マネジメント能力を向上させる5つのスキル&3つの具体的方法を解説!
目次
こんにちは、宮本です。今回は、「マネジメント能力」について解説します。
限られた資源を有効活用して業績を上げることは、どの企業にも求められていることです。そのためには、チームや組織、そして会社全体をも動かすマネージャー陣のスキルアップが欠かせません。つまり、マネジメント能力の向上が必須ということです。
しかし、マネジメント能力を高めることは簡単ではなく、また時間もかかります。一般的に、優れたマネージャーが不足している企業は珍しくはないでしょう。
確かに一定の難易度はあるものの、マネジメント能力は正しい方法で学びと実践を繰り返すことで身につけることが可能です。
この記事では、マネジメントに必要なスキルやマネジメント能力を向上させる具体的方法について解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
マネジメント能力とは
そもそも、マネジメントにはどのような能力が必要なのでしょうか。マネジメントとリーダーシップの違いについても合わせて見ていきます。
マネジメント能力とは
マネジメントの父と呼ばれている「ピーター・F・ドラッカー」は、マネジメントには以下の3種類が存在すると述べています。
- 事業のマネジメント:方針を決め戦略を決定し、経営計画に落とし込む
- 管理者のマネジメント:人と資源を配分する責任を担う
- 人と仕事のマネジメント:人の特性に配慮し、最大限貢献できるように採用・配置・教育・異動する
上記のPDCAサイクルを回すことで、顧客を創造し企業存続のために収益を上げます。つまりビジネスにおけるマネジメント能力とは、組織を単に管理するだけではなく、うまく運営しながら与えられた目標を達成する能力だといえるでしょう。
マネジメントとリーダーシップとの違い
マネジメントと似た言葉として、「リーダーシップ」があげられます。両者の定義に共通するのは、以下の点です。
- メンバーに進む方向性を示す
- 組織やチームを維持する
- 積極的な課題解決をする
リーダーシップの目的は、経営理念やビジョンなどの長期的な目標や目的を達成するために、影響力を発揮することになります。
両者に共通して求められる能力は以下になります。
- 設定した目標を実現しようとする意志力
- 組織を率いるための決断力や行動力・コミュニケーション力
マネジメント能力を向上させるためのスキル5選
マネジメント能力を向上させるためには、相応のスキルが欠かせません。本章では、マネジメント能力向上に必要な、5つのスキルについて解説します。
現状分析力と問題解決力
1つ目のスキルが、現状分析力と問題解決力です。
現状分析するためには、大前提として「課題発見力」がなければいけません。課題発見力とは「現状を分析し問題を見つけていく力」で、発見するためのステップは以下3つになります。
- ステップ1:少し先の理想(なりたい姿)をイメージする
- ステップ2:現状起点で理想をとらえる(現状で理想に到達するのかしないのかを見極める)
- ステップ3:理想と現実のギャップを明確にする
現状分析で課題(理想と現実のギャップ)が明らかになれば、次に問題解決を図っていきます。問題解決力とは、「起こっている問題を分析して原因を洗い出し、対応可能な解決策を立て問題解決に導く力」のことです。
現状では解決が困難だと思うことでも、分析して細分化することで解決の糸口を探ります。問題解決するためには、以下3つのステップを適切に踏むといいでしょう。
- ステップ1:問題を正しく認識する(客観的な視点で複数議論する)
- ステップ2:問題を分析する(可能な限り原因を洗い出し漏れがないようにする)
- ステップ3:解決策を立案する(「いつ」「どこで」「だれが」実行するか明確にする)
問題が発生したときに適切に処理して解決に導けるマネージャーは、変化の激しいこれからの時代において、ますます重要になるでしょう。
意思決定力
2つ目のスキルが、意思決定力です。情報が十分でなかったりリスクを取りたくなかったりする理由で、意思決定できないマネージャーは少なくありません。意思決定力とは、「情報を見極めて選択する力」です。
意思決定するとき、人は不安だったり悩んだりします。このような感情を抱くのは、自分の内面に存在する思考のクセや心理的バイアスが影響しているためです。
自分の中のバイアスを理解し克服するためのコツをつかむことで、意思決定力は身につきます。以下の方法は、意思決定力を高めるのに有効でしょう。
- 決定のタイムリミットを設定する
- 理想の姿を実現するために考えられる解決策や行動を洗い出す
- 選択した場合のメリットとデメリットをあげる
