【営業研修会社が監修】人材育成の手法を徹底解説~ラーニング手法11選付き~
目次
こんにちは。松下です。
本日は「人材育成」について見ていきます。
「人材育成」と一口にいってもその手法は多岐にわたります。世の中には、一体どのような手法が存在するのでしょうか。
本記事では、営業人材育成支援を手掛ける株式会社アルヴァスデザインが、人材育成の手法について徹底解説いたします。これまでに営業人材を育成する過程で培った経験をもとに纏めた内容です。
皆さま企業の貴重なリソースである人材をさらにパワーアップさせ、企業価値を上げ続けるためにも、人材育成は欠かせません。本記事での手法をおさらいし、皆さまの育成現場に役立てて頂ければと思います。
人材育成とは何か?
人材育成とは何でしょうか?辞書で調べてみると「将来のために、有用な人物、専門的な知識を持った人物を育てること。」(出典:デジタル大辞泉)
また、ブリタニカ国際大百科事典によるともう少し詳細に解説があります。
「長期的視野に立って現実に企業に貢献できる人材を育成すること。 単に教育、訓練といった狭義の活動ではなく、主体性、自立性をもった人間としての一般的能力の向上をはかることに重点をおき、企業の業績向上と従業員の個人的能力の発揮との統合を目指す。」とあります。
上記を踏まえると、「将来的な企業業績向上と個人能力の発揮のために、人物を育てること」ということと言そうです。
人材育成のメリットとは?
企業が人材育成をすると具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
前章の「人材育成」の定義の中でもふれましたが、人材育成は「長期的な目線で企業の業績向上のため」に行われます。そのため、「企業の業績向上」に繋がるということが一番のメリットです。
新しい人材が企業に入り、その人材がスキルを身につけることで、売上に貢献するようになります。また、企業内の社員同士が触発しあい、新たな価値を創造することもあるかもしれません。すると企業の業績・そして企業価値の向上にもつながるのです。
ではこの人材育成ですが、どのような手法があるのでしょうか。次章以降で詳しく見ていきます。
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人材育成には大きく分けて3つの手法があります。「OFF-JT型」「OJT型」「自己啓発」の3つです。それぞれ具体的に見ていきましょう。
1.OFF-JT型
OFF JT(オフジェーティ)とは、「Off-The-Job Training」の略称です。実務の現場を一時的に離れた所で学習機会を設ける事を指します。いくつかの方法がありますのでご紹介します。
1-1. 集合型研修
1-1-1. 対面方式
同じ会場に対面で集合して行う研修方式です。
OFF-JT型の人材育成の方法の代表格です。同じ階層・同じ職種・同じ課題感など何かしらの同じカテゴリーに当てはまるメンバーと、物理的に同じ場所で一同に学びます。
比較的、臨場感を醸成しやすいスタイルです。特に、コロナ禍においては激減したスタイルです。
1-1-2. オンライン方式
オンライン上で研修を行う方式です。
対面で集合することなく、オンラインを活用して実施します。様々な場所にいながらも研修が実施可能であることがメリットですが、場の臨場感は醸成しにくく、逆に自身で内省を行うのに適しています。コロナ禍において、非常に実施の増えた方式です。
1-2. イーラーニング
イーラーニングの提供もOFF-JT型の育成方式の一つです。
Web画面上で学びが完結するスタイルです。スライドや動画を用いた解説を行う内容が多いです。適宜テストなどを用い、理解度をはかる事も可能です。集合型研修とはことなり、時間場所を選ばず、個別対応が可能です。
1-3. 公開セミナー
社外で別企業が主催するセミナー(ウェビナー)の受講機会を提供するというのもOFF-JT型の育成方法の一つです。
自社内には無い新たな視点を与えたい、最新の情報にふれさせたい、などのニーズが叶います。また、その情報を社内に還元する事で、新たな知識共有が可能です。また、セミナーのスタイルによっては、別企業の人材との繋がりができることも特徴の一つです。
2.OJT型
OJT(オージェ―ティ)とは、「On the Job Training」の頭文字をとった略称です。
