営業
2021.06.13

ソリューション営業はもう古い?インサイトセールスの著者が語るこれからの営業スタイルとは?

こんにちは。石井です。

今回は、営業のスタイルについて考えてみます。

コロナウイルスのパンデミックにより、私たちの営業スタイルは対面営業からオンライン営業へと大きくシフトしました。このように、営業のスタイルとは時代とともに変化してきています。

本コラムでは、これまでの営業の歴史を振り返り、これからも生き残る営業スタイルについて考えていきます。最新の営業手法であるインサイトセールスについては、2018年にプレジデント社より出版された「実践!インサイトセールス」の著者である高橋研氏のインタビューも掲載しています。

営業スタイルの概要

早速ですが、営業スタイルとは、そもそもどういったものでしょうか。本コラムでは、営業スタイルを2つに分けて考えていきます。

1つ目は、営業担当者それぞれが持っている能力やマインドによって形成されるものです。皆さんの周りにも、「この人はプレゼンの能力が高い」「飛び込み営業で、お客様のハートをつかむのが早い」といったように、特徴をもった営業担当者がいるはずです。

このように、一人ひとりの違った強みや特徴のことを、営業スタイルと呼ぶことがあります。

2つ目は、どちらかというと営業手法に近い考え方です。1つ目の一人ひとりの強みや特徴よりも、少し大きな概念です。例えば、コロナウイルスのパンデミックにより、「対面営業」から「オンライン営業」へと営業手法はシフトしました。

この営業手法のことも「営業スタイル」と呼ぶことがあります。

本コラムでは、2つ目の営業手法に近い考え方に焦点を当てて考えていきます。

営業スタイルの歴史

まず、営業の歴史について考えてみます。

コロナウイルスのパンデミックによって、私たち営業の多くが対面営業からオンライン営業へと切り替わったように、これまでにも営業は時代と共に変化してきました。

これらの歴史を振り返り、これから生き残る営業スタイルを考察してみましょう。

商品提案型営業(プロダクト営業)

この営業スタイルは、「物売り営業」とも呼ばれます。戦後の日本において、主流の営業スタイルでした。

戦後の日本は、多くの粗悪品が出回り、ニセモノではなくホンモノを見つけることが大変でした。その時代に活躍したのが商品提案型の営業です。

今では想像できないかもしれませんが、お客様が商品を買うときに一番に考えたことが、「この商品は、ニセモノか?ホンモノか?」ということだったのです。

このような時代背景より、ホンモノを売る営業が信頼され、お客様から求められたのです。

御用解決型営業

この営業スタイルは、「個人力営業」とも呼ばれています。バブル期の日本で活躍した営業スタイルです。

この時代は、接待飲食や接待ゴルフが盛んでした。営業担当者は、このような接待を繰り返して、お客様から信頼を積み重ねることで商品を受注するという手法を取っていました。

バブル期は、使えるお金がたくさんあったため、このような営業スタイルが定着したわけです。

課題解決型営業

この営業スタイルは、「ソリューション営業」や「ソリューションセールス」とも呼ばれています。

バブル期が終わった後、多くの営業担当者は、この営業スタイルをとっていました。課題解決型営業とは、お客様から課題を聞き出して、それを解決するソリューションを提案する営業スタイルのことです。多くの優秀な営業担当者がこの営業スタイルを習得し、活躍しました。

しかし、近年、課題解決型営業だけでは、どうしても競合と「価格競争」や「条件競争」になってしまうということがあがってきました。なぜならば、課題解決型営業の基本は論理思考にあり、論理思考とはだれが考えても同じようなソリューション案が出てくるからです。

インサイトセールス(インサイト営業)

課題解決型営業の次に出てきた営業スタイルが、「インサイトセールス」というものです。インサイトセールスとは、お客様の理念・ビジョンを実現支援するための営業スタイルです。

課題解決型営業は、お客様の現在から過去にかけての課題を探りソリューションを提案するのに対して、インサイトセールスは現在から未来にかけてのありたい姿の実現に焦点を当てています。

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著者インタビュー!インサイトセールスの可能性

前章では、課題解決型営業の次にでてきた最新の営業スタイルとして「インサイトセールス」を紹介しました。そこで、今回は、インサイトセールスについて理解を深めるべく、「実践!インサイトセールス(2018年 プレジデント社)」の著者である高橋研氏にインタビューを行いました。

「インサイトセールスとは何か?」というところから、「なぜインサイトセールスがこれからの時代に生き残っていけるのか?」というところまで詳しく述べています。

Q.簡単に自己紹介をお願いします。

A.株式会社アルヴァスデザインの代表取締役CVOの高橋研と申します。

弊社は、「営業する/されるが楽しい世の中の実現」をビジョンに掲げて、大手企業を中心に様々なお客様の営業人材の支援を行っています。

私は、30歳で初めて営業をはじめ、たくさんの営業スタイルを実践してきました。その中で、私が行きついた「インサイトセールス」という営業スタイルについて、本日お話できればと思います。

Q.インサイトセールスとは何ですか?

A.お客様の経営理念やビジョンの実現をご支援する営業スタイルです。
この営業スタイル自体は、私が考えたものではなく、米国で生まれたものと聞いています。

ちょうど2014年にハーバードビジネスレビューで、「インサイトセールス」が特集され、日本でも注目されるようになりました。私は、その当時からすぐにインサイトセールスを実践しています。

Q.課題解決型営業との違いは何ですか?

