第五回:価値を高める 「インサイトセールス」 いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年2月16日掲載記事)
目次
こんにちは。高橋です。
全12回にわたり、輸送経済新聞の「まなびカフェ」に連載された「いま、生き残るための営業術」について加筆修正を加えた特別版を公開しており、本日は第5回目です。
前回は、コロナウイルスが私たち営業に問いかけたことから、オンライン商談について考えました。対面商談であっても、オンライン商談であっても、「営業の本質」は何も変わっていないということをご理解いただけたと思います。
今回は、最新の営業手法である「インサイトセールス」についてお伝えします。
私が、ソリューションセールス(=ソリューション営業)に限界を感じ、インサイトセールスの可能性を感じてから8年が経ちました。その間、インサイトセールスについて研究し、インサイトセールスについて書き下ろし1冊の本にもまとめました。(「実践!インサイトセールス」2017年 プレジデント社 )。本記事では、私自身が、インサイトセールスを実践した、生々しいお話をお伝えします。
営業はなくなるのか
「営業職はなくなるのでしょうか。」
「この先10年で、営業がいなくなると聞きました。」
私は10年以上営業人材の育成に携わっていることもあり、このような質問をよくいただきます。
これからのことなので確実なことは言えませんが、多くの営業はなくなっていくと考えています。テクノロジーも目まぐるしい勢いで進化が進んでいます。多くの営業がテクノロジーに代わるというのは、想像の域を越えない話です。
しかし、私は「一部の営業」は残るのではないかと考えています。その一部の営業は、お客様に「新しい視点」「批判的な視点」を外部から与え、理念やビジョンの実現に向けて、クリエイティブな思考をお客様と共に描くことができる人を指します。この営業こそ、インサイトセールスそのものなのです。
インサイトセールスとの衝撃的な出会い
私が、インサイトセールスと出会ったのは8年前です。
まだ私が株式会社アルヴァスデザインを創業する前、会社員をしていた頃の話です。
某トラックメーカーが私のお客様の1つでした。私は、このお客様の営業人材の開発を行っていました。
ソリューションセールスの限界
私は、お客様の取締役に提案する機会をいただき、事前にヒアリングした課題に対して解決策を提示する提案をしました。これがいわゆるソリューションセールスを言われている営業手法です。
提案はひとまずうまくいきましたが、お客様の課題を聞いてその解決策を提示するという営業手法に限界を感じつつありました。なぜならば、論理を軸にするソリューションセールスは、どの営業が作った提案も似たものになるからです。
そのため、差別化が難しく、しっかりと提案をしてもなかなか競合にコンペで勝つ確率が高まらないのです。
意図しなかった対話
提案が終わった後に、ふと私は取締役に対して、「今後の経営ビジョン」に関しての質問をしました。確かに、お客様のこれからについて興味はありましたが、経営ビジョンを提案に活かすという思考まではありませんでした。
私の何気ないこの質問によって、提案の時とはまったく雰囲気が変わったのです。場の熱量は高まり、対話が盛り上がるだけではなく、未来に向けてさまざまなアイデアが湧き出てきたのです。
私は熱が冷めないうちに、出てきたアイデアをまとめた資料を取締役に送りました。
数日後、取締役から信じられない言葉を電話でいただきました。
「高橋くんが作ってくれた資料なんだけど、これそのまま経営会議とか株主総会で使っていい?」
と聞いてくださったのです。
感動体験
私にとって、取締役からいただいたこの言葉は驚きを越えて、感動の域まで達していました。
営業とは、課題を解決するのではなく、会社の未来、人の未来を根本から支える仕事なのかもしれないと思うことができたのです。
これこそが、私のインサイトセールスとの出会いになります。
インサイトセールスが日本にきた
ちょうど同じ頃、2012年12月にビジネス誌『ハーバードビジネスレビュー(HBR)』で営業に関する特集がありました。迷わず購入をしましたが、そこに衝撃的な記事がありました。
「ソリューションセールスは終わった」
という言葉です。
記事には、課題解決をお客様に提案しても、もはや競争優位にはなれないということが書かれていました。
まだ、当時の日本は、ソリューションセールスの全盛期といわれていた時代です。
私の某トラックメーカー取締役との体験と、全くリンクしたこの記事が、私の「インサイトセールス」への研究と実践を勢いづかせてくれたのです。
インサイトセールスについて概要を知りたい方はこちらからDL頂けます。
【毎月抽選10名特典付き】インサイトセールスの資料ダウンロードはこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、ソリューションセールスの限界とインサイトセールスについてお話しました。
インサイトセールスは、AI時代にも駆逐されることのない営業手法だと考えています。
営業は、お客様の課題を解決するのではなく、お客様の未来を創るクリエイティブな仕事なのです。インサイトセールスを実践している営業は、この先も活躍し続けるでしょう。
次回は、「心をつかむ鍵」と題して、最新の営業手法である「インサイトセールス」ついて、さらに深く考えてみます。
資料をダウンロードする お問い合わせをする目次
高橋 研
株式会社アルヴァスデザイン 代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。