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2025.05.16

AIで営業がなくなる!?生成AIを活用して営業実績を上げる方法

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AIで営業がなくなる!?生成AIを活用して営業実績を上げる方法

ChatGPTなどの生成AIが進化している昨今、営業の分野でも「AIによって営業職が不要になるのでは?」という危機感を抱いている方も多いのではないでしょうか?

今回は、AIが営業職にどのように影響を与えるのか、そして営業にAIを活用して実績を上げる方法について考察します。

AIが進化しても営業がなくならない4つの理由

最近のAIの進化は著しいものがあり、一部の事務作業やWebサービスなどでは人の手による作業がなくなり、代わりにAIが業務をこなすケースが見られるようになりました。

しかし、AIが進化しても営業の分野はなくなりません。たしかに、営業に付随するいくつかの作業はAIによって効率化されますが、以下4つの理由を考えると「営業は人がいないと成立しない」と言えます。

【AIが進化しても営業がなくならない4つの理由】

  1. 本質的な課題解決には人間の営業力が必要
  2. お客様の感動や共感を得るには人の感情が必要
  3. 営業提案から成約に至るまでには戦略的思考が重要
  4. AIは緊急時の対応ができない

方法1. 本質的な課題解決には人間の営業力が必要

複雑なビジネス問題に直面したとき、AIには限界があります。特に**「本質的な課題を見つけて提案する」といった場面では、人間の営業力が欠かせません。**

例えば、製造現場などで「生産効率が悪いので新しい設備を導入したい」といったニーズがある場合、AIだと「製造ラインの効率性や設備の不具合だけが課題」と認識するかもしれません。

しかし、人間が俯瞰的に状況を見れば、生産ライン以外にも「管理システムの不具合」や「組織的な課題」などAIが発見できなかった本質的な課題を見つけられることがあります。本質的な課題の解決提案をすることで、さらなる売上アップが望める点も人が行う営業ならではのメリットといえます。

新規開拓の商談のような創造的な対話では、個々の状況に応じた即興的な対応力が不可欠です。特に未来の業界変化を予測した先回りの提案や、顧客と共に新しいビジネスモデルを創出するような営業スタイルは、AIでは代替できない人間ならではの強みです。技術変化が加速する現代においては、過去データに依存しないイノベーティブな提案ができる人間の営業担当者の価値はむしろ高まっていくでしょう。

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方法2. お客様の感動や共感を得るには人の感情が必要

営業実績を上げるには、お客様の感動や共感を得ることが必要で、これらの感情を生み出すのはAIにはできないことです。

継続して同じ会社から購入し続ける、あるいは、アップセルやクロスセルを成功させるためには「人の感情」が欠かせません。AIでも一定レベルの提案や受注はできますが、その行動には感情がないため、何かトラブルが起きたり競合他社の商品が出てきたりすると、すぐに離れてしまうでしょう。

人間の営業は、話し方や表情・態度を通じてお客様の信頼を得ることができ、この行為そのもので長期的な関係構築を築いています。感情の力はAIでは再現できないため、営業職の価値は維持されるといえるでしょう。

方法3. 営業提案から成約に至るまでには戦略的思考が重要

AIは効率的に情報を処理し提案内容を生成することができますが、成約に至るまでのプロセスには戦略的な思考が必要です。

営業職の人間は、市場の動向や競合分析・お客様の心理などを読み解きながら戦略を練り、お客様にとって最適な提案をします。

例えば、商品を購入してもらうまでに営業担当者は下記のようなステップを踏みます。

  • お客様課題を解決できる最適な提案はなにか?
  • 市場動向や競合を見据え競争力の高い価格設定は?
  • お客様の購買意欲はどのレベルか?
  • 決定権者に決済してもらうために必要なネゴシエーションは?

