営業
2021.07.13

第二回:海外では既に当たり前の 「非対面」いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年1月26日掲載記事)

こんにちは。高橋です。

全12回にわたり、輸送経済新聞の「まなびカフェ」に連載された「いま、生き残るための営業術」に加筆修正を加えた特別版を公開しており、本日は第2回目です。

前回は、コロナウイルスのパンデミックによって私たちを取り巻く営業環境がどのように変化したかを知り、オンライン営業について考えました。

今回は、「非対面営業」についてしぼってお話していきます。新型コロナウイルスの感染拡大によって、営業手段は大きな変革が求められました。対面営業が制限されたことで、私たち営業の多くは非対面でお客様とコミュニケーションを取るようになりました。

米国を中心に、海外では当たり前になっている「非対面営業」ですが、これをヒントに私たちの営業を見つめなおしたいと思います。

米国における営業の実情

コロナウイルスのパンデミック以前、日本においては「対面営業」が主流でした。顧客を訪問しない内勤型営業手法のインサイドセールスという営業手法が近年増加している傾向にありますが、それでも「非対面営業」が主流だったとは言えません。

しかし、米国ではコロナウイルスのパンデミック以前から、「非対面営業」が主流とされてきました。インサイドセールスが米国で普及し始めたのが、なんと1950年代と言われています。2015年3月に米国の労働局が発表したデータを見ると、「非対面営業」が「対面営業」を上回り、2017年の時点で80%以上が「非対面営業」となりました。

では、なぜここまで「非対面営業」が増えたのでしょうか。

その1:移動距離

米国において、非対面営業が増加した理由の1つが、「移動距離」の問題にあると言われています。日本に比べて米国は国土が広く、お客様先に訪問する対面営業は、あまりにも非効率的なのです。

日本では、数時間も飛行機に乗ればどこでも移動できてしまいますが、米国では「ニューヨーク」から「ロサンゼルス」行こうと思うと、飛行機で片道6時間もかかってしまいます。

その2:営業のキャリア

2つ目は、「営業のキャリア」の体系に起因していると言われています。米国は、いわゆる「ジョブ型」で採用をおこなっており、たいがい専門性が求められます。日本は、それとは真逆の「メンバーシップ型」で採用をおこなうことが多いと言われています。

このように、米国の営業は高い専門性を求められるため、分業化が進み「インサイドセールス」をはじめとする非対面営業が増加したと考えられます。

その3:企業としてのリスク分散

最後の理由は、「雇用の流動性」にあります。米国では、日本と比べて転職が頻繁に行われており、平均転職回数は10回以上と言われています。

そのため、従業員を雇用する側にとってみたら、商談過程の全てを任せてしまうと、転職の際にお客様をそのまま持っていかれてしまう可能性もあります。それはリスクが高いということで、分業化が進み、結果として非対面営業が増加したと考えられます。

非対面営業と対面営業の比較

非対面営業と対面営業の両者は、「何が」「どのように」違うのかということを考えてみましょう。

非対面営業と対面営業の主な特徴

非対面営業のメリットとデメリット

非対面営業のメリットは、「営業を効率的に行える」ということが一番です。移動時間を大幅に削減できるため、その時間を別の商談に充てたり、資料作成をしたりすることができます。

一方で、デメリットも存在します。特に、非対面営業ではお客様の「感情を理解する」というのが難しいとされています。営業がお客様の深い理解をすることは、対面営業に比べて用意ではありません。また、営業がお客様に熱意を伝えることも難しいと言えます。

ハイブリッド型の営業

非対面営業と対面営業の違いを理解した上で、私たちがどのような営業手法をとっていけばよいのかを考えてみましょう。結論から言うと、「非対面営業」と「対面営業」を組み合わせた「ハイブリッド型」の営業が望ましいと言えます。

では、どのように使い分けていけば良いのでしょうか。次の3点を元に思考してみましょう。

その1:誰と会うか

まずは、お客様の「誰と会うか」という観点で考えてみましょう。私の意見としては、お客様の経営層と面談する際には、対面をオススメします。経営層が語る理念やビジョンを聞く際には、経営層も熱が入ります。それを営業としてしっかりと受け止め、理解しきるためには、やはり対面でないと難しいでしょう。

一方で、お客様の担当者層と打ち合わせをする際、業務の簡単な確認程度の打ち合わせであれば、非対面でことが足りるはずです。

その2:営業プロセス

次は、「営業プロセス」という観点で考えてみましょう。お客様にプレゼンする際や、クロージングを行う際には、対面が効果的です。なぜならば、営業としての熱意は、画面越しの非対面だとどうしても伝わり切らないことがあるからです。

その3:シチュエーション

最後は、「シチュエーション」という観点です。例えば、お客様からクレームが入った際や、深いお礼を伝えたいときなどは、対面が望ましいと言えます。現地に足を運ぶことで、お客様に安心感を与えることも可能だからです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、米国で当たり前とされている「非対面営業」にある背景を知り、私たちがこれからどのような営業手法をとっていけば良いのかを考えてみました。

結論としては、「非対面営業」と「対面営業」と組み合わせた「ハイブリッド型の営業」をおすすめします。その際には、「お客様の誰と会うか」「どの営業プロセスか」「どういったシチュエーションか」という観点を加味して、「非対面営業」か「対面営業」かを選択しましょう。

次回は、「「非対面」 にはこのツールを」と題して、非対面営業の具体的なやり方について考えてみます。

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この記事を書いた人

高橋 研

株式会社アルヴァスデザイン 代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。

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