トップアプローチを制するものは、営業を制す!具体的な技法を詳しく解説!
目次
こんにちは、石井です。
本日は、トップアプローチをテーマにお話します。
トップアプローチとは、お客様の経営層へアプローチをする営業のことです。営業担当者であれば、経営層は、決裁権を持っているため、営業としては優先してターゲットにしたい人物になります。
私たちは、営業人材の能力開発を専門に行っています。実際にトップアプローチ研修を実施したり、お客様に同行営業をしたりもします。その中で、トップセールスがどのようにトップアプローチを成功させているかということを追求し続けてきました。
その経験も踏まえながら、本記事では、「トップアプローチとは?」というそもそもの部分から、アポイントメントの取得方法、そして対話法なども解説していきます。
トップアプローチとは?
「トップアプローチ」とは何でしょうか。まずは、トップアプローチの定義から考えていきましょう。
トップアプローチとは、「お客様の経営層または決裁者層にアプローチをする営業手法」を指します。
お客様に営業をする際には、まず担当者層の方とやり取りをすることが多いと思います。ただ、担当者層の方は決裁権を持っていないことがほとんどです。そのため、私たち営業は、決裁権のある方にアプローチをする必要があるのです。
私たちは、「決裁権があるから」という理由以外で、なぜトップアプローチをする必要があるのでしょうか。詳しく考えてみましょう。
トップアプローチが重要な理由
トップアプローチが重要な理由は、複数存在します。
前述したように、決裁権のある方にアプローチをした方が、営業としては効率が良く、受注率も高まります。その他には、どういった理由があるでしょうか。
その1:市場環境の変化
まずは、「市場環境」について考えてみましょう。早速ですが、皆さんに問題です。
問題:「40インチの薄型テレビは、いくらで買うことができますか?(国内の大手メーカーの製品に限定)」
選択肢:
①20万円
②10万円
③5万円以下
答えは③です。これだけ安く買うことができるというのは、私たち消費者にとってみたらとても魅力的です。しかし、メーカーの立場になるといかがでしょうか。
40インチの薄型テレビの価格は、数年前の販売当初は20万円代の製品が多くを占めていましたた。しかし、現在では製品がコモディティ化され5万円以下で購入する事ができるようになりました。
ここからわかることは、商品の価格はすぐに急落することです。そして、「売り手」の立場よりも「買い手」の立場が有利になっているとも見て取れます。
私たち営業も、「売り手」であるため、「買い手」であるお客様になかなか商品が売れない…、売れたとしても値引きをしないといけない…、こういった市場環境になっているのです。
つまり、私たち営業は従来通りの営業から変化し、新しい営業手法を身につけなければならないのです。
その2:営業スタイルの変化
その1で、私たちは営業手法を変えていかなければならないということをご理解いただけたと思います。
「変化しなければならないのか…。」そう思われた方も多いはずです。
しかし、営業はこれまでも変化をしてきました。過去にさかのぼり営業の変化を知ることで、これからの営業がどのように変化していかなければならないのかを考えてみましょう。
物売り営業(戦後)
戦後に日本では、「物売り営業」が一般的な営業スタイルでした。
戦後は、闇市が存在し、多くの粗悪品が流通しました。そのため、「ホンモノ」を売る営業が一番信頼されたのです。今では信じられないかもしれませんが、「ニセモノ」を売る営業が多くいたというわけです。
個人力営業(バブル期)
バブル期の日本では、「個人力営業」が絶頂をむかえました。
接待飲食はもちろんのこと、接待ゴルフも頻繁に行われました。バブル期は羽振りが良く、このような営業スタイルが主流になったのです。
ソリューションセールス(いままで)
バブル崩壊後、「ソリューションセールス」が主流になりました。
この営業手法は、「お客様の課題を正確に聞き出し、その解決策をお客様に提示する」というものです。
しかし、これらの営業を行っても、どうしても最後は価格競争や条件競争に陥るケースも多いです。
そういった背景から注目されているのが、トップアプローチを駆使するインサイトセールスです。
インサイトセールス(これから)
これからの時代を生き抜く営業として、インサイトセールスが注目されています。
インサイトセールスとは、「お客様の経営層から理念やビジョンを直接聞き出し、その実現施策を提案する」営業手法です。まさに、トップアプローチを体現する営業なのです。
アポイントメントの取得のコツ
トップアプローチを実践するためには、まずお客様の経営層にアポイントメントを取得しなければなりません。お客様の担当者層へのアポイントメントとは異なり、経営層となるとなかなかアポイントメントの取得は難しいことが多いです。
画一的な正解はございませんが、下記にアポイント取得のコツをまとめました。本内容を実践することで、少しでもアポイントメントの取得率を高めてみてください。
「ご挨拶」を理由にしない
お客様の経営層にアポイントメントを取得する際に、「ご挨拶」を理由にする営業の方がいらっしゃいます。もちろん、お客様の経営層に「ご挨拶」をすることは大切です。
しかし、忙しい経営層は「大きな取引先」や「お得意先」でもない限り、「ご挨拶」という名目でなかなかアポイントメントの時間をとってはくれません。
お客様の担当者層も、「お互い忙しいので、ご挨拶であれば結構ですよ。」と断りやすい状況を作ってしまいます。
これは、年末年始のご挨拶や表敬訪問も例外ではありません。昨今、コロナウイルスのパンデミックもあり、そもそもアポイントメントを減少させる傾向にあります。「ご挨拶」に頼らないアポイントメントの設定が必要になるのです。
提案に紐づけたアポイントメントを!
