第十一回：失敗したA社の戦略 ～ いま、生き残るための営業術（輸送経済新聞 2021年4月13日掲載記事）

こんにちは。高橋です。

全１２回にわたり、輸送経済新聞の「まなびカフェ」に連載された「いま、生き残るための営業術」に加筆修正を加えた特別版を公開しており、本日は第１１回目です。

前回は、インサイトセールスの成功事例をお伝えしました。インサイトセールスでは、経営層から理念やビジョンを直接聞き出すことがとても大切です。

ご紹介させていただいたのは、トラックメーカーにおけるインサイトセールスの成功事例ですが、他業界への応用も可能だと思いますので、ぜひチェックしてみてください。

今回は、「失敗したA社の戦略」と題して、インサイトセールスを営業組織に取り入れたいのになかなか上手くいかない…、といった失敗事例をご紹介します。

インサイトセールスが失敗する理由

「営業組織でインサイトセールスに取り組み、成功事例を出したい。」こういったお声をいただくことが、以前より増えてきました。

私たちも、これまで多くの営業組織のご支援をさせていただきました。その中で、インサイトセールスがどうしても上手く社内に波及せず、結果としてインサイトセールスの成功事例が出ない…といった失敗事例も存在します。

インサイトセールスとは

インサイトセールスとは、お客様の理念やビジョンの実現支援を行う営業手法です。

理念やビジョンを、お客様の経営層から直接お伺いし、その実現施策を共に考え、施策を実行していく…、こういったとても高度な営業手法になります。

※インサイトセールスを詳しく知りたい方は、こちらからコンセプトブックをダウンロード頂けます↓

上司こそ本腰を

お客様の経営層から理念やビジョンを聞き出す際、当たり前ですが自社の上司も商談に同席することが多いと思います。

その際に、いくら営業担当者がインサイトセールスの営業手法を身につけても、同席している上司にその知識が全くなければ、インサイトセールスは上手くいきません。

ありがちな失敗事例

インサイトセールス研修を受講したある会社の営業担当者Ａさんの実話になります。

アポイントメント取得

インサイトセールス研修を受講生したAさんは、さっそくお客様の経営層にアポイントメントを取得しました。その商談には、自社の上司も同席することをお伝えしています。

商談の目的は、「提案に先立ち、お客様の経営層から、直接理念やビジョンを正確にお伺いしたい。それにより、ブレのない提案をしたい。」と伝えてあります。

アイスブレイクからの急展開…

商談が始まると、営業担当者Ａさんの上司がその場を仕切るようになりました。互いの緊張をほぐすために、アイスブレイクを交えながら、良い感じに商談がスタートしています。

しかし、Ａさんは…、この後の上司の発言に耳を疑ったのです…。

「今回の提案の価格はいかがですか？もし他社より高ければ、値引きもしますので、ぜひご決済ください！」と、上司が言い始めたのです。この言葉を機に、商品の値引きの話で商談が終わったそうです。

せっかく、お客様の経営層からアポイントメントを取得し、「理念やビジョンを聞き出すチャンス」であったはずの商談を台無しにしてしまった事例です。

目指すべきは階層別の関係構築

インサイトセールスを実践するためには、お客様の経営層から理念やビジョンを直接聞き出す必要があります。そのため、営業担当者一人で完結することが難しく、場合によっては自社の上司に加え、経営層も同席させる必要があります。

階層別の関係構築

インサイトセールスを実践する上では、階層別の関係構築がキモになります。もちろん、営業担当者一人でお客様の経営層までカバーできれば理想ですが、お客様の企業規模が大きくなればなるほど難しい現状があります。

理念やビジョンの実現を！

自社の経営層を巻き込み、お客様の理念やビジョンを実現させましょう。そのためには、前述した通り、「組織として営業を進めていくこと」が大切になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、インサイトセールスの失敗事例を元に、どのように営業組織でインサイトセールスを実践していくかを考えてみました。

インサイトセールスを実践する上では、営業担当者一人ではなく、自社の上司や経営層を巻き込む必要があります。インサイトセールスを成功させるには、「上司こそ」そして「経営層こそ」力を入れなければならないといっても過言ではないのです。

次回は、「インサイトセールスを始めよう」と題して、インサイトセールスについて熱く語ります。お読みいただくことで、明日から…、いやこの瞬間からインサイトセールスを実践したくなるでしょう。