに少人数のチームからインサイトセールスを浸透すると良いです。1つの成功事例が社内でできると、それを社内で展開するだけでも大きな波及が見込めます。

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営業スタイルの分類とは?(付録)

業種や業態に応じて、様々な営業の分類があります。今回は、付録としてよくある営業の分類をご紹介します。

分類1

インバウンドセールス

インバウンドセールスとは、お客様から企業側に問い合わせをすることから始まる営業スタイルです。

インバウンドセールスのメリットとしては、そこそこ購買意欲が高いお客様から問い合わせがくるため、営業として商品やサービスを販売しやすいことです。一方、デメリットとしては、マーケティングの負荷がかなり高いということです。

なぜならば、マーケティングがしっかりとした商品やサービスのブランディングができていない場合、そもそもお客様から問い合わせがこない可能性が高いからです。

アウトバウンドセールス

アウトバウンドセールスとは、企業側からお客様に対して働きかける営業スタイルのことです。

具体的には、テレアポや飛び込み営業などの営業のことを指します。アウトバウンドセールスのメリットとしては、自分たちで営業をしたいと思うお客様を事前に選べることです。

一方、デメリットとしては、営業としての負荷がかなり高いということです。なぜならば、アウトバウンドセールスは商品やサービスにまだ興味がない状態のお客様に対して営業することが多いからです。

分類2

インサイドセールス

昨今、急激に増えつつあるのがインサイドセールスというものです。従来型の営業は、お客様の元に訪問することが一般的でした。

しかし、インサイドセールスは、その名の通りお客様先には訪問しない営業です。具体的な業務としては、新規のお客様へのアポイントの取得や既存のお客様へのセミナーのご紹介などをしています。

フィールドセールス

営業がお客様先に訪問して商談を行うのが、フィールドセールスです。昨今では、インサイドセールスが取得したアポイントに、フィールドセールスが商談として参加するという分業も増えてきました。

分類3

新規開拓セールス

文字通り、新規開拓を専門に行う営業です。一般的に、新規開拓は難易度が高く、新規の受注をするまでに長い期間を要することも多いです。そのため、多くの会社では優秀な営業担当者が、新規開拓として配属されるケースが多いです。

また、新規開拓には性格的な向き不向きもあります。既存顧客のルートセールスと比べて、お客様から断られるケースも格段に多いため、精神的なタフさも求められます。

既存顧客のルートセールス

既にお取引のあるお客様を専門に担当する営業です。具体的には、現状の取引の維持拡大と、他部門に紹介をもらい新しい案件を作ることが求められます。

新規開拓セールスと比べて、長い時間をかけてじっくり信頼関係をお客様と構築する営業が求められます。

分類4

コロナウイルスのパンデミックによって、対面営業から非対面営業へと大きな変化が見られました。お客様先に訪問する場合やお客様にご来社いただき、対面で商談を行うことが一般的でした。

しかし、コロナウイルスのパンデミックによって、対面でのコミュニケーションをなくす動きが増えてきています。

対面営業

お客様先に営業担当者が訪問する、いわゆる訪問営業のことを指します。コロナウイルスのパンデミック以前は、この営業が主流で、「営業は足で稼ぐ」という言葉があるほど一般的でした。

今でも、お客様の経営層と商談をする際や、商品紹介をする際などは、対面営業が行われる場合もあります。

非対面営業

主にウェブ会議システムを通して、商談が実施されます。コロナウイルスのパンデミック以前は、主流ではなかった非対面営業ですが、現在多くの会社が取り入れています。

今までは対面営業が中心であったため、遠方のお客様への営業活動は物理的な距離が影響して、なかなか営業活動をすることができない場合がありました。

しかし、非対面営業が主流になったいま、遠方のお客様への営業活動にも貢献しています。
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まとめ

いかがでしたでしょうか。

営業スタイルに関して、お役立ちできる情報はございましたでしょうか。本文にも記載しましたが、時代とともに営業スタイルは変化してきています。

2020年に世界的に萬栄したコロナウイルスは、まさに営業スタイルに変化が起こる転換期とも言えそうです。

これを機に、自らの営業スタイルを見直すことはもちろんのこと、新しい営業スタイルを自ら構築していくことも必要となるでしょう。

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