このような複雑なプロセスをAIだけでこなすのは難しいでしょう。提案から成約に至るまでには、必ず人間の考えが必要になります。

方法4. AIは緊急時の対応ができない

AIは過去のデータやプログラムされたシナリオに基づき判断するため、想定外の緊急事態では適切な対応が困難です。例えば、予期せぬ市場変動、突発的な顧客ニーズの変化、または前例のない問題が発生した場合、AIはその状況に適応するための十分な参照データを持っていません。

機械的トラブルや季節的な事象などは一定の予測ができますが、商品やサービスを扱うお客様の急な心情変化や、事前にインプットされていない特殊な事情には柔軟に対応できません。

一方、**人間の営業は発生したトラブルの原因を瞬時に読み解き、機械的なデータ以外の「人の感情」なども考慮しながら最適な解決提案ができます。**完全解決に至らない場合でも、最悪な状況を回避するための暫定的な措置(ファジーな提案)ができるのは、人間ならではの能力といえます。

営業にAIを活用したほうがよい4つのケース

一方で、AIの持つ能力を活用することで営業効率を大幅に向上させることも可能です。

特に下記4つのケースでは積極的にAIを活用したほうが良いでしょう。

  • ケース1:ターゲット層の選定に悩んでいる
  • ケース2:効果的な戦略がわからない
  • ケース3:属人的な営業管理になっておりボトムアップができない
  • ケース4:事務作業に時間がかかり営業時間を確保できていない

ケース1:ターゲット層の選定に悩んでいる

営業戦略を練るうえで顧客ターゲットの選定に悩んでいるなら、AIの活用で有効なターゲット選定ができる場合があります。

AIは大量のデータを迅速かつ正確に分析することが得意です。多角的な視点から大量のデータを読み解き、潜在的なターゲット層も特定できるでしょう。

AIは、購買履歴、アクセスデータ、SNSの言及内容など、多角的なデータを解析し、潜在顧客を予測できます。例えば、既存顧客の属性情報と行動パターンを学習させることで、類似した特性を持つ新規ターゲット層を発見したり、業界トレンドや競合情報を分析して将来有望な市場セグメントを提案したりすることも可能です。特定の業種に限定し顧客リストを作る場合、AIを活用すれば業種特有の将来性や企業ごとの規模、事業内容から購入予算を想定するなど、人間では時間のかかる分析も瞬時にこなせます。

ただし、AIを信用し過ぎるのは良くありません。選定した顧客ターゲットが正しいかどうかは、継続的に検証し続けることが大切です。

ケース2:効果的な戦略がわからない

AIの予測分析機能を使用すれば、過去のデータから成功パターンを抽出し、どの営業戦略が効果的かを明確にできます。

例えば、SaaS系商材を販売している営業会社なら、Webによるリード獲得やウェビナーの開催→ナーチャリング→カスタマーセールスと、段階を踏んで営業戦略を練る必要があります。AIを活用すれば、目標成約数から逆算した効果的なWeb戦略や、必要なウェビナーの内容や開催数など、過去実績に基づく的確なアドバイスも受けられるでしょう。

データ分析と戦略骨子の立案をAIに任せることで、人間は高度な戦略立案に時間を割けるようになります。

ケース3:属人的な営業管理になっておりボトムアップができない

AIを利用して営業プロセスを標準化し、ボトムアップを図ることも可能です。

AIを使えば、SFAやCRMのデータから優秀な営業担当者の営業プロセスや行動をデータ化し、成功パターンが作れます。例えば「優秀な営業担当者の月間訪問件数や成約率」「どのタイミングでどのような資料を提示しているのか?」など、SFAのデータを使ったAI分析もできるでしょう。

成功パターンがわかれば、売上が低迷している営業担当者のウイークポイントを明確にし、トレーニング強化をしていけば全体的なボトムアップが図れます。

ケース4:事務作業に時間がかかり営業時間を確保できていない

AIを活用して日々のルーティンワークや事務処理を自動化すれば、営業担当者はより多くの時間を営業活動に使えるでしょう。

特に営業日報の作成や上司へのレポート、お客様との打ち合わせ議事録などの作成にAIを活用すれば、さらに営業効率が上がります。

営業実績を上げるためのAI活用事例【営業準備編】

営業実績を上げるためにどのようにAIを活用できるのか、まずは営業準備にAIを活用する方法から見ていきましょう。

事例1:対象となる顧客データの分析

AIを活用して顧客データベースを詳細に分析すれば、自社商材の最適なターゲット層を絞り込めるでしょう。市場動向や経済事情のリサーチにAIを活用すれば、既存顧客への最適な営業機会がわかり営業実績向上にも役立ちます。

