営業
2021.07.14

第八回:アポイントメントの取り方 ~ いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年3月9日掲載記事)

こんにちは。高橋です。

全12回にわたり、輸送経済新聞の「まなびカフェ」に連載された「いま、生き残るための営業術」に加筆修正を加えた特別版を公開しており、本日は第8回目です。

前回は、経営層との対話機会が持てない理由をアンケート結果から考えました。多くの営業担当者は、お客様の経営層と対話した経験が乏しく、どのような対話をすれば良いのかわからない…という不安を抱えています。
その不安があるため、なかなかアポイントメントを取得しようと思えないのです。
そういった営業担当者に対して、どのような対話法を身につければ良いのかということを、解説いたしました。

今回は、「お客様の経営層とのアポイントメントの取り方」になります。
アポイントメントを取得しようとする際に、「ご挨拶であれば、結構ですよ。お互い忙しいので。」と断られたご経験はありませんか?

お客様の経営層にご挨拶を兼ねて打ち合わせの場を設定すること自体を否定するわけではありませんが、実際には「ご挨拶」という名目でアポイントメントを取得するというのは、なかなか難しい現状があります。

では、どのようにアポイントメントを取得していけば良いのでしょうか。

アポイントメントを取得するための心構え

まず、経営層とアポイントメントを取得する際の心構えについてお伝えします。

大切なことは、「ご挨拶自体に価値がある」という考え方を改めて、アポイントメントの目的を「ご挨拶」の他に作ることです。

「ご挨拶」に頼らない

お客様の経営層となかなかアポイントメントを取得できない営業担当者の多くは、「ご挨拶」という言葉をよく使います。その他にも、「ぜひ、一度お目にかかれればと…。」や「表敬訪問をかねまして…。」といったフレーズもよく使われています。

もちろん、お客様の経営層とご挨拶をすることは、ビジネスを円滑に進めるためには大切です。ただし、お客様と十分に関係構築ができている場合は別として、まだ深い関係構築ができていないお客様に対しては、なかなか「ご挨拶」をテーマにアポイントメントを取得することは難しいです。

表敬訪問や年末年始も例外ではない

「ご挨拶」を目的としたアポイントメントの取得が難しいというのは、表敬訪問や年末年始も例外ではありません。

以前までは、受注した数か月後に表敬訪問をよく行いました。年末年始と言えば自社の役員を連れて、お得意先にご挨拶まわりをしました。

しかし、現在はコロナウイルスの影響もあり、表敬訪問や年末年始のご挨拶であってもなかなかアポイントメントは取得できないのです。

アポイントメントの目的を明確にする

では、どのような「目的」でお客様の経営層とアポイントメントを取得すれば良いのでしょうか。
画一的な正解はありませんが、私が実践していることをご紹介します。

私は、お客様の経営層とアポイントメントを取得するタイミングは、「提案をする前段階」が良いと考えています。なぜならば、提案をした後に「経営層の鶴の一声」により、簡単に提案内容が覆ることがあるからです。

このような事態が発生することは、営業である私たちにとっても、お客様の担当者にとっても良い話ではありません。なぜならば、提案の内容を再度一から考え直さなければならないからです。

こういった事態を避けるためにも、私は、「御社の経営層の方の今後の方針を正確にお伺いし、ブレのないかたちで提案をさせていただければと考えております。」といったように、お客様にお伝えしています。ア

ポイントメントの目的は、「ブレのない提案をするため」ということになります。もちろん、画一的な正解はありませんが、ぜひお試しください。

アポイントメント取得の確率を高める3つのステップ

実際にお客様にアポイントメントの目的を伝えても、なかなかアポイントメントが取得できない場合があります。

その際には、以下の3つのステップを意識してみましょう。

ステップ1:商談内容について伝える

商談の内容は、先ほどのアポイントメントの目的と表裏一体です。
こちらを、正確に伝えるようにしましょう。お客様の担当者が、「では、経営層に聞いてみます。」とおっしゃった場合は、「○○という目的で、ぜひ面談の機会をください、とお申し付けください。」というところまで伝えてみましょう。

ステップ2:他社との違いについて伝える

ほとんどの業界では、複数の競合他社が存在します。
そのため、営業は、競合優位性は何かということをお客様にしっかりと提示しなければなりません。なぜならば、多くの業界で商品やサービスがコモディティー化してきているからです。

競合他社にできなくて、私たちの会社にできることは何かをしっかり考え抜き、お客様に伝えましょう。

ステップ3:商談のタイミングについて伝える

お客様の経営層はとにかく忙しい日々を送っています。そのため、「面談は、またお互いの手が空いた時に…。」というかたちで、先延ばしにされてしまう可能性もあります。
もし、お客様から、「また来年度とかで、時期がきたら、こちらから連絡するようにしますね。」といった言葉をいただいたら、「いますぐにでも商談をする価値」を提示しましょう。

その他アポイント取得における切り返しトーク集が欲しい方はお問合せ下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、お客様の経営層とどのようにアポイントメントを取得するのかということを解説しました。

アポイントメントの目的が「ご挨拶」である以上、なかなかアポイントメント取得率があがらないことや、どのような目的を設定すれば良いのかが明確になったと思います。

また、アポイントメントを取得するために必要な3つのステップもご紹介しました。こちらは、お客様の経営層とのアポイントメント以外にも応用可能ですので、ぜひお試しください。

次回は、「顧客開拓のポイント」と題して、どのようなお客様をターゲットとすれば良いのかについて考えます。

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この記事を書いた人

高橋 研

株式会社アルヴァスデザイン 代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。

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