第四回:「オンライン商談」 の3つの注意点~いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年2月9日掲載記事)
目次
こんにちは。高橋です。
全12回にわたり、輸送経済新聞の「まなびカフェ」に連載された「いま、生き残るための営業術」について加筆修正を加えた特別版を公開しており、本日は第4回目です。
前回は、非対面営業ではお客様に信頼を得るために、いかに不買要因を排除するのかを考えました。オンライン商談で具体的に必要になるオンラインツールもご紹介しました。
今回は、オンライン営業をする上での注意点というテーマでお話します。
早速ですが、ご質問です。
・新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、私たち営業に問いかけたことは何でしょうか
この問いに対して、皆さんはどうお答えしますか。
営業の本質とは何か
コロナウイルスが問いかけたこと
私は、コロナウイルスが営業に問いかけたことは、「営業の本質の重要性」であると考えています。
ぜひ、オンライン商談に関する言葉をいくつか検索してみてください。すると、「お客様に事前に商談のリマインドメールをすべきだ。」とか「オンライン商談では、アジェンダが必須だ。」といった内容が出てきます。確かにその通りです。
しかし、これはオンライン商談に限ったことではなく、私たち営業が本来「対面営業」であっても、「オンライン営業」であっても、当たり前のようにしなければならないことなのです。そういった意味で、私はコロナウイルスが「営業の本質の重要性」を問いかけてくれたと考えています。
高まった営業のスタンダード
コロナ禍では、「営業の本質」が明るみになったと言えます。
お客様にリマインドメールを送ることも、商談のアジェンダを作成することも、全てが当たり前になり、営業のスタンダードが上がったのです。
コロナ以前を思い返してみると、これらをきっちりと遂行できていた営業は少ないはずです。私たちは、高まった営業のスタンダードの中で、生き残っていかなければならないのです。
オンライン商談での3つの注意点
対面営業が中心であったこれまでは、多少事前準備にほころびがあっても、当日の商談で盛り返すことは可能でした。対面で話をした方が、お客様の感情にも敏感に気付くことができるため、その都度、対応ができるからです。
また、対面営業では、営業側が感情を伝えることも比較的容易でした。しかし、オンライン営業は、このようなことが通用しません。
オンライン営業は、お客様にとって気軽に商談の設定ができる一方で、商談内容の良し悪しは厳格に見ています。事前準備がなされていない営業とは、たった1回の商談で見切りをつけ、次回以降の商談に継続させないと決断をするお客様も多数います。
では、実際に3つの注意点を確認しましょう。
その1:アイスブレイク
「オンラインの商談にはアイスブレイクがいらない」と考えている営業の方がいらっしゃれば、ぜひアイスブレイクの導入を検討してみてほしいです。
確かに、対面での商談の方がアイスブレイクのネタも豊富にあり、商談の空気感も作りやすいです。しかし、オンラインでの商談こそ、アイスブレイクを実施しましょう。
おすすめのアイスブレイクとしては、お客様の商談の環境を確認する質問です。営業にとっても、お客様の環境に配慮した商談を進められるため、積極的に得たい情報になります。
アイスブレイク例:「本日はどちらですか?」「ずっとリモートですか?」
その2:名刺交換
オンライン名刺交換が徐々に広まりつつあるものの、対面での名刺交換には及びません。
しかし、オンラインでも対面でも、営業としてお客様の情報を取得したい状況は変わりません。
そうであれば、私たち営業は、オンラインの商談を工夫することで、お客様の名刺情報を取得するべきなのです。
私は、商談の最後にオンラインツールのチャットに自身のメールアドレスを書き込み、そこに署名付きの空メールを送ってもらうように催促しています。
また、例え商談に参加者が複数いらっしゃった場合でも、参加者全員の名前・電話番号・メールアドレスの取得を依頼します。
その3:資料の見せ方
対面営業では、お客様は手元の資料をご自身のタイミングでパラパラとめくってみることができました。
営業としても、そのお客様の動作に合わせて、「どこに興味がありそうか…」という目星をつけることができました。それによって、お客様の興味がありそうな部分の説明を詳しくするといった対応をすることができたのです。
しかし、オンラインの商談では、営業側が画面共有をして資料共有をしたり、お客様の手元に資料を送ったりしているため、営業側が「お客様の関心事」をつかみにくいのです。
こういった場合では、私は「小さな確認と合意」を積み重ねることが大切であると考えています。例えば、「○○というテーマに関心がありますか?」や「気になっている箇所はございますか?」といったように小さな質問を挟んでいます。
この他にもオンライン商談のコツは存在します。気になる方は下記よりダウンロードができます。
オンライン商談の基本ポイント8の資料ダウンロードはこちらまとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、オンライン商談について考えました。繰り返しになりますが、オンライン商談になったからといって、営業の本質は変わっていません。対面商談でも、オンライン商談でも、やること自体に実は大きな変わりはないのです。
オンライン商談が主流になったいま、営業の本質を見つめなおし、私たち営業はスタンダードを高めていかなければなりません。注意点に気をつけて、営業としてのレベルアップをはかりましょう。
次回は、「価値を高める 「インサイトセールス」」と題して、最新の営業手法である「インサイトセールス」ついて考えてみます。
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高橋 研
株式会社アルヴァスデザイン 代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。