さらに、お客様の購買履歴や行動パターンを解析することで、よりパーソナライズされたアプローチが可能になり営業効率もアップします。

経済産業省のAI導入ブックを見てもAIの活用事例として「売上実績等の社内データ・気候等の外部データの分析による需要予測」などが挙げられています。

事例2:マーケティング

AIを利用したコンテンツマーケティングツールを活用すれば、効果的なマーケティング戦略立案も可能になります。

AIはWebサイトの訪問データや広告効果を分析し、ターゲット層の特性に応じた最適な広告予算配分や出稿タイミングを自動で提案できます。お客様のWeb上の行動パターンをAIが詳細に分析することで、どのようなコンテンツが各顧客セグメントに効果的なのかを特定し、パーソナライズされたマーケティング施策を展開できます。

また、過去の広告キャンペーンの反応データをAIが学習することで、将来の広告展開における成功確率の高い訴求ポイントや最適な広告クリエイティブの方向性まで予測可能です。

AIを活用して、タイムリーかつ効果の高いコンテンツを提供できるようになれば、リードの質を向上させ成約率アップも期待できます。

事例3:カスタマーサクセス

AIを用いた顧客サポートツールは、カスタマーサクセスの効率化に寄与します。

お客様からの問い合わせに対する迅速な対応や、予測分析に基づいた問題解決策の提案も容易にできるようになるでしょう。

例えば、お客様が自社サイトの料金ページなどをどのように閲覧しているかをAIが判断し、お客様ごとに必要なフォローができる点はAIならではのメリットといえます。

事例4:営業メールの作成

AIによるテキスト生成ツールを活用して、効果的な営業メールを大量に自動生成することもできるでしょう。

営業メールはタイトルのつけ方にも工夫が必要です。属人的な工夫に頼ることなく、もっとも効果の高い営業メールをパターン化し、最適な文章をAIに作らせることも可能です。

事例5:営業資料の作成

プレゼンテーション資料や提案書類の作成にAIツールを活用すれば、事務作業に割く時間を減らし営業効率も上げられます。

すべてをAIに任せることはできないかもしれませんが、営業資料に入れるデータやグラフの作成、文章作成に困ったときのサポートにAIを活用すると効率化に役立ちます。

営業実績を上げるためのAI活用事例【営業プロセス編】

次に、お客様との打ち合わせ~プレゼン~成約に至るまでの、営業プロセスの各段階でAIを活用する方法についても見ていきます。

事例1:営業KPIの管理や改善

営業KPIの管理や改善は、AIがもっとも活用できる分野です。

AIは、成功している営業担当者の行動パターンを分析し、モデルケースを作るのに役立ちます。SFAを使って資料を提示したり、料金見積をしたりするケースにおいては、成約率がもっとも高いプレゼンの流れや、最適な料金提示の方法などをパターン化できるでしょう。

営業実績が低迷している営業担当者がいるなら、AIが作った成功パターンを真似るなどして改善に取り組むこともできます。

事例2:営業トークの改善

AIを活用すれば、過去の成功例から成約率の高い営業トークをパターン化し共有することもできるでしょう。

音声認識と自然言語処理技術を使い、成功した営業トークのフレーズや話し方のパターンを解析し、改善ポイントを提示することで、トークスキルの標準化が可能です。特にカスタマーセールスなど、音声分析が可能な場面では、優秀な担当者が使うキラーワードや話すタイミングを数値化しモデルケースを作れます。営業トレーニングにもAIツールを活用し、トークスキルの改善を図ることも可能です。

事例3:お客様との打ち合わせ議事録の作成

お客様との打ち合わせ議事録の作成にもAIを活用できます。

成約に至るまでには複数回の打ち合わせを重ねることも多く、人が作成する議事録で抜け漏れなどがあれば、後々のプレゼンにも大きな影響を与えかねません。打ち合わせ議事録をもとに顧客課題などを明確にしておけば、本質的な課題の洗い出しも容易にできるでしょう。