- 決定した結果を測定する
また日頃から政治や経済など多くの情報に触れることで、視野が広がり状況に応じて意思決定できる力が備わります。
コミュニケーション力
3つ目のスキルがコミュニケーション力で、マネジメントする上では必須だと言えます。部下の動機付けに、大きく関わるためです。
コミュニケーション力は、数値では測れません。相手の評価がすべてだといえます。コミュニケーション力が高い人に見られる特徴は、以下の4つです。
- 特徴1:相手に興味や関心を強く持っている
- 特徴2:相手の気持ちが読み取れる
- 特徴3:聞き上手である
- 特徴4:わかりやすく伝えられる
上司や部下に限らず、コミュニケーションが上手な人は周囲にいるはずです。自分が身につけたい部分を観察して真似することも方法の一つでしょう。
論理的思考力
4つ目のスキルは、論理的思考力です。「ものごとの道筋を立てて考える力」のことで、ビジネスにおいての土台となるでしょう。右肩上がりで成長していた時代なら、経営層から与えられた指示通りにすればある程度の成果が出せました。
しかし、変化が激しい現代のビジネスでは、通用しなくなっています。必要な情報を自ら取り、構造的に整理していくことが求められています。
- 起きている事象の因果関係をとらえる
- 仮説を立てデータや事実をもとに検証し意思決定する
- 類似する事象との共通点を見出しヒントを探る
上記のような思考力を身につけることで、未経験の状況でも前に進めていける人材になれます。
人材育成力
5つ目のスキルは、人材育成力です。人材育成力は仕事で成果を出すことを目的として、「部下の成長を支援する能力」だと言い換えられます。
人材育成は、対象者を理解し育成計画を立てるところから始まります。新入社員のみならず経験が浅い中途入社員の場合でも、配属から6か月は対象者を理解する期間として必要でしょう。人材育成では、植物を育てるように対象者と根気よく併走する気持ちが大切です。
マネジメント研修ラインナップの資料ダウンロードはこちらマネジメント能力を阻害する3つの原因
マネジメント能力を身につけて、いざ実践しても、思うようにうまくいかない場合があります。ここでは、マネジメント能力を阻害する3つの理由について見ていきます。
マイクロマネジメントをしてしまう
マイクロマネジメントは、時としてマネジメント能力の発揮の妨げになります。マイクロマネジメントとは、部下を過剰に管理する手法のことです。部下の成長機会を奪うだけではなく、メンタル不調を招く原因にもなるでしょう。
マイクロマネジメントは、仕事の進め方を細かく指示したりメールの文面を細かくチェックしたりするケースが該当します。マイクロマネジメントをしてしまうマネージャーには、以下の特徴が見受けられます。
- 部下に権限移譲(エンパワーメント)できていない
- 細かいルールを作る
- 部下の意見を聞かない
- 部下を信頼していない
- 些細な部下のミスを追求する
マイクロマネジメントは、部下から主体性を奪い自分で考える機会を与えません。結果として「指示待ち」の部下を増やし、組織全体を停滞させてしまうでしょう。そのような組織で、管理者自身のマネジメント能力が向上することはありません。
精神論に固執してしまう
精神論に固執してしまうことも、マネジメント能力を発揮しきれない要因になり得ます。根拠のない精神論や根性論だけに頼り、プロセスを無視して非科学的なマネジメントを実践しているためです。
優れたマネジメントとは、部下のモチベーションが低くても結果が出せるように、論理的な計画や道筋を立てサポートすることだといえます。「一生懸命やる」や「とにかく頑張る」に依存するのは、確率の悪いマネジメントを実践しているにすぎません。
他責思考が抜けない
他責思考は、優れたマネジメントにつながらない可能性を高めます。チーム内で起こった問題や課題を自分のこととして考えられず、組織を停滞させてしまうためです。
他責思考のマネージャーに限って、「部下が成長しない」と考える傾向が見受けられます。「成長していないのは自分自身」であることに気づいていません。
そういったマネージャーが率いる組織では、部下も人任せになりがちです。「それは上司の仕事であり、私の仕事ではありません。」このような言葉が頻繁に聞かれるなら、注意が必要だといえるでしょう。
マネジメント能力を向上させるための3つの具体的方法
マネジメント能力に、特別な資質や才能は不要です。マネジメントとは生まれ持ったものではなく、後天的に身に付けることができるからです。
正しい考え方を身につけることで、だれもが発揮できる能力だといえるでしょう。最後に、マネジメント能力を向上させるための具体的方法について解説します。
経営的視点を身につける
