組織営業力を高めるための3つの方法を徹底解説!おすすめ本も紹介【3選】
目次
こんにちは、宮本です。
本日は「組織営業力」について解説します。
市場競争が激しくなる今後のビジネスシーンでは、組織営業力の強化が欠かせません。
ビジネスが複雑化している昨今では、営業担当者のスキルにだけ依存しては戦い抜くことは難しい状況です。そんな状況下で大切なことは、組織全員の知恵を集めて組織力を底上げすることです。
一部のトップセールスに依存せずに組織営業力を高めることが、組織の安定化にもつながります。
今回は、組織営業力を高めるための方法について詳しく解説します。組織営業力の理解が深まるおすすめ本も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
組織営業とは?
「組織営業」とは、組織的に営業プロセスを評価・改善・標準化して組織全体の売上を最大化させるための活動を指します。
組織営業力を高めるためには働き手の意識改革が求められ、営業担当者一人ひとりがいかに組織に貢献できるかを考え実行しなければいけません。
組織営業力が高い組織には、以下の特徴が見受けられます。
- 特徴1:明確な目標を設定している
- 特徴2:組織内のコミュニケーションが円滑である
- 特徴3:明確なビジョンを掲げたリーダーが存在する
- 特徴4:営業プロセスを可視化している
組織営業は個人に依存することなく、チームでの成果が前提になります。
営業プロセスを担当者が一人で担うのではなく、分解し複数人で受け持つことが今では主流です。各々が任務に狭く深く集中でき、一人で成し得る何倍もの成果が見込めるようになりました。
現在、組織営業で起きている問題点
営業の現場ではいま、どのような問題が起きているのでしょうか?代表的な5つの問題点について、見ていきましょう。
その1:組織の方向性が明確でない
組織の方向性が定まっていなければ、目的意識が定まらず各々がバラバラの方向に進んでしまいます。企業理念や経営ビジョンが不明確なことが、大きな要因です。
メンバー間で「共通目的」が共有できていないため、利己的になり同じ方向に進めません。当然生産性が上がらず、成果にもつながらないでしょう。
経営者や管理者は、組織の方向性を指し示しあるべき姿に導くのが最大の役割です。メンバーに対して方向性を指し示すことで、「貢献意欲」が生まれ「協働意欲」に変わっていきます。協働意欲を高めるためにも、組織営業力の向上は必須なのです。
その2:売上が安定しない
一部のトップセールスに依存している組織では、売上も彼ら・彼女らに依存せざるを得ません。仮にトップセールスが何かしらの事情で仕事ができなくなったり離職したりした場合は、組織全体の売上低下に直結します。
経済が右肩上がりの時代なら、多額のコミッションを支払いトップセールスを集めることで売上拡大が望めました。しかし市場競争が激化している現代では組織の生産性向上は必須であり、そのためにはメンバーの知恵を集結させなければいけません。
トップセールスに依存してしまう組織では、一人の営業担当者の限界が組織の限界になってしまいます。以上のことからも、売上を安定させるためには組織営業力向上が欠かせません。
その3:営業活動が属人化している
個人任せの組織では、営業活動の属人化が顕著です。属人化とは「組織においてある特定の人が業務を担当し、その人にしかやり方がわからない状態」を指します。
営業活動そのものがブラックボックス化され、以下のような状態を生み出してしまいます。
- 状態1:長時間かけて築き上げてきた営業活動のノウハウが組織に残らない
- 状態2:営業活動の課題分析ができず、改善策を考案・実行できない
- 状態3:ノウハウが共有されないため、新人教育に時間がかかる
営業としての優勢性を守りたかったり自分の業務で手一杯だったりする環境が、属人化を生みやすくします。
また、営業活動の行動項目が標準化されていなかったり、属人化を組織として良しとしていたりする場合も、個人頼みの状態から抜け出せません。組織営業力を高めるほかに、属人化から脱却する方法はないのです。
その4:モチベーションが低下している
メンバーのモチベーションが低下する理由は、大きく分類すると以下の通りです。
- 理由1:仕事の目的がセットできていない
- 理由2:自分の裁量で仕事ができない
- 理由3:その仕事でどう評価されるかがわからない
- 理由4:上司の考えがわからない
「できない」「わからない」という回答が多く見られるように、モチベーション低下は管理者とメンバー双方のコミュニケーション不足が大きく関係しています。
モチベーションマネジメントでは、メンバー全員に向けてアプローチするより、一人ひとりに目を向けることが大切です。メンバーとの丁寧なコミュニケーションを通じてモチベーションを向上させることが、組織営業力を高めるためにも欠かせません。