A.課題解決型営業は、現在から過去にさかのぼり課題を抽出して、それの解決策を考えて提案する営業スタイルです。私も過去に実践してきました。

しかし、課題解決型営業はロジックをベースにしているため、提案内容が他社ベンダーと似てしまう…というデメリットがあります。もちろん、課題解決型営業の良さもあります。

インサイトセールスとは、現在から未来に視点を当てています。お客様の経営理念やビジョンを実現するためにどのようにすれば良いのかというアイデアを、お客様と一緒に考えて未来を創っていく営業スタイルです。

課題解決型営業では、ロジックが求められますが、インサイトセールスでは、クリエイティブな思考が求められるとも言えます。

Q.ずばり、インサイトセールスの何が楽しいですか?

A.インサイトセールスをしていると、お客様経営層も気付いていなかったことに気付いたり、考えもつかなかったアイデアが商談の中で生まれたりすることがよくあります。そういったときは、私もとてもワクワクします。

インサイトセールスはあくまで未来に焦点を当てているので、とてもクリエイティブですし、アイデアは無限に存在します。そういったものを、お客様と共に創造するというプロセスがとても楽しいです。

私は、このインサイトセールスに出会ってから、「営業は数字をあげてなんぼだ」という考えは全く持たなくなりました。「営業が数字を出す」ことは大切ですが、「営業は、お客様の未来をいかに一緒に創造できるか」というクリエイティブな仕事だなと思えましたので…。

そして、インサイトセールスを実践していると、どちらかというと数字は後でついてくるという形になりました。

Q.インサイトセールスの事例を教えてください。

A.すごく昔の話なのですが、10年ほど前のことです。

私が某トラックメーカーの営業担当をしていました。そのとき、いつも通りお客様の取締役に提案をしました。この提案は、いわゆる課題解決型営業にそった提案です。

無事に提案が終わった後、私が何気なく「経営ビジョン」に関する質問を投げかけました。すると、場の空気が先ほどの提案の時は打って変わって、次々にワクワクするアイデアが生まれてきたのです。

私はそのときに出たアイデアを資料にまとめて取締役に送りました。

終日後、取締役からお電話をいただきました。その内容は、私が提案した内容についてだと思ったのですが、取締役から「この前作成してくれた資料、そのまま今度の株主総会で使用していいか?」とおっしゃっていただいたのです。これを機に、取締役と私の関係は深まりました。

これ以降の提案では、「経営ビジョンを実現するために、今回の提案があります。」というように、大きな筋を通した提案ができたのです。これが私のインサイトセールスの原体験であり、印象的な事例です。

Q.インサイトセールスを導入するには、何をすれば良いでしょうか?

A.課題解決型営業も素晴らしい営業スタイルですので、まずはインサイトセールスの引き出しを増やすという感覚で、学んでいただければ良いと思います。

インサイトセールスを営業組織に定着させたい場合でも、特定の営業チームから実践をスタートさせて、それを社内に展開していくという順序が良いと思います。

そして、ぜひ私の書籍「実践!インサイトセールス」もご一読ください。ご連絡をいただければ、著者割引も効きますので。笑

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営業スタイルの分類6つ

最後に、第一章でご紹介した営業スタイルとは別によくある営業スタイルの分類を6つ分けてご紹介します。

1. 新規営業or既存営業

新規営業とは?

自社と一度も取引をしたことのない企業に営業担当者がアプローチをする営業スタイルのことです。

新規営業は断られることが大変多いため、折れないメンタルの強さが必要です。常に、ポジティブに行動をし続けられる営業担当者が向いています。

既存営業とは?

すでに自社と取引のある企業に対して営業担当者がアプローチをする営業スタイルのことです。お客様と長く信頼関係を構築するための気配りやサポート上手な営業担当者が向いています。

2.インバウンドorアウトバウンド

インバウンドセールスとは?

お客様から企業側に対して、問い合わせをするところから始まるのがこの営業スタイルです。ある程度購買意欲のあるお客様が集まります。そのため、受注率もそれなりに高い数値になります。

アウトバウンドセールスとは?

営業担当者からお客様に対して、アプローチをする営業スタイルのことです。購買意欲が全くないお客様も多く存在するため、高度な営業力が求められます。

3. インサイドセールスかフィールドセールスか

インサイドセールスとは?

直接お客様先には訪問せず、新規のお客様のアポイントメントと取得したり、既存のお客様のフォローを社内から実施したりする営業スタイルのことです。

フィールドセールスとは?

直接お客様先に訪問する対面か、オンラインで商談を行います。

昨今では、インサイドセールスがお客様とのアポイントメントを取得して、フィールドセールスが商談を行うという分業をしている会社も増えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は営業スタイルについて考えてみました。コロナウイルスのパンデミックによって、私たちの営業スタイルが大きく変化したように、これまでも営業スタイルは変化してきました。

これまでの歴史を振り返り、これから生き抜く営業スタイルについて考えることは、私たち営業が今後活躍し続けるためには大切です。

現在、インサイトセールスという営業スタイルを実施する会社の取り組みも増えています。

コロナウイルスのパンデミックによって、希少価値が高くなった対面商談を、さらに価値の高いものにするため、インサイトセールスをチェックしてみることをオススメします。

インサイトセールスを身につけると、お客様の経営層から理念やビジョンを引き出し、それを実現するための提案をすることが可能です。これからを生き抜く営業には、必須の営業手法と言えます。

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