お客様の経営層にアポイントメントを取得する際には、これからお客様に提案したい内容と紐づけることが大切です。
具体的には、「今後、御社へのご提案活動を一層強化していきたいと考えております。弊社が提案させていただく前に、御社の経営層の方針を正確に把握した方が、ブレがなく的確なご提案ができると思います。一度、お話を直接お伺いできませんか?」と伝えてみましょう。
切り返しトークの準備を徹底する
お客様の経営層に対して、必ずアポイントメントを取得できる営業トークはありません。そのため、お客様から断られることもあるでしょう。ただ営業として、お客様からいただく「断り文句」に対してはしっかりと「切り返しトーク」を準備しておきたいものです。
本記事では、代表的な断り文句を3つとりあげ、それに対する「切り返しトーク」をご紹介します。
断り文句①:「社長に確認して、また弊社からご連絡します。」
切り返しトーク例:
「ご確認いただけるとのことで、大変嬉しく思います。『ご提案に先立って、御社の今後のご意向を直接お伺いしたい。』と、お伝えいただけますか?また、本件いつ頃おわかりになりますか?」
断り文句②:「社長は忙しいから、難しいと思いますよ…。」
切り返しトーク例:
「そうですよね、お忙しいですよね。可能であれば社長から直接お伺いしたかったのですが、どうしても難しいようでしたら、社長以外で今後の御社の方向性について語っていただけそうな方はいらっしゃいますか?」
断り文句③:「そうですね、そこまでしなくても大丈夫かと…。」
切り返しトーク例:
「今後の御社の方向性をお伺いした上でご提案させていただく方が、御社のありたい姿に直結したご提案ができると思います。短い時間でも構いませんので、ご設定いただけませんか?」
ヒアリング方法①基礎編(トーク例付き)
まずは「基礎編」でしっかりとヒアリング力の土台を固めましょう。ヒアリングの基本は、「確認する」「掘り下げる」「広げる」それぞれの質問をマスターすることにあります。では、一つずつ見ていきましょう。
その1:確認する
確認をする質問をする目的は、「お客様のご発言を、しっかり理解できているか?」を確かめるためです。
お客様からヒアリングする際に、お客様のご発言の意図と営業担当者の解釈に違いがあってはなりません。そのため、都度確認すると良いでしょう。
〇復唱する
営業トーク例:「~とお思いなのですね。」
〇言い換える
営業トーク例:「それはつまり、~ということですね。」
その2:掘り下げる
この質問をする目的は、「お客様のご発言の裏側にある意図」を確かめるためです。お客様のご発言の理解を深めるために、掘り下げる質問を活用しましょう。
ただし、「理由を問う」際には、「なぜ~?」というフレーズを多用しないことをオススメします。「なぜ~?」と何回も聞かれると、尋問されているような感覚になることがあるからです。
〇具体化する
営業トーク例:「それは、例えばどういったことですか?」
〇理由を問う
営業トーク例:「きっかけは何ですか?」
その3:広げる
広げる質問をする目的は、「お客様のお考えの全体像」を確かめるためです。
お客様からさまざまなご発言をいただいたら、それをしっかり整理していくことが大切です。
また、お客様が話し足りないことはないかという視点で、「他のこと」についても確認しましょう。
〇優先順位を問う
営業トーク例:「○○から優先順位をつけるとしたら、どういう順序になりますか?」
〇他のことを問う
営業トーク例:「他には、どういったことがありますか?」
これらをまとめた1枚資料が欲しい方はお問合せ下さい。
ヒアリング方法②応用編(トーク例付き)
ここからは、いよいよお客様の経営層からヒアリングをする具体的な内容に入っていきます。
トップアプローチをする上で、お客様の経営層からヒアリングしたい項目は大きくわけて3つです。