1つ目は「経営的視点」を身につけることです。経営的視点を持つマネージャーの言動には、一貫性が見受けられます。
「何のために」やっているのかが経営方針とリンクしているので、部下からすると納得感が得やすくなります。各々の目的が明確なため、生産性が高まり目標達成できるチームになるでしょう。
しかし、会社全体が見えるポジションにいなければ、経営的視点は容易には身につかないものです。現場に近いマネージャーは、どうすれば経営的視点が身につくのでしょうか。
経営的視点を身につけるには、経営者が見るべき部分を把握して自分自身で見て考える習慣を持つといいでしょう。最初はわからない点も少なくありませんが、繰り返すうちに理解できるようになるはずです。経営者は、主に以下の点をいつも見ています。
- 自社の財務状況
- 市場の状況
- 自社のビジネスの仕組みやオペレーション
- お客様や競合社の状況
- 社内人員やその他リソースの配置
マネージャー層が経営的視点を身につけることができれば、現場はより自律的にものごとを判断し責任を伴って行動するようになります。経営方針に沿って一貫して取り組むマネージャーの言動に、メンバーは共感するためです。
ポジションチェンジの思考を持つ
2つ目は「ポジションチェンジ」の思考を持つことです。ポジションチェンジとは、人間関係改善に活用されるNLP(神経言語プログラミング)の手法の一つで「相手の立場に立つ」ことです。
「部下はどうしてわかってくれないのか」と感じているマネージャーも少なくありません。停滞している相手との関係を改善したいとき、ポジションチェンジは有効に作用します。
ポジションチェンジを実践するには、基盤になるコンセプト「知覚位置」を理解しなければいけません。知覚位置とは、ものごとや事象を認識するとき、その位置によって知覚する情報が異なるといった考え方です。知覚位置は、以下3つの視点から成り立ちます。
- 視点1:「自分の位置」(自分は〇〇と思う、といった自分中心の視点)
- 視点2:「相手の位置」(相手の考え方や立場など)
- 視点3:「第三者の位置」(自分と相手から離れた、客観的な視点)
知覚位置をバランスよく取り入れポジションチェンジを実践することで、対人関係が変化します。風通しの良い人間関係が築けれる力は、マネジメント能力を高める要素になるでしょう。
自己研鑽にはげむ
3つ目は自己研鑽にはげむことです。マネージャー自ら学び、その姿勢を示すことは部下をはじめ組織全体への刺激にもなります。環境の変化やマーケットの動向により、知識やスキルを都度学び直す必要もあると言えますね。
自己研鑽でもっとも大切な視点は、「自分の意志によって取り組むこと」です。他人から指示されたり強制されたりして取り組むことは自己研鑽でありません。
累計13,000社320万人以上に人材育成サービスを提供する株式会社ラーニングエージェンシーが、自己研鑽についての管理職意識調査を公表しました。
「月11時間以上自己研鑽に時間を使っている」と回答したのは、目標を達成したことがない管理職が8.0%に対して、毎年目標達成している管理職では21.0%でした。
参考:【管理者意識調査】目標達成できる管理職には共通の傾向あり|PRTIMES
このことからも、目標達成度が高い管理者ほど自己研鑽の時間をより多く確保していることがわかります。自己研鑽は、以下の方法で取り組むことが可能です。
- 書籍を読む
- 講演会やセミナーに参加する
- Eラーニングを活用する
- 研修を受講する
なかでも、研修の受講はマネジメント能力を高めるうえで有効な手段です。自分が置かれている状況に沿ったプログラムを受講することで、さまざまなスキルが身につくでしょう。
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いかがでしたでしょうか?
今回は、マネジメント能力を向上させる方法について解説しました。
現代のビジネスシーンでは、マネジメント能力の向上は企業にとって重要課題だといえます。限られた資源で成果を出すためには、優れたマネジメントを実践することが、企業にとってもっとも効果がでやすいためです。
マネジメントには、資質や特別な才能は不要です。必要なスキルを身につけ、適切な方法を実施することでマネジメント能力は向上します。
今回紹介した方法を参考にして、ご自身のマネジメントに役立つことを願っています。
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宮本 聡介
営業経験は25年あり、その中で時代と共に営業スタイルを変えてきた。 豊富な営業経験を活かしつつも、時代を先取りした営業系の記事を制作。 特に、卸系の営業には長く従事し、経験や知識は極めて潤沢。