また、AIが作った議事録を瞬時にお客様と共有できれば、契約上のトラブルも未然に防げます。

事例4:カスタマーサポート(AIチャットポッドなどの活用)

AIチャットポッドを利用すれば、お客様からの問い合わせに対して24時間無人対応も可能です。

初歩的な質問や、お客様から頻繁に寄せられる内容はAIが回答してくれるため、営業担当者への問い合わせも減らせるでしょう。さらに、質問の傾向をAIが診断し、商品開発やサポート体制の見直しを検討することもできます。

事例5:アップセルやクロスセル

AIを利用して顧客データを分析し、最適なタイミングでアップセルやクロスセルの機会を見つけることもできるでしょう。

例えば、商品やサービスによっては、お客様の商品購入時期や利用状況のデータをオンラインで取得することが可能です。取得したデータをAIが分析し、自社サイトのアクセスログをAIが判定して必要に応じてアップセルやクロスセルの提案ができます。

AIによって、お客様の購買履歴や好みに基づいたパーソナライズされた提案ができるようになれば営業実績改善にも役立ちます。

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営業にAIを活用する場合の具体的な導入方法

実際にAIを営業に活用する具体的な手法についても解説します。

方法1:AIを使って抽出されたデータを活用する

AIを営業に活用してみたいなら、はじめに「AIを使ったデータ分析」にチャレンジしてみましょう。

具体的には下記のようなデータ分析ができるかもしれません。

  • 営業担当者別の行動パターンを分析する
  • お客様ごとの購入動向を分析し最適な営業タイミングを調べる
  • 市場の動向などをAIで分析し広告戦略を練る

Chat GPTなどの汎用AIを活用して営業データを分析することも可能ですし、PowerBIなどの汎用ツールで、分析データを可視化する方法もあります。

方法2:AIを活用したSFAやCRMを導入する

AI統合型のSFAやCRMを導入する方法もあります。

AI機能を持ったSFAなどがあれば、営業のプロセスを効率化できるだけではなく、顧客データの動向と営業担当者の行動をAIが分析し、成功パターンを提示してくれます。

新人層が多く、営業成績のボトムアップを望んでいる企業には特におすすめです。

方法3:Chat GPTなどの汎用AIを導入する

Chat GPTなどの汎用AIを活用するのもおすすめです。

例えば、営業資料の自動作成ではChatGPT APIを使用し、標準化されたプレゼン資料やメールテンプレートの生成を行うことで効率化が可能です。具体的な導入ステップとしては、まず自社の営業プロセスを分析し、AIに任せられる業務を特定します。次に、ChatGPTのような汎用AIツールの導入計画を立て、営業チーム向けの適切なプロンプトセットを開発します。これにより、週次報告書の作成や顧客からの一般的な問い合わせへの対応など、定型業務の大幅な時間短縮が実現できます。

汎用AIは「議事録作成」「簡単なデータ分析」「営業資料作り」などの効率化に役立ちます。また、新規営業担当者の教育ツールとしても活用でき、成功事例のパターン学習や商品知識の効率的な習得をサポートします。

汎用データをExcelなどで分析するときに使うマクロなども、わからない場合は汎用AIが教えてくれるため業務効率化にも役立つでしょう。

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AI活用で営業実績向上を狙おう

AIが進化して「これからの営業はAIに乗っ取られてしまうのでは?」と危惧する方も多いでしょう。

たしかに簡単な作業はAIに依存するかもしれませんが、これからの営業は逆にAIを活用して人間にしかできないことに専念すべきです。AIに乗っ取られるのを危惧するより、AIを活用できない営業が淘汰されることに危機感を感じるべきかもしれません。

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島谷 大輔
この記事を書いた人

島谷 大輔

通信系の営業を専門として、BtoBおよびBtoCの両方を経験。
プレイヤーのみならずマネジメント経験も豊富。
自身の営業経験をもっと多くの人に届けたいという想いが強い。

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