上司や先輩が、部下や後輩に対して、実務を通じて業務知識や技術を身につけさせるべく指導を行うスタイルの育成方法を指します。OJTで良く用いられる手法についてご紹介します。
2-1. 同行・同席
営業職の現場などでよくみられるのが「同行営業」をはじめとする同行です。また、会議などに「同席」をするというやり方もあります。実際の現場で、どんなやり取りが行われているのかを、リアルに体感しながら学ぶことが可能なスタイルです。
2-2. ロールプレイング
営業職やテレアポなどの職種の方々に多用される方法が「ロールプレイング」です。お客様対応をする前に、試しに実演してみるという方法です。本番前に改善ポイントを洗い出し、修正を図ることが可能であるため、頻繁に用いられます。
3.自己啓発
「自己啓発」とは、自分自身の意志で自身の能力を高め、自己が成長するために何らかの訓練を行う事を意味しています。会社や上位職者側から働きかけがあって学ぶOFF-JTやOJTとは異なり、自己啓発の場合にはあくまで「本人」が自発的に行います。
自己啓発の方法は多岐にわたりますが、代表的な3つをご紹介します。
3-1. 社会人大学
退勤後または、土日などを活用して社会人大学通う方法です。
あくまで業務とは離れたところで、学びを深め新たな知識やスキルを習得する方法です。同じコースの受講生と一緒に受講する中で、あらたな人脈が生まれることが特徴の一つです。
3-2. 通信教育
通信教育を受講することも自己啓発で良く用いられる方法です。大学の通学などとは違い、教材をベースに自身のペースで進められることが特徴です。
3-3. 書籍
書籍を読むことも自己啓発の一つです。業務に関連する書籍、全く違ったジャンルの書籍などさまざまな書籍にふれることで、統合的に教養が身につきます。
育成を効果的に行うための仕組み5選
1.メンター制
メンター制とは、マネージャーなどの上司とは別に、年次の近い先輩が相談・アドバイザー役としてメンターになるというものです。
OJTで上司・部下にクローズした育成を行うと、年次が離れている場合には特に、イメージがしにくいという問題や、気軽に相談が出来ないということが起こり得ます。メンターを用いると、気軽に相談ができるため、上司だけでは伝えきれない部分を保管する事が可能です。
2.ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、一定期間、意図的に別部門や別職種を経験させ、その中でスキルを習得するというものです。
自部門や同じ職種だけでは、味わえない経験を積むことができるため、会社全体を俯瞰的に見渡し、統合的にスキルを習得するという意味でも効果的な方法です。また、社内全体の活性化にもつながるため、多くの企業で取り入れられています。
3.評価制度
評価制度とは、人材の能力や貢献度などを評価する仕組みのことをさします。こちらも、人材育成を効果的に行う仕組みの一つです。
企業ごとに「評価制度」は様々ですが、「目標管理(MBO)」や「コンピテンシー評価」、「360度評価」などが代表的です。評価の仕組を用いることで、貢献度によって役職が上がったり、報酬が高くなったりするためモチベーション向上にもつながります。
4.階層別研修
階層別研修とは、「新人」や「若手」「中堅層」「マネジメント層」などの階層に分けて実施する研修のことです。
年次や階層ごとに区分けして研修を行うことで、その階層が陥りがちな課題をクリアする事が可能になります。多くの企業で取り入れられている仕組の一つです。
5.1 on 1 ミーティング
マネージャーが部下を育成する際によく用いられる手法が「1on 1ミーティング」です。
1対1で定期的にミーティングを実施するという方法です。マネージャーと部下の相互理解をはかり、目指したい姿を共有しながら育成を進める事ができる手法です。
効果的に1on1ミーティングを進める為にはコーチングのスキルが求められます。いずれにしても人材に合わせた個別対応が可能な為、多様化の時代にフィットした手法と言えます。
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人材育成の手法の内、学習の方法には様々な手法があります。
本章では、代表的な手法をご紹介します。これらの手法も織り交ぜながら人材育成の設計を行うとより効果を発揮しやすいため、是非、自社に合うスタイルを見つけて運用に活かして頂ければ幸いです。
①ブレンデッドラーニング