具体的には、「経営理念」「ビジョン」「戦略」です。では、確認していきましょう。
その1:経営理念
お客様の経営層から、理念を聞くということは、経営層の「価値観」を聞き出すことと同義です。経営層が何を大切にして会社を経営しているのかをしっかり聞き出しましょう。
営業トーク例①:「従業員の方に、常々伝えていることはございますか?」
営業トーク例②:「仕事をする上で、日々大切にしている行動指針はございますか?」
営業トーク例③:「創業時からのこだわりはございますか?」
その2:ビジョン
お客様の経営層が、将来の目指す姿を描いたものがビジョンです。
営業トーク例④:「お仕事を通して実現したいことは何ですか?」
営業トーク例⑤:「今後、事業をどのように展開されていきますか?」
営業トーク例⑥:「お客様からいただきたい感謝の言葉は何ですか?」
その3:戦略
戦略とは、ビジョンを実現するために存在します。少し難しく聞こえますが、ポイントを押さえることでマスターできます。
戦略の質問では、4つの観点「どの領域で?」「どんな強みを?」「誰に?」「どんな価値を?」を聞きましょう。
営業トーク⑦:「どの分野で、お客様を獲得していきたいですか?」(どの領域で?)
営業トーク例⑧:「他社との差別化ポイントは何とお考えですか?」(どんな強みを?)
営業トーク例⑨:「これから、特に重要視したいターゲット層はどこですか?」(誰に?)
営業トーク例⑩:「お客様は、御社の何に価値を感じて商品をご購入されていますか」(どんな価値を?)
トーク例をまとめた資料が欲しい方はお問合せ下さい。
トップアプローチを強化できるおすすめの研修3選
本章では、トップアプローチを行う上で、おすすめの研修をご紹介します。
第一位:トップアプローチ研修(株式会社アルヴァスデザイン)
「実践!インサイトセールス!」の著者である高橋研(株式会社アルヴァスデザイン 代表取締役CVO)が提供する、トップアプローチ研修になります。通常版は2日間ですが、1日版もあります。
トップアプローチが必要な背景から、具体的な技法に至るまでしっかりとスキルを身につけることができます。
また、本研修の登壇講師は、過去にトップセールスを受賞した経験のある方のみに厳選しています。そのため、トップアプローチを実践する上での生々しい実体験も聞くことができます。
第二位:顧客の未来を見える化させるトップアプローチ実践(株式会社アイ・ラーニング)
1日版の研修です。実際のケーススタディを用いてトップアプローチについて学習していきます。座学だけではなく、実際にロールプレイングを通してスキルの向上をはかります。
>i-Learning 顧客の未来を見える化させるトップアプローチ実践
第三位:トップアプローチ研修(アスクラボ株式会社)
2日版の研修です。この研修では、経営層と対話するときに必要になる財務の知識を中心に学習することができます。
財務情報から課題を抽出して、それを提案するという一連の流れを学習することができます。
>Asclab 研修
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、「トップアプローチ」について解説しました。
トップアプローチは、お客様の経営層にアプローチをする営業手法のため、とても難易度が高いです。なぜならば、アポイントメント取得やヒアリングの手法など、営業が高める必要があるスキルが複数存在するためです。
そのため、トップアプローチができている営業はごくわずかです。つまり、トップアプローチの技法をしっかり身につけることができれば、他社の営業と差別化することができ、競合にも勝つことができるようになっていくのです。
ご紹介させていただいた営業トーク例を参考にして、ぜひトップアプローチを成功させてください。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。3歳息子のパパ。