その5:マネジメントが機能しない
営業担当者のやり方がバラバラなため、各々の担当者に沿ったマネジメントが必要になります。そのような組織ではマネジメント業務が煩雑になり、非効率・非生産性が高まってしまうでしょう。
マネジメント効率が下がれば組織の統制が取れず、マネージャー本来の業務に集中できません。マネジメントが機能しない組織では、以下のような症状が出始めます。
- 症状1:情報伝達や指揮系統が乱れる(「誰が誰に指示を出すのか」が乱れ、「この仕事は誰の担当か」と業務領域が曖昧になる
- 症状2:離職率が上昇する(特に優秀な人が辞める傾向が強い。優秀な人には業務が集中しやすく、不公平感や閉塞感を生み出してしまうため)
マネジメントを機能させ組織の生産性を高めなければ、組織営業力が向上することはないでしょう。
組織営業アクションチェックリストの資料ダウンロードはこちら組織営業力を高めるための3つの方法
組織営業力を高めるためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?特筆すべき3つの方法について、見ていきましょう。
方法1:営業ナレッジを共有する
ナレッジマネジメントと呼ばれる手法で、営業に関するナレッジ(knowledge=知識)を組織内で共有することで組織の活性化を図ります。
ナレッジマネジメントを組織に根付かせるためには、ナレッジ共有で得られるメリツトを組織内に周知させなければいけません。営業担当者は業務が忙しく、貴重な時間を割いてナレッジ共有を嫌うケースが少なくないためです。
営業活動のナレッジとして共有すべき内容には、主に以下があげられます。
- ナレッジ1:討議用資料や提案資料等のデータ(商談で役に立ったデータを共有することで、各々の工数削減や提案力強化につなげる)
- ナレッジ2:セールストーク(クロージングがうまくいったりお客様をさらに惑わしてしまったりなどの、良かったり悪かったりしたセールストークを共有する)
- ナレッジ3:受注や失注の要因分析(なぜ受注に至ったのか、失注してしまったのかを共有することで、今後の受注確度を高めていく)
営業ナレッジの共有は、チームの今後の営業活動やマーケティングに役立つ貴重な資産づくりと言えます。今後の組織営業力強化には欠かせません。
方法2:営業プロセスを可視化させる
営業プロセスの可視化とは、リード(受注が見込めるお客様)の獲得からアプローチ(訪問・商談)を経てクロージングに至るまでの一連の流れを見える化することです。
営業担当者の能力や経験値の差をなくしたり、ボトルネックとなっている部分を明確にできたりするメリットが生じます。
例えば担当者によっては、初回訪問後に次回商談につながる案件が少なかったり、クロージングに課題が見られたりといったことが把握可能です。数字やデータを元にした具体的指標で分析できるため、早い段階でリカバリーできるようになるでしょう。
また営業プロセスの可視化は、営業担当者ごとのナレッジが共有できます。新人や成績が伸び悩んでいる担当者の育成も兼ね、時間をかけることなく組織営業力強化につながるのです。
方法3:KPIを設定してPDCAを細かく回す
組織の課題解決に有効なフレームワークとして、PDCAサイクルはビジネスの現場で広く浸透されています。
目標達成に向けたプランを練り実行し、その結果を検証し改善策を考案することで当初の課題と別の課題が浮き彫りになります。
新しい課題に対して、「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(確認)」→「Action(改善)」を細かく繰り返すことで、組織全体のクォリティを高めていくのです。
PDCAサイクルを細かく回す上で大切なのが、適切にKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を設定すること。目標に対する進捗度合いを確認するための指標で、目標達成に向けたペースメーカーとしての役割を果たします。
新規のお客様への商談アポイント獲得が役割である、営業担当者の事例を見てみましょう。
KGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指標「最終目標」)を、新規のお客様との商談アポイント獲得月5件に設定している場合。アポイント獲得率が仮に5%なら、テレアポ件数月100件をKPIに設定します。
- 「月の稼働日が20日なら、1日5件テレアポする」
上記のように、具体的且つシンプルな行動計画に落とし込めます。つまり、KPIの設定は目標達成に向けた道しるべとしての役割だけではなく、実際に行動に移すために必要な指標だと言えるでしょう。
組織営業の成功事例