ブレンデッドラーニングとは、集合型研修とイーラーニングを組み合わせ、双方のメリットを活かした研修や学習の方法です。
例えば、研修の実施は集合型で行い、予習や復習などの部分をオンライン学習とする「補助モデル」と、研修の内、講義の部分をオンライン教材で代替し、講義以外の部分を集合研修でおこなう「教室代替えモデル」があります。
②アクションラーニング
アクションラーニングとは、チーム学習法の一つです。
具体的には、グループで組織内の現実の問題を対処し、解決先を立案・実施する際に用いられます。その過程で、行動しリフレクション(振り返り)を繰り返す中で、個人・組織の学習する力を醸成します。
具体的には、「問題に対する認識の共有」「目標の設定」「実施」「振り返り」の4ステップで進めます。その過程で、グループの中でそれぞれが学習するため、結果、変革を起こす機会を生み出すことが可能です。
③ソーシャルラーニング
ソーシャルラーニングとは、主にTwitterやFacebook、ブログ、YouTube、Wikipediaなどのソーシャルメディアを利用する学習手法です。ソーシャルラーニングは、参加者が相互に教え・学ぶことができることが特徴です。
また、デジタル環境の中で学ぶことが可能なため、場所などを気にせずに、参加が可能な一方で、参加ルールを定めることや、その場が活性化するための工夫が必要な手法でもあります。
④ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションとは、ゲームに使われている構造を、ゲームとは別の分野で応用することをさします。
人材育成現場でも、ゲーミフィケーションを用いて効果をあげることが可能です。ゲームの中でも主に使われる要素としては4つです。
- 明確な目標があること
- 課題とその報酬が明確であること
- 現状を可視化すること
- ユーザー間での交流があること。
これらの要素をべースに研修内でロールプレイングの学習設計を盛り込むなどし、学習効果を高める手法です。
⑤プロジェクトベースドラーニング
プロジェクトベースドラーニングとは、まさに、「現実の業務課題」などのテーマ(問題)に対して、グループで解決をしていくという学習方法です。
少人数のグループの中で、自律的に問題解決や意思決定をしていく必要があり、経験をしながら学ぶため、知識が定着しやすい方法です。
⑥反転学習
反転学習とは、学びのインプットとアウトプットの場を全く逆にするものです。
具体的には、「講義や授業」と呼ばれるようなものは、事前に各自で学び、実際の「研修現場」で行うのは、「演習」や「意見交換」をべースに行うというものです。
いわゆる「宿題」とされてきたものを「授業」でおこなうというところから反転という言葉が用いられています。事前の学習の促進がポイントになりますが、学習効率のよい手法として取り上げられています。
⑦アンラーニング
アンラーニングとは、「学習棄却」とも呼ばれる方法です。これまで学んできた知識、そして価値観や習慣を一度捨て去り、新しく学び直すことをさします。
学びの実施方法としては、2ステップあります。まずは、「自己評価」です。自身の保有する価値観を認識します。そして、次に、必要なものと不必要なものを「選択」します。
変化の激しい時代においては、固定概念を打破することで意識面での変革が起こるため、イノベーティブな発想を養うことができる手法です。
⑧マイクロラーニング
マイクロラーニングとは、短時間(1~5分程度)で学習を行う手法です。特に、イーラーニングの学習形態として有名です。
しかし、イーラーニングに限らず、集合研修の予習・復習の場や、OJTの振り返りの場などで取り入れることも可能です。学習者の集中力を持続させやすく、学習内容自体の作成や修正が容易に行えることが特徴です。
⑨アダプティブラーニング
アダプティブラーニングとは、適応学習とも呼ばれている通り、学習者一人一人の能力や習熟度に合わせて学習教材や学習方法を選択するという手法です。
個々のスキルのレベルや適性などに合わせて学習方法を変えることで、より各自にあった効果的なスキル習得が可能です。AIを活用して適切な学習を提供するなどの動きもみられています。
⑩ワークプレイスラーニング
ワークプレイスラーニングとは、「実務経験」と「研修・イーラーニング」などの座学を連携させることで、人材の能力向上を促す育成手法です。「働く現場における学習」ということで注目されています。
メンター制を用いたOJTとイーラーニングを組み合わせたり、実務で役に立つナレッジや情報を社内で共有したりすることで、現場での学習効果を高めることが可能です。これは、組織全体で取り組んでいく育成方法になります。
⑪ピアラーニング
ピアラーニングとは、学習者同士が互いに協力しながら学びあう学習手法のことです。講師が一方的に受講生に伝える形式とは異なり、受講生同士が対話を通して学習の過程を共有しながら学ぶことが可能な手法です。
また、講師–受講生の立ち位置ではなく、受講生一人一人が講師の役割を果たすため、自身の頭の中にある情報を相手が分かるように伝える力が養われること、また、柔軟な思考で新たな発想が生まれやすくなるという特徴もあります。
人材育成を行う上での大切な4Step
本章では、いざ人材育成を行おうとした際に大切になるポイントについてご紹介します。
細かな手法の選定の前にまず、何を意識しなければならないか?という上段の部分のお話になります。
Step1:人材のありたい姿を描く
自社の人材のありたい姿を描くことは非常に重要なポイントです。この「ありたい姿」無しには、具体的に育成施策を検討することが難しいです。まずは、理想像で構いません。自社のありたい人物像を確立させましょう。
どんな価値観・強み・行動指針をもった人物か、また実務でお客様にどのように思われたいか、また、具体的にはどのように立ち回れると望ましいかなど含めて詳細に検討しましょう。
自社内部だけで検討が難しい場合には、外部の営業やコンサルタントの力を借りるのも一案です。
Step2:現状を確認する
現状の人材育成について確認しましょう、人材育成がどのように行われていて、どのような結果であるかについてフラットな目線で見てみましょう。
私情はなるだけ挟まずに、事実を洗い出すことが大切です。「○○研修を行った。」「研修後の社員の行動変化がみられた。」といった具合です。
また、現在の業績はどうか?退職者は増えているか?うまく行っているチームはどのチームか?など、いくつもの問いから現状を把握していきましょう。
社内アンケートや社員へのヒアリングなどの実施も現状確認において非常に役立ちます。
Step3:ギャップを認識する
ありたい姿を描き、現状を確認したら、次は「ギャップ」を認識しましょう。
ありたい姿と現状の間には、どれほどの開きがあるでしょうか?それぞれをついにして書き出してみると分かりやすいです。また、それぞれの項目について、差の開きを点数で表現してみるのも一つの手です。
重要度や優先したい事柄はどれか、なども整理していくと良いでしょう。
Step4:ギャップを埋めるためにやるべきことを決める
ありたい姿と現状のギャップを認識したら、今度はギャップを埋めるために何をやるか?について検討します。
Step3で差が著しいもの、重要度の高いもの、優先順位が高いものなど分類分けした内容をもとに、まずやるべきことは何か?を考えていきます。そして、具体的な人材育成の施策に落としていきます。
具体的には、いつまでにどのような人材を育成するのか、ロードマップを描くことが大切です。一足飛びにありたい姿まで到達するのは、至難の業です。そのため、いくつかのステップに区切って、育成計画を練ると良いでしょう。
育成計画に落とす際には、部下メンバー自身が心底やりたいと思えているかをしっかりと確認しましょう。育成計画において、一番の失敗は「計画を立てることがゴールになり、以降の行動に変化が生まれないこと」です。
そのため、しっかりと行動に影響がある育成計画になっているかを確認しましょう。そのためには、部下メンバーがやりたいと思える内容になっているかを確かめることが一番です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人材育成の手法について見てきました。育成の手法を取り上げるだけでなく、効果的に行うためのポイントもお伝えしました。
多様化が進む時代において、企業価値を上げていくためにも人材の育成は欠かせません。
是非、本記事に取り上げた手法を組み合わせて、皆さま企業の人材育成にお役立ていただければ幸いです。
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松下 慶子
株式会社アルヴァスデザイン・マーケティング担当。
大学卒業後、大手電機メーカーでシステム営業を経験。
2014年よりアルヴァスデザインへ参画。
旅と犬をこよなく愛する1児の母。