システムインテグレーション事業を展開するA社では、個人頼みの営業スタイルに課題を感じていました。人材の流動化が進む昨今では、ベテラン社員の定年退職や能力の高い営業担当者の転職が、組織の戦力ダウンに直結するからです。
そこで、A社では属人化を是正し組織営業力を高めるために、複数人で取り組むコンサルティング営業を実践しました。エリア営業担当者がお客様を訪問し、その会話の中から「お客様の困りごと」を拾い集め、商品ラインアップの中から最適に提案する方式を採用したのです。
お客様のニーズに合わせ、営業担当者のみでなく専門知識を持つ専任営業やSEと協働でシステム開発の提案を行うことで業績を上げるようになりました。
組織営業力を高めるためには、組織的な営業マネジメントの仕組みづくりが欠かせません。
A社の事例からも、企業として腰を据えたマネジメント改革が重要なことがわかります。
組織営業の失敗事例
B社では、新規開拓の成果が一向に上がらず離職する営業担当者が後を絶たない状況でした。B社ではお客様にアポイントを取るためには、リストからひたすらテレアポする手法を取り入れていました。
しかし、B社では、個人のスキルに依存してしまい、お客様からうまく情報を聞き出せない営業担当者は次第にテレアポ自体が苦痛になり、結果として自信を無くし離職していく状態が続きました。
組織としての営業が上手くいっていないことは明らかです。
もし、見込みのあるお客様を数値分析から選定し、より角度の高いお客様へアプローチするといった工程を取り入れていたらどうだったでしょうか?
例えば、インサイドセールス担当者が自社のWEBサイトの閲覧状況やメール開封率などのデータから、見込みのあるお客様を選定します。その後、エリア担当者が選定したお客様へアポイントを取得するのであれば、いきなりテレアポするよりも精神的なハードルは下がったでしょう。
このように営業プロセスが確立しておらず個々のスキルに依存している組織では、営業担当の負担が増すばかりです。営業活動を停滞させないためにも、データに基づき組織的に営業する力を構築しなければなりません。
組織営業力の理解が深まるおすすめ本3選!
ここまで、組織営業力を高める方法や重要性についてお伝えしました。最後に、組織営業力の理解が深まるおすすめ本を紹介します。
おすすめ本1:小さな会社こそがNO1になる ランチェスター経営戦略
弱者が強者に勝つには一定のルール「原理原則」が存在します。その基本思想を、ランチェスター戦略から学び取るヒントについて書かれた本です。
経営は戦略がなければやっていけない、理念がなければやる資格がない、実践しなければ何も生まれない。組織で重要な「理念」「戦略」「実践」を「心・技・体」3つの視点で解説します。
>「小さな会社こそがNO1になる。ランチェスター経営戦略」
おすすめ本2:最強の経営を実現する「予材管理」のすべて
「絶対目標達成」を掲げる、営業コンサルタントの著者が提唱する手法が「予材管理」。
目標の2倍の予材をあらかじめ積み上げ最低でも目標を達成させる手法は、組織での目標達成が義務付けられているあらゆるマネージャーの参考になります。
NTTドコモやソフトバンク、サントリーや野村證券も導入した最強の経営学が、わかりやすく体系的に学べる1冊です。
>最強の経営を実現する「予材管理のすべて」
おすすめ本3:負けグセ社員たちを「戦う集団」に変えるたった1つの方法
「社員の士気が上がらず、社内で営業職を辞めたい人が増えている・・・」
「一生懸命やっているが業績は下降するばかりで、突破口が見いだせない・・・」
「やることが増え、仕事がどんどんやりづらくなっている・・・」
このような共通の問題意識をかかえる管理職が、組織本来の姿を取り戻すために書かれた本です。
著者が実際に携わった「キリンビール高知支店の奇跡」の実施例に基づいて、「知識創造理論」と照らし合わせながら解説します。
>負けグセ社員たちを「戦う集団」に変えるたった1つの方法
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、「組織営業力」を高める方法について解説しました。
人材不足や市場競争が激しい現代のビジネスでは、個人の営業に依存するのはリスクでしかありません。メンバーの知恵を集結させ、組織で打開していくことが求められています。
当記事で紹介した属人化せずに組織営業力を高める具体的方法を参考にして、ぜひ明日からのマネジメントに役立ててください。
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宮本 聡介
営業経験は25年あり、その中で時代と共に営業スタイルを変えてきた。 豊富な営業経験を活かしつつも、時代を先取りした営業系の記事を制作。 特に、卸系の営業には長く従事し、経験や知識は極めて潤沢。